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K-1イベント強行開催の賛否

“らしい”と言えば、いかにも“らしい”と言えたでしょうか。

3連休の最終日となった3月22日の日曜日、さいたまスーパーアリーナで行われた立ち技打撃系格闘技K-1のイベント「K-1ワールドGP」の強行開催です。

とどまるところを知らない新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府が大規模イベントの開催自粛を継続して要請する中、会場をさいたま市内に持つ埼玉県・大野元裕知事も再三、自粛を要請したそうですが、主催者は開催に踏み切りました。

大勢の人が集まる大規模イベントの開催自粛は、クラスター(感染者集団)の発生を潰すことを目的としています。①換気の悪い密閉空間②手の届く距離に多くの人がいる③近距離での会話や発声がある-の3点が同時に重なったところに発生のリスクがあるとし、それを避けるための対策です。

“悪い”条件をすべて満たしてしまうK-1のイベントは、あらゆるスポーツが中止・延期を余儀なくされ、2020東京五輪さえ延期に傾いていることを考えれば中止も仕方のないところでしょう。最近のK-1は、以前のようにテレビ中継がなく、もしこのイベントにどこかのテレビ局やスポンサーがついていたとしたら、メディアの常識として「NO」となっていたと思います。

主催者は、イベントの開催に際して①席数を削減して密集状態を避ける(観衆6500人=主催者発表)②マスクの配布③常時換気装置を設置、さらに④チケットの半券に入場者の住所や電話番号を記入、感染者が出た場合は追跡調査を行えるようにする-など「万全の対策を取る」(主催者)として、自粛要請を振り切りました。

独自の方向性もあり…

2011年3月11日に発生した東日本大震災のとき、同年夏に開催された女子サッカーのW杯(ワールドカップ)で日本代表「なでしこジャパン」が奇跡的な優勝を飾りました。その快挙が震災に沈む人々にどれだけの勇気と元気を与えたことでしょうか…スポーツにはそういう役割があります。

そういう視点で見た場合、スポーツの中でも、特にプロレスも含む格闘技系のイベントを開催する側には、世の中の危機にこそ立ち上がらなければならない、それが人々に元気を与えられれば…という独自の方向性があります。

今は運営母体が変わりましたが、K-1という新しい格闘技が産声を上げた1993年当時、これを立ち上げた正道会館・石井和義館長は、この格闘技のテーマを「破壊と創造」に置いていました。

つまり、既成の概念を打破、新しい価値観の創造へ、ですね。そしてそれが若者たちを揺り動かしていました。

K-1がそれを原点としているなら、無観客の興行などあり得ず、観客とファイターが一体化した熱狂に包まれた中での興行しかないわけです。

今回のK-1の強行開催を擁護するなら、K-1に限らず格闘技界が共通して持つこうした理念によるものと思います。もちろん、そうした理想とは別に、中止にした場合の金銭的な問題も計り知れないものになるだろう、など現実的な痛手も無視できませんが…。

しかし、いかにせよ、今回の世界的な非常事態を思えば、タイミングが悪いですね。だからだよ…との言い分もあるでしょうが、その議論を繰り広げればキリがありません。

この興行から何かが起きないことを願うばかりです。
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「顔を殴る」ということ

無観客で開催されている大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)-。

3日目の3月10日、中継する「NHK総合テレビ」の解説を務めた舞の海氏(元小結)が面白いことを口にしました。

結びに登場した横綱・白鵬vs高安戦。白鵬が立ち合い、右の「張り手」を見舞って先手を取り、粘る高安にスキを与えず勝利(寄り切り)した一番です。

舞の海氏が言いました。

〈毎回、これだけ張られて20年前だったら張り返す人もいたでしょうが、やはり皆、今は横綱に失礼があっては…と思っているのでしょうかね~〉

白鵬の「張り手」や「かち上げ」については、反則ではないものの「横綱の品位に関わる問題」と、ことあるごとにやり玉に上げられてきました。

舞の海氏が言うように、そう来るなら…と、格下が格上に“失礼ではありますが張らせてもらいます”とやり返すのも、それはそれで勝負の世界、恨みっこなしの面白さになるようにも思います。

思い出します。以前の話になりますが、2000年前後、総合格闘技リング「PRIDE」が全盛だった時代、グレイシーハンターとして名を馳せた桜庭和志が、その打撃の激しさから“戦慄のひざ小僧”の異名を持つヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)によってボコボコにされ、ヒーローの座から引きずり降ろされたとき、私はヴァンダレイに「なぜそんなに非情になれるのか?」と聞いたことがありました。

「尊敬があるから真剣に殴る」

ヴァンダレイはこう言いました。

〈オレは真剣に殴る。サクラバには憧れもあるし尊敬もしているから真剣に殴る。だから、ただのケンカではない〉

あの危険をはらんだリングに上がり、相手を殴り合うファイターたちは、それぞれ相手へのリスペクトがあるからこそ、手を抜かないのですね。そういう世界なのです。

プロレスや総合格闘技の世界で活躍し“平成の格闘王”と呼ばれた高田延彦は、2002年11月24日の「PRIDE-23」(東京ドーム)で引退試合を行いました。ラストファィトに指名したのがUWFインター時代に因縁を生んだ後輩の田村潔司でした。

決着戦は2R1分0秒、田村がKOで高田を下しました。が、田村にとっては重すぎる戦い。何よりも顔を殴れず、グラウンドの攻防から上になり、いつもなら非情にパンチを繰り出す田村が、下の高田と視線を合わせることも出来ずに顔を歪め、腕も動かせない状態に陥っていました。

お互いにその道で生きてきたとはいえ、やはり、顔を殴るという行為には、さまざまな理由づけがいるのでしょう。

ヴァンダレイの考えは、外国人ならではの割り切り方であり、高田と田村のやりとりは、どうにも日本人的、武士の情けの中でのやりとりを感じたものでした。

白鵬の「張り手」や「かち上げ」から始まる相撲は、いかにもヴァンダレイ的です。

だからといって、舞の海氏が言うように、相手がそれに応じてやり返すには、田村的な心情を思えば、なかなかできるものではないでしょう。

ラストファイトを終えた高田は、田村に「よく(リングに)上がってきてくれた。お前は男だ。ありがとう」と、ともに理想を追い求めたからこそ生じた確執の氷解を告げる言葉を投げかけました。

白鵬に今、求めたいのは、格下に張られたとしたら「よくオレを張ってくれた」という包容力を持てるかどうか、という気がしますが…どうでしょうか。

異種格闘技戦に挑むメイウェザー

格闘技リング「RIZIN.」(榊原信行実行委員長)が、超特大の爆弾を落としました。

大みそかに開催する「RIZIN.14」(さいたまスーパーアリーナ)にプロボクシングの元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41=米国)が参戦する、という衝撃的なニュース。このほど正式発表され、対戦相手もキックボクシング界の“神童”那須川天心(20)に決まりました。

「RIZIN.」を創設した実行委員長の榊原信行氏は、かつて総合格闘技リング「PRIDE」シリーズを運営した辣腕プロデューサー。今回のメイウェザーvs那須川戦を「平成最後にして最大の異種格闘技戦」として「PRIDE」時代の熱狂を「RIZIN.」のリングに再現させたい、と意気込んでいます。

プロボクサーの格闘技リング参戦というと、思い出すのが2003年、立ち技打撃系格闘技「K-1」が、元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)に接触、積極的に招へいに動いたことです。

とともにK-1は、翌2004年には、グレイシー柔術のヒクソン・グレイシー(ブラジル)獲得に乗り出すことも明言。タイソンvsヒクソンの究極の異種格闘技戦実現をも匂わせました。

残念ながらこれらは実現までには至りませんでしたが、過程においてファンの注目を集めていました。

今回、メイウェザーがリングに上がることは確定。かつての「PRIDE」は、クオリティの高いマッチメークを第一にしていましたが、それを受け次いで榊原実行委員長は、ファンが求めるものは何か、を最優先に考慮し那須川の指名に至っています。

“天才”天心と激突!

ところで・・・最大の注目は、どういうルールで行われるのか、ということでしょうね。

ルールの交渉は「これから」(榊原実行委員長)とのことですが、同委員長は、ボクシング・ルール、MMAルールはない、と明言しています。

従って行われるのは〈スタンディング・バウト〉を柱に、それにともなう細かいルールをどうするか、が焦点になりそうです。つまり、グローブをボクシング用のものにするのか、あるいはオープンフィンガーグローブにするのか、またキックをどうするのか、ウエートをどうするのか、などの問題です。

これらはメイウェザー側の注文が多く予測され、難航するかもしれませんね。

メイウェザーについて言えば、2015年5月2日、今世紀最大の一戦、としてマニー・パッキャオ(フィリピン)戦をラスベガス(米ネバダ州)で行い判定勝ち。同年9月の試合(対アンドレ・ベルト=判定勝ち)を最後に引退を表明したものの2017年8月、総合格闘技リング「UFC」に登場、UFC世界ライト級王者コナー・マクレガー(アイルランド)とボクシング・ルールで戦い10回TKO勝ちを収めています。

今回の「RIZIN.」参戦は、それ以来、1年4カ月ぶりのリング-。

メイウェザーはこれまで、持ち味のスピードと反応の速さ、左肩で攻撃をブロックする「L字ガード」など多彩な技術でビッグマッチを制してきました。

その戦いぶりは、相手をかわす、正面からぶつからないつまらない内容が多く、ファンのブーイングに包まれることも再三でしたが、一方、そうした結果が50戦無敗の戦績を生みだしてもいます。

「RIZIN.」での那須川戦が、ブーイングに包まれるような展開になるのか、あるいは拍手に包まれるような展開になるのか、それは試合を見なくては分かりませんが、平成最後の大みそかの夜、ファンが願うのは、見応えのあるものにしてもらいたい、であることは当然、メイウェザーはぜひ、その期待に応えてもらいたいですね。

“神の子”にむごい仕打ち

9月18日午後に伝えられた訃報に一瞬、耳を疑い、少なからず驚かされました。

プロ格闘家・山本“KID”徳郁(本名・岡部徳郁)さんの死です。

1977年(昭52)3月15日生まれ。享年41。エッ、あのキッドが? 早すぎるだろ、なぜ、と、しばし声を失いました。

私が、1972年ミュンヘン五輪レスリング(グレコローマン)日本代表の山本郁栄氏を父に持つ山本一家と初めて接触したのは1987年の「全日本女子レスリング選手権」でのことでした。

同大会は全日本女子プロレスと提携してこの年に初めて単独開催され、長女の山本美憂(当時13歳=現プロ格闘家)が出場するというので取材に当たったのです。

このころの美憂は、レベルの違う強さを発揮してこの大会優勝を飾り、その後も、全日本4連覇を達成するなど敵なしの強さでした。

自慢の娘の活躍-。このとき父親の郁栄氏は、美憂の弟で長男のKID、KIDの妹で次女の聖子も頑張っていますのでヨロシク、などレスリング一家をアピール、雑談を交わしたことを覚えています。

その後、しばらくは取材の機会がなかったのですが、修斗で腕を磨き、26歳に成長したKIDが、立ち技打撃系格闘技のK-1に名乗りを上げたのが、2004年2月24日に東京・代々木第2体育館で開催された中量級大会の「ワールドMAX」でした。

魔娑斗らの活躍で人気絶頂の中量級大会にまた、注目の格闘家が殴り込み。プロレスラーの村浜武洋と対戦したKIDは、姉・妹の大声援の中、2回2分38秒、連打から左フックを命中させ初陣をKO勝利で飾りました。

しかし、KIDはこの試合で右手中指を骨折ドクターストップがかかり、準決勝戦を棄権せざるを得なくなりました。

これを機にKIDは、K-1の「Dymamite!」や総合格闘技の「HERO’s」「DREAM」「UFC」などのリングで活躍、身長1メートル63の小柄な体格ながら、タトゥーも多く、ちょっと危険な雰囲気を漂わすスタイルで人気を得ていました。

しばらく音沙汰がなかったKIDは、この8月26日にがん闘病を公表しました。これだけでも信じ難い出来事ですが、新聞報道によると、グアムの病院で治療の日々を送り、公表からわずか3週間で逝ってしまうとは・・・“神の子”に何とむごいことを、と何とも言えない胸中です。

一難去って~厳しい再生の道

数々の不祥事が明るみに出て社会をにぎわせていた日本ボクシング連盟・山根明会長(78)が8月8日正午過ぎ、大阪市内で辞任を表明しました。

参考までに-。

「日本ボクシング連盟(JABF)」は、日本国内のアマチュアボクシング競技を統括する団体。山根明氏は2011年4月、会長に就任。翌2012年10月から終身会長に就いています。

記者たちを集めて行われた辞任表明は、しかし、質疑応答のある記者会見ではなく、立ったまま、一方的に“声明発表”という形でその旨を発表しただけ。要した時間はわずか3分弱程度のものでした。

声明発表で語られた「辞任する」には「何を」が抜けており、会長職(終身会長職)なのか、理事職なのか、あるいはその両方ともなのか、がハッキリせず、そのあたりが“いかにも・・・”といった、いい加減さが感じられる辞任表明でした。

が、そうしたこととは別に、この問題がこれで終わったわけではなく、傷つけられたものをこれからどう治療していくか、という立て直しのほうに重きを置き、多くの時間が割かれなければならないことでしょう。

まさに噴出したという形で次々に明らかにされていった、一人の権力者による専横が巻き起こした数々の不正疑惑でしたが、私が許し難いと思うことは、やはり、試合における〈不正判定〉の問題です。

テレビの情報番組で再三、画像が流されたものに2016年(平28)に開催された「いわて国体」での成年男子バンタム級1回戦の試合がありました。

選手たちを傷つけた責任は重い

岩手県の選手が相手の奈良県の選手に2度のダウンを与え、試合後、勝利を確信して片手を挙げましたが、レフェリーが手を挙げたのは、奈良県選手のほうでした。

この結果に対しては、確かに山根会長が言い訳したように、アマの試合でのダウンは、プロの試合のようにそれほど重きを置かず、、クリーンヒットの中の一つとしてジャッジするだけ、ではあるでしょうが、それも程度問題だし、最も許し難きは、そこに至る“根回し”です。

山根会長が以前、奈良県連盟の会長を務めていたことで、暗黙の了解事項として存在していたこの「奈良判定」は、関係者の裏付ける言葉、生々しい肉声データなどで次第に事実関係が明らかになっていきます。

とともに大学のボクシング界でも、山根会長が芦屋大学のボクシング部設立に尽力したことから、芦屋大学の選手が有利な判定が下されることなどが証言されました。

これらの不正によって一番傷つくのは選手でしょう。

辛い練習の日々からやっと、ここまで辿り着いたのに何なんだ! 失望のあまりグローブを吊るした選手だっていたことでしょう。輪をかける山根会長の反社会勢力との交際・・・。

本当に傷つくのは選手たちですよ。青少年たちですよ。彼らを失望させ、ボクシングというスポーツを誤解させた責任をしっかりと取れる人はいるのですか?

「日本ボクシングを再興する会」が投げつけた告発騒動は、一つの区切りに至りましたが、次に控える再生への道は、口で言うほど簡単ではなく厳しいことと思います。

しかし、その厳しさを受け止め、乗り越えなければ、それこそ日本のボクシング界は沈んでしまうでしょう。

来たるべき2020年東京五輪でのボクシング競技は、判定問題を含むさまざまな問題点が明るみに出ていることから、除外の方向に向かう可能性も出ているのですから・・・。
プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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