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「柔道」復権のとき

日本の柔道が“本家”としての復権を懸ける正念場が近付きました。9月9日から東京・国立代々木競技場で開催される「世界柔道選手権」の舞台です。世界の流れとなった「JUDO」に苦戦を強いられ続けた日本の「柔道」が、03年大阪大会以来、7年ぶりの母国開催で面目を保てるかどうか。今回の世界選手権は、これが柔道! を主張する場、とともに日本選手に責任の“重さ”がのしかかる大会となりそうです。

「これは柔道じゃない!」

日本選手がパニックに陥ったのは、07年のリオデジャネイロ(ブラジル)大会でした。まず、100キロ超級2回戦で井上康生が微妙な判定に涙を飲みます。仕掛けた大内刈りで相手の体勢は崩れましたが、倒れ際に振られて井上も倒れます。判定は相手の返し技を「有効」として井上の負けとなりました。

続く100キロ級2回戦の鈴木桂治に至っては“誤審”と紙一重の負けでした。大外刈りで相手の背中を叩きつけながら、畳に落ちた後に相手が仕掛けた捨て身の返し技(横分かれ)に鈴木も倒れ一本負け。陣営の猛抗議も後の祭りでした。

「何かがおかしい」

90キロ級3回戦で敗れた泉浩が不可解判定に首をかしげました。肩車からの投げがすっぽ抜けて体勢を崩したところに相手が上からのしかかって「技あり」を奪われてしまいます。「ポイントを取られる問題ではない。自分で仕掛けて自分で崩れただけなのに・・・」が泉の言い分。が、ジャッジは相手の「返し技」をポイントに取っていました。

ここで起きた日本勢の“まさか”の敗戦は、日本の「柔道」の認識と欧州の「JUDO」のそれとのギャップが原因でした。技を仕掛けて崩した方なのか、あるいは崩されても最後に背中をつけたのはどちらの方なのか、の差です。結局、この大会、まったく不完全燃焼のの日本男子勢は金1個(女子は2個)だけに終わりました。

示したい世界基準

「JUDO」に傾く世界の流れの中で本家の「柔道」がその後も低迷を強いられます。09年のロッテルダム(オランダ)大会での男子勢は、ついに金ゼロの惨敗。世界の渦から完全にはじき出された形となりました。日本男子勢は、今年の世界選手権をそんな悪い流れの中で迎えることになったのです。

国際柔道連盟は今年1月、欧州勢に顕著だったレスリング的な下半身への直接攻撃を禁止としました。まず、最初に組む。これは日本柔道の基本的な姿勢です。そこでメリハリのきいた一本勝ちを目指したい。

巡ってきた今回の母国・東京大会は、日本の柔道こそが世界の基準、を毅然と示す責任が、出場選手ひとりひとりに課せられることになります。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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