“神の左”4発の凄い勝負!

観(み)ているこちらが、思わず「オオッ!」と感嘆の声を上げてしまうほどの凄い勝負でした。

とともにやはり〈決め手を持っていることの強さ〉をつくづく感じた試合でもありました。

9月16日の金曜日、エディオンアリーナ大阪で行われたプロボクシングのダブル世界戦-。11度目の防衛に成功したWBC世界バンタム級王者・山中慎介(33=帝拳)です。

同級1位の挑戦者アンセルモ・モレノ(31=パナマ)との対戦は、2015年9月22日(東京・大田区総合体育館)に山中がV9に成功したとき以来のリマッチとなります。初対戦時の山中は、モレノのディフェンスの上手(うま)さに再三、パンチを空転させられ、2-1判定のきわどい勝負を強いられました。

そのときのモヤモヤを払拭するべく、ともに決着戦の強い意志を持った2度目の対戦。まず、驚かされたのは、ディフェンスの上手さから「ファンタスモ(スペイン語で「幽霊」)」(打ってもそこにいない)と呼ばれるモレノが、いきなり、距離を詰めた積極的な勝負を仕掛けてきたことでした。

出てくるモレノを山中は1回、左フックで先制のダウンを奪います。が、4回、前に出たときのガードの甘さをつかれ、右のカウンターでダウンを奪われてしまいます。

序盤の4回終了時に3人のジャッジが出した公開採点は、1人がドロー、他の2人が山中の1ポイント優勢-。

因縁の相手との完全決着戦

エッ! 大丈夫? ボクシングに絶対はないし・・・と嫌な予感も一瞬、脳裏をよぎりますが、さすがですね、山中の修正能力は冴えていました。

今回のモレノとの再戦に向けて山中は、パンチが当たらなかった初戦を反省、当てるための距離を「3センチ伸ばす」こととして、肩のストレッチや柔軟性を高めるための工夫を繰り返した、といいます。

モレノは、山中の左に要注意の右フックを合わせ、攻め立てます。が、山中は冷静に対応。6回、強烈な左ストレートを命中させてダウンを奪うと7回、また左で吹っ飛ばし、連打からの左でこの回、2度目のダウンを奪い、レフェリーストップで勝利を勝ち取りました。

完全決着のためにモレノが積極的に前に出てきたことにより、初対戦のときより、山中が戦いやすくなったということもあったでしょう。しかし、この試合で感じることは、やはり、決め手を持ったものの強さ、でした。

山中の「左」などは、王者になって以来、世界中のどれだけの刺客に研究し尽くされてきたことでしょうか。それでも当てる。左を当てるための右の使い方などの工夫・・・敗れたモレノは「勝つためにリスクを冒した」と序盤、いい戦いを繰り広げましたが、6回に“神の左”をモロに浴びてからはガクッときた感じとなりました。

山中のコークスクリュー的な左は、その威力もさることながら、一撃を受けると、受けた側は、その後の闘争心をも薄れさせてしまうような力を持っている感じがします。

もう一つの世界戦、WBC世界スーパーバンタム級王座を奪取して3階級制覇を成し遂げた長谷川穂積(35=真正)の、ロープを背負った9回の打ち合いも凄いものがありました。

こちらも王者ウーゴ・ルイス(29=メキシコ)の戦意を喪失させた闘魂の勝利!

何かこう、いつも、ああだ、こうだ、と分析したがったり、説明したがったりする、私たち記者連中の習性を超えたところでの戦い、神がかった感動をこの夜の2人に感じ、私はしばらくボーッとして言葉を失っていました。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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