この悔しさを次へのバネにしてほしい

プロボクシングのWBA世界フライ級王者・井岡一翔(28=井岡)が、判定勝ちで5度目の防衛ら成功するとともに具志堅用高氏が持つ国内ジム所属選手の日本記録「世界戦14勝」に並びました。

4月23日夜、エデイオンアリーナ大阪で行われたダブル世界戦です。

試合後の井岡は、勝利を喜びながらも、倒せなかったことを悔しがりましたが、そんな悔しさが“ぜいたく”に思えるほどの悔しさを味わわされたのが、もう一つの世界戦、WBO世界バンタム級タイトルマッチに臨んだ大森将平(24=ウォズ)でした。

大森は10回に左アッパーから強烈な右フックを浴びダウン。ダメージが残る11回に連打され、レフェリーストップでTKO負けとなりました。

ウ~ン、残念! 大森に勝たせたかったのは、だいたいがアンフェアな試合だったからでした。

試合前日(4月22日)の計量で王者のマーロン・タパレス(25=フィリピン)は、53・52キロのリミットより780グラム多い54・30キロ。再計量では何と54・40キロと減るどころか100グラムの増量という信じられない事態となっていました。

「減量中に疲れて水を飲んでしまった」(タパレス)とのことでしたが、まったく自覚のないひどい王者で王座は剥奪。試合は大森が勝てば新王者。引き分け、負けなら王座は空位というルールで行われましたが、実際のウエートは、タパレスが約61キロ、大森が約58キロで行われています。

自覚なき前王者に喝!

まあ、しかし・・・およそ体重制のあるスポーツに関わる選手にとって、まずウェートコントロールありき、は言うまでもないことでしょう。

とはいえ、プロボクシング界の世界戦で、王者が減量失敗で王座を剥奪されるケースは、決して少なくありません。

思い出されるところでは、2006年10月のWBC世界ライト級タイトル戦でのディエゴ・コラレス(米国)=2キロ増。同世界ライトフライ級暫定タイトル戦でのワンディ・シンワンチャー(タイ)=1・2キロ増。国内では2007年3月に開催されたWBA世界フライ級タイトル戦で王者ロレンソ・パーラ(ベネズエラ)の2・1キロ増、などがあります。

元世界王者の浜田剛史氏は、現役時代に約10キロの減量を強いられて苦労しているだけに減量失敗の見方は厳しく、こう言います。

〈ボクサーの減量は、それがいくらきつくても、できて褒められるようなものではなく、できて当たり前のものです。失敗は自覚の問題で特に王者は立場上からも恥ずべきものでしょう〉

試合が決まれば計量の日も決まります。ボクサーはその日に合わせてウエートの調整を開始しますが、だいたい試合の1カ月前に3キロ増程度に持っていき、この後は、絶食も含めて一気に落とす方法、節食しながら徐々に落とす方法、の2種類から自分に合った方法を選ぶことになります。

だいたい、まじめで繊細な日本人選手は、長期の我慢を必要としますが、徐々に落とす安全策を選択し、中南米選手やタイ人選手は、一気に落とす方法を選ぶ傾向にあり、その分、失敗すれば・・・のリスクを負うことになります。

この季節は、特に暑くもなく寒くもなく、減量をしにくい時期でもありますが、今回のタパレスのように再計量で体重が増えているなどの不真面目さは、ちょっと聞いたこともなく、ア然としてしまいました。

大森は2015年12月16日のWBO世界バンタム級挑戦者決定戦でタパレスと戦い、2回TKO負けしているだけに、初の世界挑戦はまた、リベンジ戦でもありましたが、負けは本当に残念! そして気の毒な結果でした。

大森には、この悔しさを次に生かしてほしいものですね。
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世界戦14勝の偉業達成なるか

さて・・・プロボクシング界は、WBA世界フライ級王者・井岡一翔(28=井岡)の出番です。

井岡は4月23日、エディオンアリーナ大阪で5度目の防衛戦に臨みます。相手は何と61連勝中という同級2位のノクノイ・シットプラサート(30=タイ)です。

この対戦でまず、目立つのは〈体格差〉ですね。

4月21日に行われた予備検診によると、身長は井岡1メートル65.0、ノクノイ1メートル57.7、その差は7・3センチ。リーチも井岡1メートル68.7、ノクノイ1メートル65.4。その差は3・3センチ。体格面で井岡が優位に立っています。

小さい相手は、的が絞りにくい、とも言われますが、井岡に限っては、これまでの世界戦14試合、その心配は無用! の勝利を挙げ続けています。

ただ3階級制覇に初チャレンジ(IBF世界フライ級王座挑戦)した2014年5月7日のアムナト・ルエンロン(タイ)戦では、体格面で劣り、その分、前進を阻まれて唯一の黒星を喫していますが・・・。

もう一つの注目は〈記録面〉ですね。

国内ジム所属選手の世界戦勝利数は、具志堅用高氏の「14」がトップ。以下、井岡、長谷川穂積氏(引退)、山中慎介(帝拳)が「13」で続いています。

相手は61連勝中の30歳

1981年(昭56)3月、具志堅氏がペドロ・フローレス(メキシコ)に敗れ、王座から陥落して36年-。

同氏が築いた世界戦14勝に届く王者は出ないまま、今に至っています。

その記録に井岡が届くかどうか-。

さらにもう一つ。井岡ジムの父親でもある井岡一法会長は、5度目の防衛に成功した後、WBO世界フライ級王者・鄒市明=ゾウ・シミン=(36=中国)との2団体統一戦を視野に入れています。

鄒市明は2008年北京、2012年ロンドン両五輪で2大会連続金メダルを獲得してプロ入りし、現在はプロの世界でも王者になっている選手です。

このビッグマッチを実現させるためにも、ノクノイ戦は、ただ勝つだけでなく、内容を重視したいところでしょう。

とはいえ、ノクノイの戦績は凄いですね。66戦62勝(38KO)4敗。プロデビュー戦で勝利。第2戦から4連敗を喫していますが、その後から実に61連勝しているのです。

その内容がどんなものなのかは、よく分からないところかありますが、まあ、勝ち続けるということは、それなりの実力があり、長いキャリアで老獪(ろうかい)さも身につけているのではないでしょうか。

このあたりは、用心して用心し過ぎることはない、というのがボクシングの試合です。

ここ3戦、連続KO防衛で勢いに乗る井岡です。

世界戦4連続KO勝利で具志堅氏の記録に追いつくことが出来るかどうか。

キャリアは豊富ですが、初の海外試合、初の世界挑戦となるノクノイには、井岡が〈格の違い〉を見せつけて快勝してもらいたいものです。

試合が楽しみとなりました。

9月米進出へ弾みのV5となるか?

プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(24=大橋)が、5月21日に東京・有明コロシアムで5度目の防衛戦に臨みます。

前日の5月20日、同会場では、2012年ロンドン五輪ボクシング(ミドル級)金メダリストでWBA世界ミドル級2位・村田諒太(31=帝拳)の世界初挑戦をメーンとするトリプル世界戦が行われます。

井上の興行には、IBF世界ライトフライ級王者・八重樫東(34=大橋)の3度目の防衛戦も行われ、ボクシング・ファンにとっては、2日連続で計5試合の世界戦を観(み)られるという、興奮さめやらぬ、贅沢な“有明の夜”となりそうです。

さて・・・井上の動向はどうでしょうか。

というのも、3月18日、米ニューヨーク州の「マジソン・スクエア・ガーデン」で行われたWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチで王者の“ロマゴン”ことローマン・ゴンザレス(ニカラグア=帝拳)が挑戦者のシーサケット・ソールンビサイ(タイ)にまさかの判定負けを喫し王座陥落。年末に対戦実現の可能性があっただけに井上の落胆は「言葉が出ない」ほどのものがありました。

負けたロマゴンとの対戦価値を逸した井上陣営は、それに代わる王者との対戦交渉に乗り出したものの、最終的にまとまるまでにはいかず、今回の5度目の防衛戦は、最終的には、WBAが指名した挑戦者、同級2位リカルド・ロドリゲス(米国)との対戦に落ち着いた、という経緯だったそうです。

“ロマゴン”戦消滅でモチベーションは?

ロマゴン戦の消滅で井上のモチベーションが気になるところでした。しかし、大橋ジム・大橋秀行会長は、タイミングよく、9月に米国での試合を要請するオファーが届いている、ことを明かしました。

実現すれば、井上の“モンスター・ロード”に新たな展開が加わりそうですが、それはまた、今回のロドリゲス戦に向けての願ってもないモチベーションとなるでしょうし、また、初の米進出への励みともなるでしょう。

昨年12月30日(東京・有明コロシアム)で元王者の河野公平(ワタナベ)を左一撃で倒し、V4に成功した井上にとって今年は、一つの転換期となっています。

というのも、現階級(スーパーフライ級=リミット52・16キロ)ではウエートの維持がきつくなっており、1階級上のバンタム級(リミット53・52キロ)に上げることを迫られているからです。

それも、ロマゴンとの対戦が年内に実現するなら、今年いっぱいは現階級で・・・の意向がありりましたが、それが消えたことにより、そのあたりの判断をどうするのか? の分かれ道に差しかかっています。

何しろ、バンタム級に上げれば、その階級にはWBC王者の山中慎介(帝拳)が君臨しているのですから・・・。

井上が今後をどうするにしても、まずは5月の防衛戦で勝つことはもちろん、どういう内容で勝つか、が改めて問われる試合となります。

それにより、9月米国が実現するなら、待遇面も、単なるノンタイトル戦の顔見せとなるか、あるいは防衛戦となるか、変わってくるのではないでしょうか。

井上の動向から目が離せなくなりましたね。

村田とともに5月有明の連戦が楽しみです。

五輪金メダリストの最難関への挑戦

さて・・・プロボクシング界の話題は、やっと世界挑戦が決まった2012年ロンドン五輪ボクシング(ミドル級)金メダリストのプロボクサー・村田諒太(31=帝拳)ですね。

村田は5月20日、東京・有明コロシアムで、WBA世界ミドル級暫定王者(同級1位)のアッサン・エンダム(33=フランス)とWBA正規王座決定戦を行うことになりました。

2013年8月24日のプロデビュー戦から3年9カ月、プロ13戦目での世界挑戦。ミドル級のランクもWBA&WBOとも2位と4団体でトップ5以内に位置しながら、世界挑戦に時間がかかったのは、やはり、激戦区のミドル級、ならではのことでしょうか。

帝拳プロモーション代表で元世界王者の浜田剛史氏は「このクラスはタイトルを取ること以前に挑戦の機会を得ることが難しい」と語っていました。

参考までに村田と並んでロンドン五輪で金メダルを獲得してプロの世界に入った、他階級の主な面々の世界挑戦はこんな具合です。

2008年北京に続きライトフライ級で2大会連続の金メダリストとなった鄒市明=ゾウ・シミン=(36=中国)は、2013年4月6日のプロデビュー戦から7戦目(2015年3月7日)で世界挑戦。ここでは負けましたが、2016年11月5日にプロ19戦目でWBO世界フライ級王座を獲得しています。

2008年北京はフェザー級、2012年ロンドンはライト級で2大会連続の金メダリストとなったワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ)は、2013年10月12日のプロデビューから2戦目(2014年3月1日)でWBO世界フェザー級王座に挑戦。これは負けましたが、同年6月21日、プロ3戦目で同級王座を獲得しました。その後、2階級制覇を達成し、現在はWBO世界スーパーフェザー級王者です。

ゴロフキンが開いた? 世界への道

スーパーヘビー級で金メダリストとなったアンソニー・ジョシュア(27=英国)は、2013年10月5日のプロデビューから16戦目(2016年4月9日)にWBO世界クルーザー級王座を獲得しています。

村田の世界挑戦の相手は、当初、WBO世界ミドル級王者ビリー・ジョー・サンダース(英国)が取り沙汰されていました。

しかし、サンダースを巡る対戦者は、2階級制覇王者で現在はWBO世界スーパーウエルター級王者のサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)らと多く、なかなか交渉がはかどらない難しさがありました。

そんな村田陣営に“道を開いた?”のが、ミドル級最強の絶対王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)でした。

WBA世界ミドル級スーパー王者のゴロフキンは、3月18日に米ニューヨーク州のマジソン・スクエア・ガーデンでWBA世界ミドル級正規王者ダニエル・ジェイコブス(米国)とWBA&WBC統一世界同級タイトルマッチを行い判定勝ち、同級の正規王座を吸収しました。

その結果、空位となった正規王座決定戦が、村田に回ってきたというわけでした。

相手のエンダムは、2010年10月にWBA世界ミドル級暫定王座獲得、2012年5月にはWBO世界同級暫定王座を獲得、その後、正規王者に昇格するなどのキャリアを持っています。アテネ五輪、プロとしてリオ五輪にも出場しており、スタイルは、スビードとフットワークを武器とするオーソドックス・タイプとされています。

今回、世界挑戦の機会を得たことに対し、村田は記者会見で「ある意味、早く感じています。いい時期、悪い時期があってここまで来た。遠回りと思える道も歩いてきたので、人生的にもいい期間だった」と話しました。

五輪金メダリストの世界挑戦は、1964年東京五輪のバンタム級を制した桜井孝雄が、1968年に世界バンタム級王者ライオネル・ローズ(オーストラリア)=桜井の判定負け=に挑んで以来、49年ぶりとなります。

村田の世界挑戦は、さまざまな面で注目されますね。

“ロマゴン”初黒星の波紋

一寸先は闇! ではありませんが、ボクシングは、一つの勝敗が戦局を大きく変え、その先を見えなくするものだなァ、とつくづく感じます。

3月18日(日本時間同19日)に米ニューヨークの「マジソン・スクエア・ガーデン」で行われたWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチです。

同級の初防衛戦に臨んだ4階級制覇王者“ロマゴン”ことローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア、帝拳)の敗戦-。

観(み)る側が“まさか”と思う中、試合を生中継したWOWOWのゲスト解説を務めたWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(23=大橋)も、それ以上に声を失い、失望の色を濃くしていました。

試合前まで、スーパーフライ級の世界最前線は、こんな状況にありました。

昨年末(2016年12月30日=東京・有明コロシアム)に河野公平(ワタナベ)の挑戦を退けて(6回TKO勝利)V4に成功した井上は、年が明けた2017年中の最大目標としてロマゴン戦を熱望しました。

一方、それより前の2016年9月10日、米カリフォルニア州イングルウッドの「ザ・フォーラム」で1階級上のWBC世界スーパーフライ級王者カルロス・クアドラス(メキシコ、帝拳)に挑んだロマゴンは、激闘の末に3-0判定勝利、世界4階級制覇を成し遂げました。

同級の初防衛戦に当たっては当初、前王者クアドラスとのダイレクト・リマッチ案もありましたが、シーサケット・ソールンビサイ(タイ)戦に落ち着き、その試合の勝者が、クアドラスと戦う段取りとなっていました。

従って井上陣営は、5月頃をメドに5度目の防衛戦を行い、秋以降、年内の実現を目指してロマゴン陣営の動きを見守る情勢となりました。

計画練り直し-困惑の井上陣営

井上陣営が、やるなら年内に、としたのは、井上のウエートの問題があり、スーパーフライ級(リミット52・16キロ)では苦しくなったことにより、来年はバンタム級(リミット53・52キロ)に上げたい意向があるためでした。

それぞれがそれぞれの事情を抱える中、タイミングを見計らいながら「点」と「点」を「線」で結ぶ作業-。ボクシングのマッチメークというものは、本当に微妙でやっかいなものですね。

それが・・・たった一つ、47戦目の初黒星、シーサケット戦の思いもかけない敗戦ですべてがご破算となり、井上の野望もついえてしまいました。

フライ級リミット50・80キロ。スーパーフライ級との差1・36キロ。ロマゴンvsシーサケット戦は、その差が勝敗を分けた、という見方が多くを占めていました。

ミニマム級、ライトフライ級、フライ級を経てスーパーフライ級に上がってきたロマゴンですが、シーサケット戦では、パンチ力で押し切れていなかった、と井上は感想を語っていました。

確かに4階級目の王座を得たクアドラス戦でも、やはり、下から上がってきたことによるパワー不足が指摘され、それが連打で追い詰めるロマゴンの“らしさ”を失っていた、と言われました。

いきなり初回、シーサケットの右アッパーがかすめ、同時にバッティングもあって、ロマゴンは不運なダウンを喫してしまいます。

加えて3回には、偶然のバッティングにより右目尻をカット、さらに頭からの出血もあり、ストップも視野に入れなくてはならない苦しい流血戦を強いられます。

しかし、ロマゴンは4回以降の反撃もあり、後半はともに消耗戦による我慢比べとなり、ジャッジも難しいものとなりましたが、試合を終えて結果は、1人が113-113のドロー、他の2人が114-112でチャレンジャーを支持、ロマゴンの敗戦が決まりました。

敗れたロマゴンの今後は未定ですが、陣営は、判定に不満を持ち再戦を要求しており、そうなるにしても、王座に復帰したシーサケットが、クアドラスと戦うことが優先されるのか、いずれにしても井上陣営は、予定より早くバンタム級へ上げることを含めた、計画の練り直しを余儀なくされる事態になったことは確かです。

ビッグマッチの実現を楽しみにしていたファンにとっては、本当に残念な出来ごとになってしまいましたね。
プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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