「サイアムの悲劇」に見たゴルフの怖さ

いやはや・・・怖いものですね~。

メンタル・ゲームのゴルフは、ホント、何が起きるか分かりません。そして起きたことはすべて、自身が起こしたことであり、結末をすべて、自身で背負わなければならないのですから、酷です! まったく酷です!  

前週2月24日に終了したUSLPGAツアー「ホンダLPGA」(タイ・パタヤ=サイアムCC)最終日の出来事。それは、あるいは同ツアーの今季の“事件?”史に挙げられることになるかもしれない、まさに「サイアムの悲劇」でした。

展開を生中継するWOWOWの画面から、思わず目をそむけたくなった悲惨な光景を振り返ってみましょう。

地元タイの若きホープ、17歳のアリヤ・ジュタヌガーンが、通算14アンダーの首位で勇躍、最終18番(479ヤード、パー5)を迎えました。途中、競り合った朴仁紀(韓国)は、一足先に通算12アンダーでホールアウトしています。

ジュタヌガーンは、猛追の朴に一時は首位の座を譲ったものの、12番(161ヤード、パー3)で信じ難い、奇跡的なホールインワンを決めて首位を奪回。タイ・バンコク出身の選手が初めて、米女子ツアーに輝かしい“優勝”の2文字を刻み込む瞬間も、あと1ホールと目前に迫り、地元ギャラリーの歓声も一段と高まりつつある様子でした。

第1打、フェアウエーをキープしました。第2打、ジュタヌガーンがフェアウエーウッドを手にします。と、そのとき、WOWOWのラウンド・リポーターを務めていた小田美岐プロが、アッと声を上げ、何かを言いたそうでしたが、ジュタヌガーンがアドレスに入ったため、小声で「後で話します」と“音”を控えました。

ジュタヌガーンのこの1打は、トップ気味のミスショットとなり、ボールは上がらず、距離も出ず、グリーンまで約50ヤードほどの右フェアウエーバンカーへ。しかも、ボールは、アゴの真下に突き刺さる、という最悪の状態となってしまいました。

過酷な現実・・・くぐり抜けて強くなれ!

小田プロが、言いかけたことを話し始めました。

〈ライがちょっと難しいかな? と。前下がりで左足下がりだったんですね。ボールを上げにくい状況。大事な場面。なぜ、アイアンで刻もうと思わなかったのかな? と、私は思ったので・・・〉

ホールアウト後にジュタヌガーンは、この1打に関し「18番は毎日2オンしていたので・・・。狙わなくてもいいのに狙ってしまった」と振り返りました。初優勝という自らの偉業に向けて最後の1ホール、何を最優先しなければならないか、という重要テーマを、この場面で冷静に実行できるかどうかの課題、17歳にとっては難しいことだったのでしょう。

アンプレアブルを宣言してバンカー内にドロップ。そこからの第4打は、グリーンをオーバー。慎重にパターでアプローチしたものの、負の連鎖は続きショートでカラーまで。第6打でやっと、カップに約1メートルとなりました。

これを入れれば、ダブルボギーで通算12アンダーとなり、朴とのプレーオフとなります。が、ジュタヌガーンの顔にもう、それに向かう気力は感じられず、心の動揺を抑えるのに必死といった様子です。打たれたボールは、そんな心理を反映させるように非情そのもの、左からカップを半周して入らず、悪夢のトリプルボギーで奈落の底に突き落とされてしまいました。

WOWOWの解説を務める森口祐子プロも、もう声がありません。

〈あんな場面でホールインワンが出るものなのか、という驚きと、大きすぎるその代償・・・厳しい、というより、厳しすぎる現実ですね。それらをくぐり抜けて皆、強くなるのですが・・・そうなってほしいですね〉

この痛恨過ぎる出来事を背負ってジュタヌガーンが、この1年をどう過ごすことでしょうか。

プロ転向を宣言したばかりのルーキー選手、USLPGAツアーの出番は少ないとのことですが、ジュタヌガーンという名前は、忘れがたいものとなりました。

次にこの名がクローズアップされるとき・・・今度は悲劇の主人公としてではなく、歓喜の渦の中でうれし涙を流す姿とともに、であってほしいものです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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