独善的男乃着物考其ノ9

さて、閑話“本”題?-。

きょうは久々に、この連載(注=「独善的男乃着物考」シリーズは「日常」の項目に収めています)を書いてみたくなりました。というのも過日、街中で最近、ほとんど見かけなくなった男の着物姿に遭遇したためです。

この時期、暑い7~8月は“着物の四季”での「盛夏」にあたり、着るもの(長着)は基本、透ける素材の選択となります。まあ、盛夏用の素材には、上布(高級な麻)、カジュアルな麻(小千谷縮など)、薄物としては紗(しゃ)や絽(ろ)などが、ざっと頭に浮かびます。

が、こうしたものを暑い中で涼しげに・・・などというのは、着物雑誌&書の活字の世界だけのもので、実際、近年の温暖化現象の中、異常に暑いニッポンの夏にあっては、どんなに着物好きでも、この季節だけは、ご勘弁願いたい・・・というのが本音ではないでしょうか。

ところが、です。人一倍、汗かきの私などは到底、信じられないことですが、涼しげに・・・というのは本当にあるものなのですねェ。街で出会ったその御仁のいでたちは、ピンクの半襟をつけた白長襦袢に、紗か絽か分かりませんでしたが、薄いブルーの透ける素材の長着で下の白を透かせ、この暑い中で涼しげな印象を周囲に与えていたのです。

「涼しげ」な印象こそ夏着物の魅力

無理をしてでも格好をつけ、とにかく着物! などといっていた2年ほど前の夏、大失敗してしまったことを思い出します。友人と鎌倉に行こう、ということになり、では着物で・・・ということに即、なりました。

私の夏着物は、モスグリーンの小千谷縮ですが、まず一番下に汗取り用の肌襦袢をつけ、そのうえに半襦袢、下はステテコ、そして小千谷縮の長着をまといます。帯は夏に合う博多帯です。ちなみに足元は、私の場合、下駄は履かず、素足に雪駄です。

と、まあ、ここまでは夏用として間違ってはいなかったと思いますが、羽織好きの私としては、どうしようかと迷いつつ、つい縦絽(たてろ)の透ける黒の羽織を着て出かけてしまったことが、大きな間違いでした。

いやはや、暑いのなんのって、とんでもないことになりました。羽織は洋服でいうジャケットの扱いであり、それであれば、暑ければ脱いで手に持てばいいのですが、着物の場合、暑いからといって羽織を脱いで手に持っていいものでしょうか。それがいいか、悪いか、などという話は、ほとんど聞いたこともなく、吹き出る汗にジッと耐え抜く、拷問の時間となってしまいました。

そんな苦い経験もあり、盛夏での着物はできるだけ避け、ただひたすら、秋風が吹き始めるく10月を待つのですが、街で出会った御仁のように、ちょっとピンクの半襟には抵抗を感じましたが、汗もかかない涼しげな様子でいられるなら、夏の着物は本当に魅力的ではありました。

・・・で、ついでにもうひとつ、夏の浴衣の賛否です。

この季節になると昨今、浴衣が大変な人気となりました。地域の「イトーヨーカドー」などをのぞいてみても、若い男・女性向きに、ワンタッチ着脱式の帯、下駄などを含めた一式がビニール袋に収められて安価で販売されていたりします。

それはそれでいいのですが、浴衣はもともと、入浴時の下着、あるいは入浴後の汗取り、などとして着られたものであり、外出着ではありません。まあ、今の時代、電車に乗って浴衣で花火見物に・・・などという姿に文句などはつけませんが、その帰り道、汗でべっとりと肌に張りつき、特に若い男性の、デレっとした着崩れた浴衣姿などを電車の中で見ると、オイオイ、何とかしろよ! といいたくなってしまいます。

私たち、ある程度の歳を重ねた人たちは、浴衣姿も(近場なら)悪くはありませんが、やはり、涼しげに着られることを条件に、カジュアルな麻など、一ランク上の夏着物にこだわった方がいいのではないかと思います。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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