プロが目指す“精度の高さ”とは?

最近、プロ・アスリートたちから「精度を高める」という言葉が多く聞かれるようになりました。

「精度」とは、言うまでもなく「精密さの度合い」(広辞苑)であり、それを〈高める〉ということは「粗(あら)さ」や「ばらつきの幅」を、出来るだけ〈少なくする〉ことであり、究極的には〈なくす〉というところまで突き詰めていくのでしょう。

例えば、プロボクシングで言うなら、WBC世界バンタム級王者・山中慎介(34=帝拳)の“ゴッド・レフト”の正確性。また、プロゴルフで言うなら、松山英樹(24=LEXUS)のショット全般の正確性。それらに研ぎすまされた精度、その高さを感じます。

では、プロ・レベルの精度とは、どういうところに判断があるのでしょうか。ひとつの例として中嶋常幸の“1円玉の差”があります。

私たちが1円玉を手のひらに置いたとき、重さというものを感じるでしょうか。

吹けば飛ぶよな将棋の駒・・・ならぬ1円硬貨。アルミ材質で直径2センチ、厚さ1ミリ、重さ1グラム-。

中嶋はこの1円玉の重さにこだわりました。もう、だいぶ前のこと、中嶋も若く、レギュラーツアーで活躍していた時代、クラブも技術の高さが求められるパーシモンの時代の出来ごとでした。

1円玉の差が分ける天国と地獄

あるトーナメントの練習ラウンドで新しいドライバーを試した中嶋は、練習終了後に所属メーカーのサービスカーに向かい「1円玉分、重いよ」と1グラムの微調整を注文、メカニックを困惑させました。

シロウトが口出しするレベルではありませんが、一般的なアマチュアが察知できるのは、せいぜい5グラムくらいからでしょうか。トッププロの研ぎすまされた感覚というものは、これほどまでに繊細なものなのか、これが〈プロ仕様の精度〉というものなのか、と思い知らされたものでした。

全盛時の宮里藍の持ち味は、ショットの精度の高さでした。これはどこから得られるものなのか。不振に陥ったとき、その原因を調べてみると、グリップがパーム気味のフィンガーになっており、感覚をつかさどる右手人差し指がその役目を十分に果たしていなかった、ということが判明しました。

であるなら・・・ショットの矯正は、たったひとつ、右手人差し指1本だけの直し、によって得られるに至っています。

トッププロたちの、こうした感覚を、皆さんはどう思いますか。

私たちが、凄いね~と思う一方、ゴルフというメンタルゲームは、高みを目指せば目指すほど、1円玉分の感覚の違いが、指1本の違いが、良くもなるし悪くもなる、天国と地獄の分かれ道となる怖さを持っているのですね。

3月2日(東京・両国国技館)に12度目の防衛戦を行う山中は、必殺の左に磨きがかかり、スポニチ本紙の担当記者は「ピンポイントで打ち抜く精度がアップした」と報じています。

山中と戦う誰もが“神の左”を警戒する中、それを当てるのは、右の使い方などさまざまな要素があるでしょうが、動く相手をとらえるための“ミリ単位”の秘策があるのでしょう。

プロのレベルというのは、凄いものだ、とつくづく感じます。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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