独善的男乃着物考・其ノ拾九

正月だから改めて・・・ではなく、四季折々、年間を通して日常的に着物を着ていたいなァ、という願望があります。着物好きは常に、あの布の感触を忘れないでいたいのでしょうね。

男の着物に関する書物にも、着物で暮らそう、という和服生活をテーマにした項目があり、そのためのアイディア、工夫などを教えてくれていますが、やってみようか、と思いつつも、やはり、実際はムリですね。

独断と偏見で言わせてもらえば、私の場合、男の着物姿には“凛々しさ”こそが不可欠、という絶対的な見栄があり、寝転がってテレビを見たりする日常生活の緩んだ姿を和装で、などはとんでもない! となってしまうわけです。

1月3日午後、箱根駅伝の復路をテレビ観戦した後、初詣でもしようか、とブラり、鎌倉に出かけました。

江ノ電(江ノ島電鉄)の最寄りの駅「江ノ島」駅から「鎌倉」駅までは約25分。三が日はやはり、江ノ電の車中から混雑しています。

「鎌倉」駅から向かった鶴岡八幡宮は、大混雑で延々、長蛇の列。こりゃダメだ、と参拝は後日とあきらめ、無目的に周辺の散策となりました。

目につくのが、着物姿の女性の多さです。対照的に男の着物姿は、まったくといっていいほど見かけず、おいおい、ニッポン男児の心意気はどこへ行っちまったんだよ! と、ちょっぴり寂しい気持ちにもなりました。

色とりどりの女性の着物は、華やかで美しく、言葉通り「晴れ着」ですね。混雑の中でその存在が輝きます。

が、男の着物は「晴れ着」であってはダメですね。やはり、地味で渋く質実剛健、あくまで〈いぶし銀〉の魅力、輝くのは表に見えず、内面に秘めた“裏勝り”の反骨美学でなければならない、というのが私の“独善的”持論です。

木綿の絣で始まった着物への興味

つまり、後染めの「染め」より、格下でも先染めの「織り」のほう-大島紬や結城紬などの紬類-が、素朴さという意味では、男の着物に似合い、着る側がそれを引き立たせる、ということですね。

私の家には、私が子供のころから、着物が身近なところにありました。父親が東京・日本橋の某百貨店で呉服関係の仕事をしていたせいでしょう。父親は、私が高校生になったとき、木綿の絣(かすり)とウールの袴(はかま)をつくってくれて、それが私が着物好きになる発端となりました。

木綿の絣といえば、久留米絣に代表されるように丈夫で長持ち、いわゆるバンカラ学生の定番的な着物です。

さすがに学校に着ていくことはありませんでしたが、何かの集まりなどのときには、好んで着ていったことを覚えています。

着物を着始めのとき、何に引っかけて裂けてしまうのが、手の出る袖口と袖下口の縫い目の部分、そして無理にしゃがんだとき、ビリビリッとくるのが、背縫いのお尻の部分です。

今は心得ているので、狭いところや出っ張りがあるところを通るときは、必ず袖が引っかからないように注意していますが、高校生のころは、着るたびに引っかけて、またやっちゃった! を繰り返していたものでした。

引っかけて破れたところは、もちろん自分で修繕します。難しいのは、袷(あわせ)で裏があるため、糸がそこまでいかない工夫です。当然、うまく、きれいには縫えず、しまいには、まあ、そのあたりの破れ具合、裂け具合も男の着物の魅力の一つか、と放っておき、弊衣破帽的バンカラにすり替えてしまう始末でした。

若いころのそんな思い出があって今、街中で男の着物姿を見なくなったなァ、と寂しい思いをしつつ、では! と突っ張り続けています。

紬のバサッとした長着に角帯を締め、羽織は必ず着用します。足元の足袋は、4枚小鉤(こはぜ)の黒繻子でキリリと地味に締め、雪駄の金具をチャラチャラと鳴らして歩きます。

「独善的男乃着物考」としては、意地とヤセ我慢なくして男の美学は貫けない! というところにこだわりつつ、肩ひじ張ってムリを通していますが、ああ、それにしても・・・王者のまま現役を引退するような長谷川穂積の気負わないカッコ良さは、いつになったら得られることでしょうか。

注=「独善的男乃着物考」シリーズは「日常」の項に収めています
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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