相手を“手玉に取る”巧(うま)さ

26歳のこの若武者は、何かひとつ、大きな壁を乗り越え、高みに突き抜けたように感じました。

9月27日夜、大阪(エディオンアリーナ大阪)で行われたプロボクシングWBA世界フライ級タイトルマッチで初防衛を果たした3階級制覇王者・井岡一翔(井岡)です。

昨年5月、井岡家悲願の3階級制覇を懸けてIBF世界フライ級王者アムナト・ルエンロン(タイ)に挑み判定負け。その後、今年4月、WBA世界フライ級王者ファンカルロス・レベコ(アルゼンチン)に挑み判定勝ち。ミニマム、ライトフライ両級に続く3階級制覇を成し遂げました。

その初防衛戦は、井岡にとって、いってみれば、自身のボクシング・ロード〈第二章〉の始まり、という位置づけで注目されるところとなりました。

3階級目のフライ級チャレンジで初戦(アムナト戦)敗退。それを受けて第2戦(レベコ戦)は、もう負けは許されず、勝つための“安全運転”のボクシングに徹したこともあり、初防衛戦は、どういう戦い方をするのか、果敢にKOを狙いにいくのか、ということも見逃せないところでした。

レベコに続くアルゼンチンからの刺客ロベルト・ドミンゴ・ソーサ(30)は、1階級上のスーパーフライ級からウエートを落としてきた選手です。それだけにガッチリした体格、リーチも井岡の1メートル68に対して1メートル73と5センチ長く、パンチ力もありそうでした。

井岡の第2章は文句なしの完勝!

さて、ゴング-。序盤戦を振り返ってみます。

ソーサは、左肩を前に出した半身の構えで大振りのパンチを繰り出して来ます。それに対して井岡は、プレッシャーをかけ、速いジャブを軸に相手のパンチの打ち終わりに鋭いカウンターを放つ戦い方です。効果的なボティー攻撃・・・。

結果を先に言うと、井岡の判定勝ちとなったこの試合、私の採点は、井岡にフルマークの「120-108」でした。ちなみに3人のジャッジも、1人が120-108、2人が119-109、の大差をつけていました。

つまり、展開は、序盤から井岡は、相手の繰り出すパンチを完全に見切り、絶妙の距離感で効果的なカウンターをビシビシと打ち込みます。それもノーモーションの速いパンチ。下から上への打ち分け。うかつにパンチを出せば倍返しで返される状況に追い込まれ、もはやソーサは、1人でやけっぱちの大振りを繰り返すだけとなっていました。際立つ井岡の冷静さ・・・。

この初防衛戦で井岡に足りなかったのは、これは会場のファンも、テレビ観戦のファンも、同じだと思いますが、KOを狙ったこともあったでしょうが、狙い過ぎて手数が少なかったことでした。

これに対して井岡は、試合直後のリング上のインタビューに「KOを見せたかったが、まず勝てて良かった。勝てたことが結果として大きい」とコメントしていました。

挑戦者を〈手玉に取った〉いい形の勝利で、井岡の第2章はスタートしました。今後の進む道が注目されますが、井岡は4階級制覇より当面、フライ級最強を証明する試合をしたい、と明言しています。

井岡の快勝を伝える9月28日付のスポニチ本紙は、井岡の独占手記を掲載していますが、その中で井岡は〈(略)この階級は強豪がそろっている。近い将来に強いチャンピオンと統一戦が出来たら面白い(略)〉と書いています。

無敵の“ロマゴン”ことWBC王者ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)、WBA&WBO統一王者ファン・エストラーダ(メキシコ)、あるいは唯一、黒星を喫したIBF王者アムナトとのリベンジマッチ・・・。

陣営が「年内にもう1試合」という恒例の大みそかの試合は、レベコとのリマッチが、今のところ濃厚となっており、井岡の進む道は、中身の濃いものとなりそうです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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