ある日、さりげなく「断煙」・・・

面白いものです。行きつけの「飲み処(どころ)」に出向いてカウンターに座ると、私の前にはキープしてある焼酎のボトルが必ず、灰皿付きで出されます。今どき、流行(はやり)もせず、自慢にもならないヘビースモーカーが代名詞のような私と灰皿は“セット”と店の人たちは知ってくれているわけですが、このところ煙草を吸わなくなった私の前に依然、灰皿が当たり前のように出されてくることに思わず、ニヤリとしてしまいます。

ある日、店の人が気がつきました。

「あっ、灰皿がきれいネ。どしたの、どしたの? どっか体、悪いの?」

どっか悪いのかって? それはないでしょ。辞めたんですよ。

多いときは3箱。ひどいときは4箱。だいたい1日2箱を灰にしてきた私が、ついに煙草との縁を切ったのは、今年9月22日のことでした。

(「2010年9月22日に封印しました」と書かれた最後の煙草)
禁煙考

6月に動脈硬化による左足の血流障害のため入院・手術。それでも煙草と縁を切らない日々を続けていたのには、私なりの理由がありました。全国に先駆けて施行された、神奈川県にとっては自慢の出来ごとだったかもしれませんが、受動喫煙の害を前面に押し出して禁煙を何と条例化してしまった松沢成文・県知事への反感、10月からの大幅値上げもまた、喫煙者への“イジメ”として腹立たしいことであり、私にしてみれば、私的徹底抗戦の意味合いがあったからです。

公衆的マナーに分類される喫煙の問題は、どこで吸うかを含めて喫煙者個々の“内面”の問題であり、それを行政が条例で規制するなど、まったくもっておこがましいとしか言いようのないこと、とつくづく思います。つまり、例えば煙草を辞めるにしても、それは他人に禁じられる意味合いが強い「禁煙」ではなく、あくまで自分の自律で行う「断煙」でなければならないのです。

私の体にメスを入れた主治医に再発防止に向けた退院後の日常的な生活習慣での注意事項を聞いたとき、喫煙に関して先生は柔らかな口調でサラリとこう言いました。

「変なストレスを起こすことはよくないから、絶対に辞めなさいとは言いません」

が、言外に漂わせていることは、こうなった原因を考えれば辞めることは当たり前でしょ、そんなことは大人なら自分で判断しなさい、でした。

「大人の判断でやりなさいよ」

こういう言われ方に私はまったく弱く、すぐ素直になってしまうのです。

さて、誰に規制されるわけでもない、私自身の内面の問題である「断煙」に向けて、難関は3つ、ありました。
①毎朝、起床後、5本吸わなければ目が開かなかった習慣をどうクリアするか。②原稿を書いているとき、煙草なしでいられるか。そして最大の難関は、ある意味③飲んでしゃべっているとき、煙草なしでいられるか、でした。

なぜ9月22日から始まったのか、は前日の21日、友人と飲みまくり、しゃべりまくり、吸いまくったことにありました。そのまま帰宅後、バタンキューとなった私は、翌朝起床後、ノドがガラガラで胃腸もムカつき、最悪の状態となりました。まったく、物ごとは何が幸いするかわからないものです。これで起床後の5本があっさり回避されてしまったのです。

オッ、行けるかな? が、次第に行けそう、になり、無煙の1日が終わり、それが何とか今でも続いている状態です。続いていることに関しては、プロボクシングの元世界王者・浜田剛史氏の言葉も大きく影響しました。浜田氏はこう言ったのです。

「サトーさん、1分の我慢が1時間の我慢を生みます。1時間の我慢は1日の我慢を生みます。1日の我漫が・・・。人間の我慢は、それの積み重ねなんですよ」

さすがです。ハードパンチャーゆえに自分の手の甲の常習的な骨折など、痛みの中で生き抜いてきた世界チャンプの言葉には説得力があります。主治医の強制なしの示唆、浜田氏の言葉が、私のやっと3カ月となった断煙を、とりあえず成功させていることは間違いないでしょう。

10月の値上げを機に煙草を辞めた方々が多いと思います。エッ? また、始めてしまった方々も多いですか? 途端に禁煙外来が患者さんの数で満員となったり、薬局では禁煙関連モノが売切れたり、といった現象が起こりました。が、禁煙の成功はやはり「断煙」の意志が大切のようで、他力本願では難しいかもしれません。

かくいう私もまた、いつ始めてしまうかはわかりません。なぜなら・・・これは内緒の追記ですが、私の中にまだ、煙草を絶対に辞めなくてはいけない、という気持ちがないからです。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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