元気がない大晦日の格闘技イベント

テレビ派の方々はさて、今年の大晦日夜、チャンネルをどこに合わせるのでしょうか。

というテーマを挙げたのも、当日開催される恒例の格闘技イベント「Dynamite!!」(さいたまスーパーアリーナ)の前評判がイマイチといったところで「紅白歌合戦」が今のところ、優位に立っているようだからです。

〈大晦日の主な各局視聴率合戦〉
NHK総合=「紅白歌合戦」(午後7時30分~同11時45分)
日本テレビ=「ダウンタウンの大晦日スペシャル」(午後6時30分~午前0時30分)
TBSテレビ=「Dynamite!!」(午後9時~同11時45分)


今年の「Dynamite!!」には、あのアントニオ猪木氏が久々にエグゼクティブ・プロデューサーとして参戦、トレードマークの赤いマフラーを首にかけ「紅白をぶっ飛ばせ! ダーッ!」と相変わらずの気勢を挙げています。

大晦日の格闘技興行は、いまや当たり前の行事となっていますが、もともとは00年12月、猪木氏が仕掛けたものでした。

「紅白歌合戦にひと泡、吹かせようじゃないか。外にいるヤツ、みんな集まれ~!」

これが猪木氏の号令。なんだかんだ、ごちゃごちゃ言わずにとにかくやってみようじゃないか! というわけで会場となった大阪ドームには、総合格闘家とプロレスラーが垣根を外して大集合、ごちゃまぜの“おもちゃ箱”状態となりました。

取材に出向いた私の記憶では、大晦日という特別な日、カウントダウンの興奮もあって観客は何が何だか分からずにやたら盛り上がり、何か何だか分からないうちに終わったイベントの余韻を漂わせながら、楽しそうに初日の出に向かった、などという感じでした。

このとき取材に当たった新聞・雑誌各社の担当記者は、これはあくまで1回だけの特別なイベントであり、来年からはないだろう、と皆、思っていましたが、振り返って見れば、それは甘い考えでした。

翌01年にはK-1を率いた石井和義・正道会館館長(元)が、ごちゃまぜの猪木ワールドをK-1軍vs猪木軍の図式で整備。それなら、とテレビもTBSが手を挙げ、全国ネット放送を掲げてNHKの牙城に本格的に殴り込んできました。以来、私たちは、このドン・キホーテたちの夢想につき合わされ、実に今年で11年連続、大晦日は家にいたことがない、元旦朝帰り、という、悲運にさらされているのです。

格闘技興行はあくまで「裏」でいい

まあ、10年もの長い間、続けていれば、この大晦日の格闘技イベントも山あり谷あり、いろいろなとこが起こります。最盛期となった03年には日本テレビ、フジテレビ、TBSの3局が競演し、TBSの「Dynamite!!」が平均19・5%の視聴率を獲得、瞬間最高では43%と一時的に紅白歌合戦を打倒する数字を記録したりしました。

国民的行事の「紅白歌合戦」は表、その打倒を目指す格闘技イベントはあくまで裏、とにかくダメモトでやってみようじゃないか、という開き直りが、その当時、面白さを生んでいたと思います。

が、10年もの継続となると、次第に“表意識”が強くなってしまうのでしょうか。最近の大晦日の格闘技イベントには、初期のころと比較してゲリラ的発想の面白さが欠如しているように思えます。

スポニチ本紙の担当記者は、12月29日に行われた出場選手の会見で、今回初参戦の北京五輪柔道100キロ超級金メダリスト・石井慧が「Dynamite!!が表で紅白が裏であることを認識してほしい」と話したことを伝えていますが、石井クン、それは違うのです。裏だからこそ自由奔放、やりたい放題ができる、ということを知らなくてはいけません。

そして「裏ならでは・・・」できる大胆さ、ゲリラ性は、大晦日という特別の日に格闘技興行をはめ込んで定着させた猪木氏が一番、よく知っていることなのです。格闘技界は、石井の相手になぜかレ・バンナを持ってくるような平凡、かつ安易なマッチメークでいいのか。桑田佳祐を引っ張り出して、歌うのか、歌わないのか、の興味を当日の焦点とする「紅白歌合戦」に、格闘技界はお株を奪われてしまった感じもしますが・・・。



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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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