“侍ジャパン”が魅せる死闘

それこそ1球ごとに、1打ごとに、手に汗握る緊迫感-。

野球の国・地域別対抗戦「WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)」で日本代表の“侍ジャパン”が、野球の面白さを、これでもか! とばかりに魅(み)せてくれています。

チームを率いる日本代表・小久保裕紀監督が「日々、死闘です」というように、野球というゲームが「JAPAN」の名を背負って死闘を繰り広げると、こうもスリリングなものになるのか、と改めて思い知らされた感じです。

1次ラウンド、2次ラウンド(ともに3試合)を全勝(6勝)で準決勝に進出。激戦の場を米カリフォルニア州ロサンゼルスのドジャースタジアムに移して現地時間3月21日(日本時間同22日)から始まる決勝トーナメントが楽しみになりました。

一般的にスポーツの試合を、会場で観戦するなり、テレビで観(み)るなりして、そのときの興奮を翌朝、配達される、あるいは駅などで買う、スポーツ新聞でもう一度味わう、という流れは、活字離れが顕著な昨今、次第に失われつつある傾向にありますが、そうしたパターンを“侍ジャパン”が、取り戻してくれていることは、スポーツ新聞づくりに携わってきたものとして嬉しいことです。

それは“侍ジャパン”の活躍に限らず、プロボクシングのWBC世界バンタム級王者・山中慎介(帝拳)の“神の左”の炸(さく)裂だったり、プロゴルフの松山英樹(LEXUS)の優勝争いだったり、スポーツ新聞づくりは、激闘が展開されればされるほど、つくり手に伝わるものも熱くなり、生きた紙面が出来上がります。

その象徴の一つにカメラマンの“気合”が挙げられるでしょうか。

観客、報道陣もともに戦う代表戦

今回のWBCにしても、2次ラウンドのオランダ戦で本塁打を放った中田翔内野手(日本ハム)や同ラウンドのキューバ戦で本塁打を放った山田哲人内野手(ヤクルト)、さらに同ラウンドのイスラエル戦で均衡を破る先制の本塁打を放った筒香嘉智外野手(DeNA)ら一面の写真を飾ったヒーローたちに共通しているのは、これはチャンスを狙うカメラマンの意地でもあるでしょうが、ピタリとピントを合わせた「目」です。

凄いですね。「目は口ほどにものを言う」と故事にありますが、彼らの目はいずれも、鋭く、意志的で、その一瞬をとらえるカメラマンも並みではないですね。

新聞社カメラマンの世界は、デジタル・カメラの普及で歴史的な変革を遂げた、とも言われます。いわゆるフィルム(銀塩)カメラ時代は、もちろん、いい写真を撮ることが最優先ですが、その前に経費の節約があり、フィルムの使用を抑えつついい写真を頼むよ、との条件がつきます。

そうした制限が“名人”を生みます。例えばゴルフで言うなら、若手が最新式のクラブで当たり前のように300ヤードを飛ばす中、じゃ、このパーシモンで300ヤード超えを打ってみろよ、という“職人技”の持ち主ですね。

デジカメが出てくる前、私の先輩にボクシングを撮らせたら右に出るものがいない、という名人級のMさんがいました。ボクシングの写真では、パンチが顔に当たって顔が歪み、激しく汗が飛び散っている、というシーンをよく見かけます。そうした瞬間を得意にしていたMさんに言わせると、このシーンをキャッチするには、パンチを出すな、と思った瞬間にシャッターを押してないと間に合わないのだそうです。

そのためには・・・リングサイドでカメラを構えるカメラマンも、選手と一心同体となって戦い、選手の気持ちになっていなければ、瞬間にシャッターが押せないということなのですね。カメラ革命で便利になっても、基本的な姿勢は変わらないということです。

“侍ジャパン”の活躍を切り取った、紙面を飾る1枚の写真に読者の皆さんは何を感じるでしょうか。

そこに・・・スタンドを埋めた観客の熱気、テレビ観戦のファンの熱気、選手たちの個を捨てたチームプレーへの献身、などが漂えば、それを伝える側も、記者冥利、カメラマン冥利に尽きるというものです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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