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藤田が突きつけたもの

「対立の構図」があると戦いは面白いものです。特にプロスポーツは、この図式が出来ていると、見る側を楽しませてくれます。

41歳の藤田寛之が優勝をもぎ取った国内男子プロゴルフ・ツアーの今季最終戦「日本シリーズJTカップ」(12月5日最終日=東京・東京よみうりCC)は、その構図が見えて、見応えのある展開となりました。

この大会に持ち込まれた最大のテーマは、賞金王の座をめぐる最終戦決戦でした。賞金ランク①金庚泰(24=韓国)1億7611万9599円(3勝)②石川遼(19=パナソニック)1億4728万9779円(3勝)③池田勇太(24=日清食品)1億4005万8830円(4勝)で迎えたこの大会、金を追う石川&池田の逆転賞金王の条件は、いずれも優勝すること、という厳しさの中で若い2人が期待に応えます。

第1日、池田が首位。乱れまくった石川は最下位のスタートとなりましたが、第2日に神懸かり的な62(9バーディー、1ボギー)をマークして首位(池田が堅守)に肉薄、気迫で逆転劇を狙います。見る側の興味は“ストップ・ザ・金”に向けた、2人の後半2日間の戦いぶりにあったでしょうが、その中で生まれたのが、男子ツアー界に絶えて久しかった「対立の構図」でした。

大事な第3日、藤田が単独トップに立ち、小田孔明、平塚哲二ら30代の中堅がそれに続き、前週「カシオ・ワールド・オープン」(11月28日最終日=高知・Kochi黒潮CC)で優勝した松村道央(27)の言葉ではありませんが「賞金王争いの邪魔をしたい」と、石川&池田を押しのけて上位戦線に割り込んできます。

女子ツアー界を盛り上げた“抗争”意識

03年にプロ転向を宣言した宮里藍が、ツアーに本格参戦した04年、国内女子プロゴルフ界は6年連続賞金女王を達成した不動裕理が“絶対的体制”を敷いていました。

そんな中、宮里のツアー参戦で一気に女子プロゴルフ界が盛り上がったのは、もちろん藍ちゃん人気もあったでしょうが、頂点に立つ不動打倒を目指し宮里、横峯さくら、古閑美保ら気鋭のニュー・ジェネレーションが台頭、とともに一つ間違えば“負け組”に追いやられかねない福嶋晃子らベテラン・中堅勢が、危機意識を背負って奮起、刺激が刺激を生んで出来上がった“対立の構図”が、毎週の戦いに緊迫感を与え、面白くしていたのです。

この1打に込めたそれぞれの思いや緊迫感が、見る側に何を伝えるか。残念ながら当時、男子プロゴルフ界にはそれがなく、人気も低迷、存続さえも危ぶまれる情勢に追い込まれていたことは周知のことです。

さて最終日。驚異の61をマークして先にホールアウトした42歳・谷口徹が通算14アンダーのラインをまず引きました。追う藤田。17番パー5で2オン、6メートルのイーグル・パットを沈めて通算15アンダーと逆転。難しい最終18番パー3を震える手で乗り切って悲願のメジャー初制覇に結び付けました。

19歳の石川が狙った2年連続賞金王の座、24歳の池田からスルリと逃げていった初の賞金王の座・・・。若い2人の野望を日ごろ、温厚な藤田が“ナメるなよ!”とばかりに凄みのあるゴルフで斬り捨て、対立の構図を突きつけました。

結果、国内男子ツアー界は、賞金王の座を韓国勢に初めて明け渡すことになりましたが、これも来季への発奮材料、それぞれが自分の目標を見直す、波乱含みの課題としていいのではないか、と思います。最終戦でやっと生まれた個々の抗争意識。それが来季への期待を抱かせます。もっとも悪いことは、無目的な戦い、なのですから。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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