「除夜の鐘」の音は騒音か?

騒音〉といえば、私が住むマンションなど集合住宅で多く取り沙汰される“生活騒音”も、その中の一つとして上げられます。

東日本大震災の年ですから2011年、もう5年前になりますが、輪番制でマンション管理組合の役員となり、理事長のお役目を務めるようになったとき、受けた苦情の多くが、生活騒音に関するものでした。

一般論ですが、確かに上の階から聞こえる音-バタバタというスリッパの音、子供たちが走り回るドンドンと響く音、あるいはドアが閉まるバタンという音、など1日だけならともかく、これが日々、続くとなれば、下の階に住む住人にとっては、我慢の域を超え、次第に苦痛に変わってしまうことでしょう。

集合住宅における騒音、例えば、洗濯機や掃除機など家庭用機器の音、ピアノなど音響機器の音、の問題は、古くから「感情公害」と言われ、音を出す側とそれを受け止める側の許容度に差があり、解決策がなかなか見つからない難しさを秘めています。

子供たちが出す音にしても、大きければ大きいほど元気であることの証明となるだろうし、親の感覚としては、シーッと戒めるより、ホラホラ静かにね、くらいで、ニコニコと笑って見守るのが普通でしょう。

が、それを聞かされる側の許容度は? というところに綻(ほころ)びが出てきます。

そうした音が、居住者間の範囲を超え、社会問題化したのが2014年秋、神戸市東灘区の保育園での子供の声が「うるさい!」として、近くに住む70代の男性が、防音設備の設置や慰謝料100万円の支払いを求める訴えを起こした、という出来ごとでした。

「盆踊り」の音も・・・薄れる共同体意識

今年は、千葉県市川市で4月に開園を予定していた私立保育園が、近隣住民たちの「子供たちの声でうるさくなる」との反対運動により開園を断念した、という出来ごとも起きています。

新聞報道によると、保育園周辺の道路が狭くて危険、という近隣住民の危惧もあったようですが、やはり、子供の声で騒がしくなる、という、昨今“問題化”している事象が、開園反対の大きな理由となったようです。

改めて考えさせられる「子供の声は“騒音”か?」の問題、さらに地域社会での音を拒否する人たちが増えているのは何故だろうか? の問題です。

各地域で夏のお楽しみだった「盆踊り」や「夏祭り」での太鼓や笛の音がうるさい。一服の清涼剤として夏の情緒を感じさせる「風鈴」の音がうるさい。あげくはこの12月、ついに「除夜の鐘」の音がうるさい! として寺院周辺の住民が苦情を呈するに至っています。

「盆踊り」に関しては、何と踊り手がそれぞれ持参した携帯ラジオとイヤホンで音を聞きながら踊る“無音盆踊り”を実施しているところもあるというのですから、例えばその場にいたら、音無しの盆踊りなど見ていて気味の悪さを感じてしまいそうです。

百八つの煩悩を払い、旧年から新年へ新たな気持ちを整える「除夜の鐘」の音がうるさい! とされては、どうなんでしょうかね~、私は上記の例をすべて含めて“ニッポンよ、どこへ行く”と嘆かざるを得ない心境です。

つまり、これらの音を受け入れず“うるさい!”とすることは〈孤立の時代の象徴〉と考えるからです。

子供の声や盆踊りの音を騒音とすることは、以前は地域にあった温かい連帯意識、共同体意識、などが薄れつつあるということでしょう。

そうした傾向は、電車の中でも、向かいの椅子に座った10人の乗客の8~9人までが、スマホ操作に没頭していて周りを見ない奇妙な光景にも象徴されているようです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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