良き飲み仲間たちとのひととき~パートⅢ

歌わせればプロ顔負けの上手さです。

彼がカラオケのマイクに向かった後は、誰もがビビって尻込みしてしまう、という“困った人”がAさんなのです。

日ごろ、行きつけの「呑み処」-。

カウンターにいつもの顔ぶれがそろって、相変わらずのにぎやかさ。そんな中、そのAさんが一人、落ち込んでいる様子で柔和な笑顔が消えています。

〈歌? オレはもう、歌わないよ。歌ってる場合じゃないだろ。オレはネ~もう、みんなの冷たさが分かった。今日は寒い。体の寒さ以上にオレの心は凍っている〉

何? オイオイどしたの? 何、スネてるの? ・・・そうです。実はあのとき・・・衝撃的な“置き去り事件”が起きたのです。

2月の某日-。

店主のC子ママが企画する、恒例となった、スーパー銭湯でノンビリ湯に使った後、飲んでしゃべって楽しいひとときを過ごそうよ、の会が開催されました。

今回は9人が参加。いつものように小田原(神奈川県)のスーパー銭湯に向かい、冷えた体を温め、食事をし、その後は居酒屋に場所を移してひとときを過ごし、いい一日だったねェ、とお開きになりました。

帰路、一行は駅に向かいました。その駅でAさんは、ちょっとトイレに・・・とグループを外れます。

人の習性とでも言うのでしょうか、不思議なものですね。例えば電車が来るのをホームで待っている状況だったら、電車が来ても、まだAさんが来ていないよ、と恐らく、合流を待ったことと思います。が、階段を下りているときに電車が入ってきたときはどうでしょう。みんな、来た来た急ごう、と駆け足で飛び乗ってしまったのです。

出すものを出したAさんが、さっぱりしてホームに姿を現したときは、すでにみんなの姿はなし! 一人、呆然と次の電車を待ちつつ、この裏切りモノたちめ! とAさん、恨み節になった次第でした。

“置き去り事件”顛末記

後日のこと-。

〈イヤ~実はね、駅のトイレで最初、間違えて女性用に入っちゃったんだよ。冷たい目で見られてね。慌てて男性用に行ったんだけど、その分、遅くなった〉

-とAさん。

そんなことを言うものですから、さあ、大変! です。何しろ、聞く耳持たず、曲者ぞろいの常連軍団、一斉に総“口”撃の開始です。

口火を切ったのが、昭和の香り漂う室蘭出身の硬派、こわもてのTちゃんでした。

〈酔って間違えたって? イヤイヤ、フリして意図的だったんじゃないの。危ネ~なァ〉

さらに・・・。

〈そう言えば、女性用の表示は「赤」だね。Aさん、日ごろ、赤でも進め! の反骨性が、こういう事態を生むんだよ〉

また、さらに・・・。

〈ひとつ間違うと、今は大変だよ。痴漢だって何だって、やってません、間違えました、と言ったって、冤罪だろうが何だろうが捕まっちゃう時代なんだからネ~〉

次第に話があらぬ方向に進み、いつも通りにかんかんがくがく-。

一筋縄ではいかないこんな連中の間をいつも、うまく取りなしているのがC子ママなのですが、ここでも力量を発揮しました。

〈ホラホラ、悪いのは電車でしょ。何たってみんなを急がせた電車が悪い!〉

鮮やかな“大岡裁き”に面々の顔がほころびます。一件落着-。

それでは一曲、とAさんのご機嫌も直った様子。十八番(おはこ)の山本譲二「奥入瀬」が始まりました。

立春も過ぎ、暦の上では「寒の明(かんのあけ)」ですが、まだまだ寒さが続く日々・・・。

しかし、この「呑み処」のカウンターは、日々、熱い連中の熱気にあふれています。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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