試練の名古屋場所開催

野球賭博問題で揺れる大相撲界ですが、不祥事で混乱する中、関連してこちらも大きな問題となっていた名古屋場所の開催(7月11日初日=愛知県体育館)も強行開催される方針が固められました。

賭博に関与していた力士や親方を調査していた外部有識者によって構成される特別調査委員会(伊藤滋座長=早大特命教授)が日本相撲協会(以下協会)に提示した、同調査委の処分案を実行するなら名古屋場所の開催を認める、という勧告を、同協会が受け入れたためです。

場所を開催する、しないの問題は協会にとって死活問題でしょう。本場所の中止など歴史的に見ても極めて異例の事態なのです。6月28日に予定されていた番付発表が延期(7月5日に決定)され、とともに場所開催も危ぶまれる情勢でしたが、協会が選択した最優先順位(第一に場所開催)により、何とか回避された形となりました。

ファンを含む世論は、騒動の内容が内容ですし、関与した大量の力士たちが謹慎により欠場する中での場所開催には賛否があることと思います。事実、私の周辺にも「まず場所は中止にすべきだろう」とか「割(取り組み)の操作がどうのという次元の問題でなく、協会の襟(えり)の正し方の問題でしょう」と、場所開催に首をかしげる声が多く聞かれています。

私自身の考えは「場所を開催してもいい。が、NHKの中継は中止にすべき」です。つまり、協会が場所を強行開催するということは、ファンを含む世論の審判(=判決)を真摯(し)に問う覚悟が必要となりますし、そういう場にテレビ局の少なくはない放映権料は必要ないでしょう。中継に関してNHKは、7月4日に行われる協会の臨時理事会&評議委員会の結論を見据えて対応したいと結論を先送りにしているようですが、反社会勢力との関わりを重視するなら公共放送として中止は当然の判断ではないかと思います。

大相撲界がこのところ起こした時津風部屋の力士暴行死事件や薬物汚染事件、さらに今回の野球賭博事件にしても、関わった連中の“ほんの仲間内の出来事”意識が、大きな問題として社会の明るみに出る結果となっています。これは社会常識とかけ離れた感覚を持つ相撲界の部屋組織、それを管理しなければならない立場にある協会側にも依然としてある、同様の感覚が起こしていることは避けがたいところです。

日本相撲協会は1925年、相撲に関する伝統文化の保持のために文部科学省所轄の財団法人として設立されています。部屋内部の不祥事が明るみに出るたびにその非社会性が厳しく問われ、協会を含む相撲界全体の構造的な問題が糾弾されるのも、興行最優先で財団法人としての公益的な役割を果たしているのか、という指摘がまず、前面にあるからです。

窮地の中での名古屋場所開催は、公益法人としてのあり方をあらためて見直す意味でもいい機会だと思うし、相撲界全体は今回の強行開催に危機意識を強く持って原点に立ち返るべきでしょう。

名古屋場所が成功するにしても惨敗に終わるにしても、それを信頼回復への第一歩とする認識がなければ、同じ失敗は何度も繰り返されることになります。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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