故・岩田禎夫さんを「偲ぶ会」

フリーのゴルフ・ジャーナリストである岩田禎夫さんが、長年にわたる「マスターズ」取材を一冊にまとめた「マスターズ~栄光と喝采の日々」を出版したのは、2012年春のことでした。

同年3月6日、東京・港区の東京プリンスホテルで開かれた出版記念パーティーで、岩田さんは、ひと区切りの大仕事を終えた感じで笑顔を見せていましたが、それから4年余、この集大成で晩年の力を使い果たしてしまったのでしょうか、今年10月、突然の訃報が届けられ、周囲を愕然とさせました。

12月6日夜-。

それを受けた「偲(しの)ぶ会」が、東京・港区元赤坂のレストランで開かれ、1980年代にマスターズの常連だった青木功、中嶋常幸両プロを初め、JPGA(日本プロゴルフ協会)会長の倉本昌弘プロ、また、集まったマスターズを中継するTBS関係者、新聞・雑誌の新・旧ゴルフ記者たちが、故人を偲び、一方、これは岩田さん招待の同窓会だよ、とゴルフ記者らしいにぎやかさでひとときを過ごしました。

岩田さんは、上智大学を卒業後、報知新聞(現・スポーツ報知)に入社している、私たちの大先輩です。私が岩田さんと接点を持ったのは、ゴルフ記者時代、米国を転戦する青木、中嶋、女子プロの岡本綾子を追って取材しているときでした。

その当時、既に報知新聞を退社してフリーのゴルフ記者となり、米国のツアーを取材する日本人記者としての地位を築いていた岩田さんは、慣れない私たちに親切に接してくれたものでした。

一般のゴルフ・ファンの皆さんには、毎年4月、TBSが生中継するマスターズの解説者として、岩田さんは、身近なところにいたことと思います。

青木プロの胸に去来する先駆者の共通項

そうした活動が評価され2011年、岩田さんは、マスターズ委員会のビル・ペイン会長から特別表彰され、それより以前の2003年には、アジア人として初となる「メモリアル・トーナメント・ゴルフ・ジャーナリズム賞」を受賞しています。

にぎやかに、そこかしこで話が飛び交う会場で青木プロと久々に話すことができました。青木プロは現在、日本の男子ツアー部門を統括するJGTO(日本ゴルフツアー機構)の会長職に就いています。

-青木さんが会長職を引き受けるとは思いませんでしたが・・・。

青木プロ「引き受けるつもりはなかったんだけどねェ。でも、ゴルフが好きで、ゴルフを取ったら何もない状態でやって来たが、海外での挑戦を含めて、ここまで来れたのは自分の力だけでなく、みんなに支えられて来たんだよね。だから“恩返し”じゃないが(引き受けたのは)還元の意味が強い」

-青木さんの言葉は重い。それはトーナメントの解説にも表れていますね。

青木プロ「重いと思う。だから、言った言葉には責任を持つ。すべてにね。試合の解説は、自分の経験でモノを言い、指摘している。自分が経験していないことは言わない」

〈追想〉私が現役のゴルフ記者で飛び回っていたとき、青木プロへの取材は、やはり、特別なものがあり、怖いものがありました。例えば、ひとつのプレーに関して聞くとき、聞く前に観ろ! というのが青木プロの主義でした。広いゴルフ場での試合であれば、一人の選手につきっきりというわけにはいかず、観ていないときには聞かざるを得ないのですが、青木プロはもちろん、それは分かっていても、オレはプロ、お前たちもプロの記者なら、観てから聞け、が〈青木流〉でした。それが今なお、トーナメントの解説の仕方にも出ており、律儀に筋を通しています。

青木プロは、岩田さんが米国のツアーをゴルフ取材の主戦場とする、日本人記者の先駆者として表彰されたとき、本当に自分のことのように嬉しかった、と言っています。それは青木プロもまた、日本人プロの先駆者として米国での立場を自分でつくっていったという共通項があるからなのでしょう。

米国にチャレンジする青木プロがいて尾崎直道、丸山茂樹たちが後に続き、そして今、松山英樹、石川遼たちがいます。女子も樋口久子がいて、岡本綾子が米国常駐の先駆者としての道を開き、小林浩美、宮里藍たちに受け継がれています。

そして・・・そこには常に岩田さんの目があって日本に伝えられるのですね。

岩田さん、ご苦労さまでした。心より謹んで大先輩記者・岩田さんのご冥福をお祈り申し上げます。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR