「神ってる」に思うこと

神ってる」-平成が始まって28年。いかにも“今”を象徴する言葉のように思えます。

12月1日、年末恒例の「2016ユーキャン新語・流行語大賞」(自由国民社主催=現代用語の基礎知識・選)の「年間大賞」と「トップ10」が発表され、今年の年間大賞に「神ってる」が選ばれました。

プロ野球の広島東洋カープが、25年ぶりのリーグ優勝を果たした2016年シーズン。セ・パ交流戦、対オリックス戦が行われた6月17~18日、広島・鈴木誠也外野手が2試合連続のサヨナラ本塁打を放つなど“神懸かり”的な活躍を演じたことに対して、緒方孝市監督(47)が「神懸かっているよ。今の言葉で言うと“神ってる”よな」と発言。それを受けた各メディアの拡散などで広まった、という経緯がありました。

スポーツ各界で、神懸かったプレーというのは、結構多く見られるものです。

神懸(が)かり〉=「①神霊が人身に乗り移ること(また、する人)②常人とは思えない言動をすること(また、する人)」(広辞苑)

それは何も今に始まったことではなく、例えばプロの世界では、集中力を高めてゾーンに入った状態などでは、観(み)る側が、それこそ、ウ~ン、ウソだろ、と唸ってしまうような、説明できない凄いプレーが展開されることがあり、私たち記者は、なぜそういうプレーが出来たのかを分析できないまま、神懸かり的な・・・という便利な言葉で濁してしまうケースは少なくありません。

無条件にスゲーッ! が感じられる表現

それは古くは、1983年2月13日、ゴルフのUSPGAツアー「ハワイアン・オープン」で青木功が、最終18番(パー5)で第3打、残り128ヤードを直接放り込み、逆転イーグルで米ツアー初優勝を飾ったことだったり、あるいは、先の世界選手権シリーズ「HSBCチャンピオンズ」で松山英樹(24=LEXUS)が成し遂げた日本勢初優勝の快挙も、また、神懸かり的な快挙、と言えたでしょう。

青木の、奇跡的だった逆転優勝に関しては、あの1打が狙って入れたものだったか、偶然だったものか、青木がショートゲームの鬼、だっただけに十分に解明できないまま、神懸かり的な1打、という語句を随分多く、使わせてもらったものでした。

他方、プロボクシング界でも、11度の防衛に成功しているWBC世界バンタム級王者・山中慎介(34=帝拳)の〈左〉は「ゴッド・レフト」-つまり「神の左」と呼ばれています。

山中の場合など、あれほど左が警戒され、研究され尽くされているというのに、それでも左を叩き込んで倒す凄さは、まさに神懸かり的な左であり、そう表現するしかテがありません。

が、正面から大マジメに、神懸かり的な○○、などと表現することは、どこか安易というか、ごまかしているというか、どちらかと言えば、あまり使いたくない語句です。「神懸かり」は、辞書には「神憑り」ともあり、何やら、キツネか何かに取りつかれたかのような印象も受けます。

その引っかかる言葉に取って代わる「神ってる」は、ある意味、現代ふう、説明し切れない神懸かり的なプレーをファジーに包み隠し、それでいて、スゲーッ! の印象度を高めています。

緒方監督は「神ってる」という言葉を、自分の長男との会話で耳にしたそうですが、すべてを短縮させてしまう若者言葉が飛び交う平成の世にあって、彼ら(若年層)の感覚は、浮ついているようで案外、的を射ているのかもしれませんね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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