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拳四朗が「禊」のV8戦

“滑り込みセーフ”などといっては語弊がありますが、4月24日、大阪・エディオンアリーナ大阪でプロボクシングWBC世界ライトフライ級タイトルマッチが開催されます。同級王者・寺地拳四朗(29=BMB)が同級1位の挑戦者・久田哲也(36=ハラダ)を迎え撃つ8度目の防衛戦-。

世の中は新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、政府は4月23日、東京都、大阪府など4都府県に対して緊急事態宣言を発令。期間は4月25日から5月11日までとしGW期間中の人流と3密を徹底して封印する強い構えを見せています。

特に1日の感染者が1000人超えの日が続く大阪府は、府内で開催されるプロ野球などスポーツイベントについて「中止か延期、無観客という考え方でいる。人が集まるイベントは避けるべき」(吉村洋文知事)としており、発令前日に行われるこの大会は“滑り込みセーフ”的であっても、急転“前倒し”にならず、何とか実施にこぎつけてもらいたいものです。

この大会を主催するプロモーターの真正ジム・山下正人会長(58=西日本ボクシング協会会長)は、行政の方針には従うことを前提として「頑張って来た選手のためにも試合をやらないわけにはいかない。会場が閉鎖にならない限り、無観客でもやります」と明言。現段階では収容人員6000人の会場に2200人を上限とした観客を入れる有観客が予定されています。

気がかりな不祥事の後遺症

実際、王者の寺地にとっては、この機会を“絶対に”逃したくない気持ちでしょう。

2019年12月23日、挑戦者ランディ・ペタルコリン(フィリピン)に4回TKO勝ちして7度目の防衛に成功。その後、2020年に「文春砲」(11月26日発売)により、7月に泥酔の末、他人の車を破損したことを明らかにされ、事実を認めた寺地は謝罪文を発表、JBC(日本ボクシングコミッション)は、寺地に制裁金300万円、3カ月間のライセンス停止、6カ月間の社会奉仕を科しました。

それにより同年12月に予定されていた久田との防衛戦が中止となり、今回の対戦実現は「禊(みそぎ)を終えた王者の、改めてファンお詫びするV8戦に至ったわけです。

2017年5月20日にガニガン・ロペス(メキシコ)からWBC世界ライトフライ級王座を奪ってから、もう約4年が経っています。安定政権ともいえますがや、今回“出直し”寺地が見据える目標は、具志堅用高氏が持つ世界王座「13連続」防衛日本記録です。WBC世界バンタム級王者・山中慎介(帝拳=引退)が「12」まで行きながら、あと一つ届かなかった不滅の大記録…。

寺地はそれに向かって再び第一歩を踏み出します。懸念はV7戦以降、1年4カ月の長期プランクが生じてしまったこと、そして…自身、内面にまだくすぶっているだろう不祥事の後遺症です。

それらを背負ってプロ47戦目、36歳のベテラン久田の“したたかさ”をどう封じ込むか。ともに“コロナに負けるな”の白熱戦を期待したいものですね。
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コロナ禍~3度目の正直のV3戦

“いよいよ”というか“やっと”というか、プロボクシング界ではWBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人(27=ワタナベ)が、3度目の防衛戦にこぎつけました。

3月13日(日本時間同14日)に米テキサス州ダラスで同級10位の挑戦者アクセル・アラゴン・ベガ(20=メキシコ)とコブシを交えます。

京口にとっては長かった日々でしたね。2019年10月1日、WBA世界ライトフライ級1位の久田哲也(ハラダ)に判定勝ちしてV2を達成しました。

その後-。

2020年5月9日、大阪・大浜体育館でアンディカ・ゴールデンボーイ(インドネシア)との世界戦が予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため中止。同年11月3日、大阪で防衛戦が決まっていながら、今度は前日の2日、計量の際に実施したPCR検査で何と京口自身とセコンドに陽性反応が出て前代未聞の“ドタキャン”中止となりました。

時と場所を選ばないウイルスの無差別感染リスクに改めて“やっかいさ”が浮き彫りにされた出来事でしたが、謝罪した京口陣営以上にショックを隠せなかったのは挑戦者のタノンサック・シムシー(タイ)であり、JBC(日本ボクシングコミッション)でした。

初の海外防衛戦で強さアピール

コロナに振り回されたこんな経緯があり、従って今回のベガ戦は、久田戦以来1年5カ月ぶりとなる実戦です。

まあ、それ以上にチャンピオンが海外に出向くの? といったあたりが、今回の京口についての“変化”ですが、この米国デビュー戦は、京口が2020年12月、英国の大手プロモーション「マッチルーム・スポーツ」と契約したからなのですね。

「マッチルーム」が発表した3・13興行(米テキサス州ダラス=アメリカン・エアラインズ・センター)の中身は凄いですよ。何しろメーンは、WBA世界スーパーフライ級スーパー王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア=帝拳)対WBC世界同級正規王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)の王座統一戦という軽量級ビッグマッチなのですから…。

このメーンに京口も負けてはいられません。3度目の正直でやっと実現した3度目の防衛戦。京口は「マッチルーム」のホームページに「日本のボクシングが世界一であることを証明する機会を与えて頂いたことに感謝したい」と抱負を記し、またリモートで行った記者会見では「米国のファンの印象に残るような試合をしたい。思いをぶつけます」と決意を表明しています。

WBA&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)の例を持ち出すまでもありませんが、日本の世界王者が日本に挑戦者を呼び寄せて防衛戦をするのが当たり前の時代は去り、強い王者、あるいは挑戦者も、どんどん世界に飛び出して行くのが今なのですね。

初の海外での防衛戦に臨む京口に期待。さらに幅を広げるために京口にはベガ以上のチャレンジャーになって、この試合を大きな転機にしてもらいたいですね。

スポーツ選手のタトゥーは是か非か?

多くの方々が気づき、あれは何だ? と思ったことでしょう。

プロボクシングWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(31=Ambition)の左の肩から腕に彫られた入れ墨です。

【入れ墨】=「先史時代から行われ、日本では鳶などのや職人や遊び人の間に行われた。刺青、彫物、タトゥー(tattoo)」(広辞苑)

それは井岡が2度目の防衛に成功した昨年大みそかの田中恒成(25=畑中)戦で露出。腕だけでなく左脇腹には長男「磨永翔(まなと)」君の名前も彫られており、会場に足を運んだ観客はもちろん、テレビを通して多くの人々に目撃されました。

JBC(日本ボクシングコミッション)のルールには「入れ墨など観客に不快の念を与える風体の者は試合に出場できない」(第95条2号)とあり、JBC倫理委員会はこれを問題視していましたが1月22日、井岡と所属事務の会長には監督責任として「厳重注意」の処分が科せられました。

井岡の入れ墨は、今回の田中戦の前にも是非が問われており、クリームを塗るなどしてカバーしていましたが、田中戦では汗ではがれ、すべてが露出してしまう“想定内”の出来ごととなってしまいました。

JBCは2007年から警視庁との連携で暴力団関係者の観戦を拒むなど反社会的勢力との関係一掃に取り組んでおり、選手の刺青問題も“今どき…考えが古い”などの声があっても、プロボクシング界全体のイメージアップを視野に入れ、厳しく規制する姿勢を崩すことはないようです。

“少年たちの目”を意識してほしい

スポーツ選手の入れ墨に関しては、日本代表が大活躍したラグビーの「ワールドカップ(W杯)日本大会」(2019年9月20日開幕)でも問題化されました。ニュージーランドやサモア、トンガ、フィジーなど南半球の選手たちには伝統文化として“当たり前”の入れ墨を、国内滞在中(ホテルやプールなどを使用の際)にどう対処するかという議論です。

日本とは基本的に受け取め方が違う入れ墨に対し、外国人勢は極めて協調的で公共の場では長袖のシャツで隠すなど、日本人顔負けの“郷に入れば…”の精神を発揮したことで解決しました。彼らのマナーはたいしたものですね。

そういうこともあり、入れ墨の是非については、判断が難しいところがあるでしょうね。

言い方ひとつとっても「入れ墨」「刺青」「彫物」なら、反社会的勢力をイメージしてしまうし、女性たちにも嫌悪感が薄くなった「タトゥー」と言い方を変えれば、背中の“紋紋(もんもん)”より、体の一部にちょこっとというファッション性に意味合いを変えてしまいます。

プロボクシング界も外国人勢はよくて日本人勢はダメというのも、何となくモヤモヤしてしまいますね。

やはり入れ墨の是非を判定するものは、選手自身の矜持ではないでしょうか。

入れ墨への受け止め方が変わったといっても、日本人にとってはまだまだ「入れ墨=反社会的勢力」のイメージが強いし、野球選手にしてもサッカー選手にしても、少年たちの憧憬の的となっていることを考えれば、自ら入れ墨を避けることくらいは心得ているでしょう。

井岡も日本人初の4階級制覇王者を誇るなら入れ墨は余計です。

いよいよ大みそか決戦~井岡vs田中

“キャリア”の勝負か、それとも、それを封じる“勢い”の勝負か-。

大みそかに東京・大田区総合体育館で行われるプロボクシングWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ。いよいよ王者・井岡一翔(31=Ambition)と挑戦者(同級1位)田中恒成(25=畑中)が激突します。

注目の日本人対決に向けて王者が言い続ける、キャリアを裏付けとする「格の違い」は、果たしてどれほどのものなのでしょうか?

試合前日12月30日付のスポニチ本紙で浜田剛史氏(元WBCスーパーライト級王者=現・帝拳代表)がポイントを指摘していました。

「攻撃力はほぼ互角」とした浜田氏は、若い田中が前半、勢いで攻め込むだろうことを予測。井岡はそれを受けて返しながら中盤以降、田中のスビードが落ちたところを狙うだろう、とし、田中が勝つなら、この前半で勢いに乗ることだろう、と記していました。

いや~面白い勝負になりそうですね~。

2019年6月、井岡はWBO世界スーパーフライ級王座決定戦に勝利、日本人男子初の4階級制覇を成し遂げます。

田中が目指す世代交代劇

が、その前の2018年大みそか、4階級制覇に初挑戦して判定負け。失意の中で「負けてもそこから学べば(成長への)一番の近道になる」と再起を期しています。

負ければ引退を覚悟、最後のチャンスと自分を追い込んで臨んだ2度目の挑戦で勝利。栄光もあり、挫折もあり、とさまざまな経験を積んだことが、井岡の「格の差」発言につながっているのでしょうか。

挑戦者の田中は、2018年9月、世界最速のプロ12戦目で3階級制覇(WBO世界フライ級王座)を達成しています。

同級V3後、今回の井岡戦は、階級を一つ上げて4階級制覇へのチャレンジ。15戦全勝(9KO)とキズのない戦績は、山あり谷ありの井岡に言わせれば“甘い”となるのかもしれません。

もっとも浜田氏が「難しい判定になりそう」というように、2人の攻防はかなりの接戦が予想されます。戦前の下馬評も真っ二つに割れているようです。

“変化”を見つけ出すなら、田中がフライ級(リミット50・80キロ)から階級を一つ上げてスーパーフライ級(リミット52・16キロ)で臨むことです。

体重の増減は、スピードとパンチの強さに関わってくるといわれますが、今回の田中に関しては、特にスピードが落ちていることもなく関係ないようです。

ともに昨年大みそか以来、1年ぶりの試合。井岡が言葉通りに「格の差」を見せつけるのか、田中が「世代交代」を突きつけるのか-。

2人にはコロナ禍を吹き飛ばす戦いを見せてもらいたいですね。

近づく井岡vs田中の日本人“ガチ対決”

大みそか決戦が近づきました。

王者・井岡一翔(31=Ambition)vs挑戦者(同級1位)田中恒成(25=畑中)のプロボクシングWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ、注目の日本人対決です。
(試合は12月31日、東京・大田区総合体育館で開催

12月24日、井岡はオンラインでの会見に臨み、自信に満ちた言葉を口にしました。

〈ボクの中では、ビッグマッチでも注目カードでもない。持っているものが違う。どの部分でも差を見せられる〉

まあ、これほどの自信がどこから出てくるのだろうか、というほどの“格の差”発言でした。

井岡がしばしば口にするこの“格の差”にしても、実際、どれほどの差があるのでしょうか。2人のキャリアをちょっと振り返っておさらいしてみます。

ともに“早熟”のボクサーです。

田中が誕生(1995年6月15日生まれ)したとき、1989年3月24日生まれの井岡は6歳。中学1年でボクシングを始めた井岡に対し、田中は幼稚園時から空手を始め、小学5年時にボクシングに接しています。

格闘技歴では田中が上の2人は、プロ入り後、井岡が2011年2月、当時国内最速の7戦目で世界王座(WBC世界ミニマム級王座)を奪取。その記録を田中が2015年5月、プロ5戦目で世界王座(WBO世界ミニマム級王座)を奪って塗り替え、それぞれがスピード出世を争っています。

実力は“五分”と下馬評

その後、井岡が2015年4月に3階級制覇を達成。後を追う田中も2018年9月、世界最速のプロ12戦目という記録をつけて3階級制覇を達成しました。

昨2019年6月、井岡はWBO世界スーパーフライ級王座決定戦に勝利、日本人男子初の4階級制覇を成し遂げ、この田中戦が2度目の防衛戦。井岡に挑む田中は、4階級制覇を懸けた戦いとなります。

ざっとキャリアを見比べても、ともに遜色のない戦績。実力伯仲。井岡がこだわる“格の差”を見つけ出すとするなら、数字には出ない“メンタル面”になってくるのでしょうか。

エリート転じて思うようにならない挑戦の失敗や引退までも井岡は経験しており、そうした紆余曲折はボクシングという戦いにおいて決してマイナスにはならないということも言えるのです。

つまり、井岡がここのところ見せる若さを脱却した“円熟”のボクシング。井岡には”相手が嫌がることをする術゛があり、それが田中の勢い、持ち味であるスピードのある攻撃を鈍らせれば、田中が井岡の術中にハマることになかもしれません。

田中に勝って年が明ければ、井岡にはまた、新たなロードが開ける可能性が出てきます。スーパーフライ級は既に来年3月、WBAスーパー王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)vsWBC正規王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)トの統一戦が決まっており、その勝者の第1コンテンダーはシーサケット・ソールンビサイ(タイ)が指名されているようですが、ここに井岡も一枚加わろうか、という目論みです。

いずれにしろ、その前にこの2人には、コロナ禍で気勢が上がらない大みそかを熱く盛り上げる義務も背負っての戦いとなります。
プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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