正念場の坂田戦

カメダ・ダイキ? ン? そういえばそんなボクサーがいたっけネ~。
日ごろ、皮肉屋で口の悪さが持ち味の友人がニヤニヤしながら言いました。

ファンが聞いたらカリカリしそうな、人を食った言葉と態度ではありましたが、とはいえ今年2月7日、一度負けた王者デンカオセーン・カオウィチット(タイ)との再戦に判定勝ちしてWBA世界フライ級新王者となった亀田大毅(21=亀田)のその後の影の薄さは、そう言われても仕方のないところがあったかもしれません。

そういうわけでもないでしょうが、久々に姿を見せたのが7月25日に行われた「トリプル世界前哨戦」(大阪・大阪府立体育館)のリングでした。プロ5戦目となるホープ・井岡一翔(井岡)、スーパーフライ級の3階級目を狙う亀田興毅(亀田)の試合に挟まれた亀田大のノンタイトル戦。現役世界王者のこの手の調整試合は珍しいのですが、亀田大陣営としては、秋に控える元王者・坂田健史(協栄)戦を前に打診のひと試合を入れておこうとのもくろみだったでしょう。

もっとも、この試合が王座奪取後、約5カ月ぶりであれば、皮肉屋の友人ならずとも、ダイキは何をしてるんだ! と忘れられてしまいかねない情勢です。そのあたりが西岡利晃(帝拳)や王座を陥落してもなお、注目を浴び続ける長谷川穂積(真正)、ホルヘ・リナレス(帝拳=ベネズエラ)ら一線級の存在感と大きく違うところ。亀田大にとっても、ベルトを獲得したものの、その重さをひしひしと感じるところでしょう。

調整試合の焦点はただひとつ、世界王者となった亀田大がその後、どう成長したか、ということでした。勝ち負けの興味などは、この試合に負けることなどあり得ないわけですから(負けでもしたらタァァ~いへん!)最初から度外視です。

身につけたい「幅の広さ」

案の定、積極期には攻め込んでこない相手のロセンド・ベガ(メキシコ)に対し亀田大は、プレッシャーをかけつつ前進、接近して威力のある左攻勢で優位に立ちます。3回は左の後、右ストレートを決めてダウンを奪いますが、4回以降は狙いすぎのためか手数が減り、結局、倒すことができずに判定(3-0=亀田大にフルマーク)勝ちとなりました。

概して言うと“大味”に終始した10ラウンドでした。採点が亀田大にフルマークだったことも相手が相手、とまたぞろ、いつもの論議が繰り返されてしまいます。坂田戦を視野に入れる亀田大にしてみれば、さまざまな戦術を試してみたかったのでしょうが、もともとそれほど多彩な技術があるわけでもなく、試合を終えて本人もどこか不完全燃焼だったのではないでしょうか。

世界王者が備えていなければならないのは「多彩な引き出し」「幅の広さ」だと言われます。頂点に立った瞬間に喜びはつかの間、直後から世界のさまざまな曲者にその首を狙われる立場となるからです。どんな相手が向かってきても対応できる幅の広さを身につけることは、世界王座を奪取後から大きく変わった西岡の戦い方に明らかでしょう。

亀田大の坂田との因縁タイトルマッチは9月25日(東京ビッグサイト)に行われることが正式に決まりました。坂田には序盤のポカという欠点がありますが、基本的には根性の人、終わりのない連打が持ち味で、それにより世界の頂点に立った努力のボクサーです。

どことなく戦い方に“甘さ”が残る亀田大があと2カ月、自分の形をどれだけ広げて対応力を身につけられるか、が難しい初防衛戦となる坂田戦の課題でしょう。世界王者の意地! 亀田大は兄貴が負けたWBC王者ポンサクレック(タイ)と統一戦をやるくらいの根性を見せ、アレッ? まだいたの? などという酷評を覆して注目度を上げてもらいたいものです。

スポンサーサイト
プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR