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「夕鶴」への挑戦②~“陰音階”を嫌う~

地域(神奈川県茅ケ崎市)の文化活動を担う茅ヶ崎市民劇団「湘南座」に熱がこもっています。

同劇団は12月1日、茅ヶ崎市の「市民文化祭」(茅ヶ崎市民文化会館)で木下順二氏原作の戯曲「夕鶴」を公演します。

「湘南座」は過去、この「夕鶴」を12回公演しており、同劇団の看板的な演目ですが、座長のI氏は、こう言います。

「子供たちだけでも出来ます。だけど演技力のある大人が何回上演しても“頂上”には至りません。役者や舞台装置が変わるとまったく別の作品のようにも思えてくる。とても奥の深い戯曲ですね」

…ということで10月23日から開始され、現在(10月31日)まで計4回行われた稽古には、何やら異様な緊張感が漂っています。

出演者は、鶴の化身つう、その夫・与ひょう、つうの織った織物で金儲けを企む村人の惣ど(そうど=私)と運ず(うんず)の4人ですが、ちょっと彼らの稽古開始前の様子をバラしてみましょうか。

つう役は、全体で2度、3度とやってくる「長台詞」に備え、一人無言で全身のストレッチを行い、声がよく出るように体をほぐしています。

与ひょう役は、まるで動物園で檻の中のクマが行ったり来たりしているように部屋の中を歩き回り、気持ちを集中させています。

惣どと運ずの悪役コンビは、この時期、まだ台詞を覚えるのが精いっぱいで、そろってぶつぶつと口の中で台詞をつぶやいています。

緊張感に包まれる稽古風景

緊張感に包まれた4者4様の動き…何かこの雰囲気は覚えがあるなァ、と思っていたら、私の頭の中に浮かんできたのは、学生時代に励んだ空手の稽古風景と類似していることでした。

なるほど…芝居の稽古も空手の稽古も同じか。稽古で出来ないものは本番でも出来ない。そういえばプロボクサーたちも、練習で出来ないものは本番のリングで出来るわけがありません、と練習に励んでいたっけ…。なんだ、みんな同じだな、ということが何となく分かってきました。

台詞を読み合う「読み合わせ」の中で座長のI氏がもっとも嫌うのが「陰音階」でした。これは“音楽の音階”にヒントを得たI氏の造語なのだそうですが、発音が「陰音階」なら暗い台詞となり、他方「陽音階」なら明るい台詞となる、ということです。

例えば「珍しい布」というセリフがあったとします。「布」がなければ「珍しい」は、最初に強調が来て「めず」あたりが強まり、「らしい」は弱まるのが普通でしょう。

が、その後に「布」がつくと「めず」が強調されず「らしい…布」と尻上がりの強調となりがちです。この発音が「陰音階」です。

音楽のコードに「メジャー」と「マイナー」があり、前者は明るい感じとなり、後者は暗い感じとなります。同様に「陰音階」の発音は暗くなり、それだけで場の雰囲気が変わってくる、ということで要注意! そうならないように…と厳しい言葉が飛んできます。

また、少々頭が弱い与ひょうを惣どが説得する台詞がたびたび出てくるのですが、惣ど役の私の台詞に、物わかりの悪い与ひょうへのイライラが伝わってこない、と何度も指摘され、座長のI氏には「5歳の子供に言い聞かせるようにやってみろ」と言われました。

う~ん、5歳の子供かあ。なるほど怒鳴るだけではダメ、優しい言葉も交えてなだめすかす感じか-。

といった具合で今回は、結構細かいところまで“やり直し”が入ってきます。

「湘南座」の計13回目の公演となる「夕鶴」が、果たしてどんなところに飛んで行き、どんなところへ着地するのか、私にはまだ見当がつきません。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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