プロに迫るアマ~さまざまな背景

プロとアマの差」を比べるなら、ボクシングほどその差がある競技ないだろう、と以前、言われていました。

ボクシングのプロとアマは、そもそも戦い方が基本的に違う、というのがその理由でした。

プロは、倒して勝つ、ことを目標とし、だから戦い方も、前進、接近、倒すためのパンチ、など激しいものとなります。これに比べてアマは、倒すためのパンチより、ポイントを稼ぐためのパンチのほうが優先される戦い方となります。その差は歴然ですね。

高校で活躍したアマが、プロ入りしてまず、苦戦を強いられるのは、アマ時代に磨きをかけ、そうした戦い方でよかった“かわす”“さばく”といった、接触を避けたきれいな技術が、プロの荒々しい前進、突進に距離を詰められ、封じられてしまう、といったことで、そうした例は、数多く見られました。

そうした傾向の中、2012年ロンドン五輪ボクシング(ミドル級)金メダリストの村田諒太(30=帝拳)がプロ入り後、デビュー戦から11戦全勝(8KO)で、プロの世界でも頂点を狙える立場を維持していたり、また、村田に負けじとロンドン五輪ボクシング(バンタム級)銅メダリストの清水聡(30=大橋)が、プロ入りしてデビュー戦をKO勝利で飾ったり、プロにひけを取らない戦い方をしているのは、スポニチ本紙の世界戦評論でおなじみの元世界王者・浜田剛史氏によると「採点基準の変化がアマ出身選手を戦いやすくしていることもある」とのことでした。

つまり「10-10」の採点をなくし、各ラウンド「10-9」など、必ずどちらかに差をつける、ラスベガス方式の採点基準になってから、膠着(こうちゃく)状態で内容的に「10-10」でも、ジャブを出しているほう(それが軽くポンポン程度であっても)にポイントがつく方式が、アマの戦い方に味方し、プロとアマの差をなくしている、というわけです。

なるほど・・・といったところですが、では、ゴルフのプロとアマの差はどうでしょうか。

プロ顔負けの経験を持つ新世代のジュニア層

目下、熱戦を展開中の女子ゴルファー“日本一決定戦”の「日本女子オープン」(栃木県那須烏山市=烏山城CC、二の丸・三の丸コース)で“アマ旋風”が巻き起こっています。

初日(9月29日)に15歳の女子高生アマ・長野未祈(みのり)=千葉・麗沢高1年=が、2アンダーで首位に1打差の2位タイにつけ、1アンダーの5位タイには、16~18歳の高校生4人が並ぶという躍進ぶりです。

長野は第2日(9月30日)も、通算4アンダーで首位に1打差の2位をキープし、決勝ラウンドで並みいるプロ連中を脅かす存在でいます。

その通り、第3日(10月1日)も、4バーディー、3ボギーと粘り、プロの堀琴音(20=東芝)と競り合った末に通算5アンダーで何と単独トップに立ちました。もう一人の女子高生アマ・畑岡奈紗(17=茨城・ルネサンス高3年)も通算1アンダーで長野に4打差の5位タイで圏内をキープしています。
 
彼女たちを含む女子ゴルフ界の若年層アマの台頭は、2003年秋、プロ・ツアーの「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」を制してプロに転向した高校生アマの宮里藍への憧れ、から始まり、2014年春、勝みなみ(鹿児島高1年=当時)が、プロ・ツアーの「KKTバンテリン・レディース」で史上最年少15歳293日で優勝したことで、後進が「私たちにもやれる!」とプロ・ツアーでの優勝を身近なものにしたことで起きています。

藍ちゃん効果で親が子供たちにクラブを握らせたのが、例えば3~4歳時なら、勝の優勝時は14~15歳。新世代の誕生ですね。

宮里藍を初めとする宮里3兄妹をプロとして世に出した父親・宮里優さんは、子供たちにこう言い聞かせています。

〈プロであれば皆、技術にそれほどの差があるわけではない。考え方(コースマネジメントやグリーン周りからの攻め方)で差がつく〉と-。

差がつく考え方は、経験から来るものであり、であればプロが圧倒的に有利です。

が、昨今、プロのツアーで台頭著しいアマは、宮里藍の活躍に刺激を受け、幼年時からクラブを手にしている世代です。長野の経歴を見ると、父親の勧めで小3からゴルフを初め、中嶋常幸プロが指導する「ヒルズゴルフ・トミーアカデミー」に所属してプロを目指し、日々、トレーニングに励んでいる、とありました。

ジュニアの大会への出場機会も多く、優勝経験もあり、メンタル・ゲームのゴルフにあって若年層アマの最大のネックだった“経験”も、海外で韓国人プロたちとの合宿に加わるなど、ある意味、プロ以上のことをやってのけているのが、今のアマなのでしょう。

ボクシングもゴルフも、あるいは他のスポーツ各ジャンルも、これからはプロとアマの線引きが難しい時代、それほど差のない時代に入ってくるのかもしれませんね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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