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新当用漢字は誰のためのもの?

へェ~、というか結構、難解な漢字を入れているんだなァ、というのが最初の感想でした。

このほど告示された「新当用漢字」の追加196字群です。

当用漢字とは「日常使用する漢字の範囲を定めたもの」(広辞苑)であり「国語審議会が決定・答申し、政府が告示する」(同)とあります。新聞製作に携わるものにとっても、文字の使い方は常識として心得ておかなければならないもので、私も入社当時、真っ先に渡されたのが「新聞用語集」でした。ここには当用漢字をベースとして、さらに新聞で使える漢字、使えない漢字が収められており、原稿を書く記者たちが、これをわきまえていなければ、誤字・脱字など紙面の最終チェックを受け持つ校閲部員の手をわずらわせることになってしまいます。

当用漢字を基とする新聞用語ですが、基本的には「この新聞(活字)を誰が読むのか」が念頭に置かれて用語がチョイスされていると思います。例えば今回の新当用漢字の中には、腫瘍の「腫(しゅ)」や脊椎の「脊(せき)が新たに加えられています。スポーツ紙では選手たちの負傷関係の記事も多く取り上げられますが、これまでは「腫」や「脊」は使えず、すべてひらがなでの表記とされていました。

読み手が医療関係者であれば日常的に読まれ、使われている言葉でも、一般的にはなじみが薄いだろう、と思われるものは外すのが新聞用語集の意図する“使えない漢字”なのです。

一般とは温度差があるチョイス

といった丁寧な見方でこの新当用漢字を見回した場合、やはり、相当に難解なものもあり、これが日常的に使われる漢字かどうかを含めて、新聞で使える用語にそのまま移行するには無理があるように思えます。その意味では選者と一般の間に結構な差があり、誰のために追加されたの? という違和感を感じてしまいました。

かつて車のF1人気が沸騰してスポーツ紙のフロントページをにぎわせ続けたときがありました。とのとき新聞をつくる側を悩ませたのが、専門的な“F1用語”でした。記事はF1ファンが読むのだから、そのまま専門用語を使用していいのでは? という声がある一方、一般が読んだとき、分からなくてそのまま終わってしまっていいのか、次につながる内容で普及に努めるのもスポーツ紙の役割では、という声が真正面からぶつかり、この問題はなかなか結論が出ないまま、ときを経ていました。

同様の問題は、格闘技が新ジャンルとしてスポーツ紙のフロントページに出てきたときにも起こりました。今、K-1は誰でも知っていますが、初期のころは、K-1って何? という人たちのために「立ち技打撃系格闘技」という注釈があったほうが親切だったし、総合格闘技にしても「アルティメット」とか「バーリ・トゥード」という言葉を使うときは必ず、注釈で意味を付記したものです。

注釈など格闘技ファンから見れば“ダサい”でしょうし、知っていることが優越感につながることもあったようです。が、専門誌ならともかく、多くの人々が目を通す新聞であれば、そういう丁寧さ、誰にも分かる親切さ、は基本的に欠かせないのではないでしょうか。

新たに追加された当用漢字群に感じるもことは、その種の配慮のなさでしょうか。「完璧」や「双璧」の「璧」は、これまで使えずに「完ぺき」「双へき」としていましたが、その「璧」が加えられたことは納得のいくものです。

が、一方、とてもじゃないが書きづらい「憂鬱」の「鬱(うつ)」とか、あまり使う機会がない「補填」の「填(てん)」とかが加わってくることには、ちょっと頭をひねってしまいます。

ただでさえ日本語は難しく、まず簡易化に向かうことがこれからの方向性であると思うのですが、何か逆行しているような感覚・・・でした。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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