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「心が折れる」について・・・

「(相手の)心を折る」あるいは自身の「心が折れる」-。

こうした表現は、普通の会話で日常的に使われることは、あまりないと思いますが、スポーツの世界~特に柔道やレスリング、ボクシングなどの格闘技、また自分の内面との戦いとなるゴルフなどでしばしば、選手の口から聞かれます。

それを記事にする私たちスポーツ記者たちも、勝敗の要因として結構、迫力のある表現、と受け止め、よく使わせてもらっています。

このほど文化庁が発表した平成28年度の「国語に関する世論調査」では、1980年代(昭55~平1)に登場した表現の使用状況も調査され〈新しい表現や慣用句などの意味の使い方〉として上記の「心が折れる」や「目が点になる」「背筋が凍る」「毒を吐く」「あさってのほうを向く」が調査されています。

その中で「心が折れる」の使用率は〈使ったことがある=43・3%〉となり、年齢別では、高齢者より〈40代以下の世代が使う傾向がみられた〉とのことで、70歳以上の世代では「聞いたことがない」という回答もあったようです。

かといってこの表現は、単純に“若者言葉”の分類に収まるものではなく、私自身、立ち技打撃系格闘技の「K-1」や総合格闘技の「PRIDE」などを取材していたとき、このジャンルでは、当たり前のように聞かれており、そうした表現を多用する記事の影響もあって次第に一般にも広がっていったように思えます。

語源は“ミスター女子プロレス”のニックネームを持つ女子プロレスラー・神取忍(52)にある、というのが一般的です。

柔道家として活躍した神取は、1986年(昭61)8月17日に旗揚げされた女子プロレスの新団体「ジャパン女子プロレス」に参加。デビュー戦で元全日本女子プロレスの「ビューティー・ペア」で人気を誇ったジャッキー佐藤とシングル・マッチでぶつかります。

その戦いを機に2人の間に確執が生まれ、それがあの女子プロレス史上に残る伝説の“ケンカ・マッチ”へとつながっていきます。

格闘技ならではのインパクトの強さ

1987年(昭62)7月18日の神奈川大会(大和車体工業体育館)での戦い。

神取はきっぱりと言い切りました。

〈(ジャッキーの)心を折る〉

と-。

因縁のケンカ・マッチは、神取がジャッキーをボコボコにして勝利・・・。

神取は今でも、自身のブログのタイトルを「ミスター女子プロレス 神取忍の心が折れないブログ」としています。

格闘技系のジャンルでは、頻繁に使われるこの表現は、またゴルフの世界でも結構、多く使われるようになりました。

ゴルフは、自身のメンタルとの戦いとしての要素が強く、従ってこちらは、相手の心を折る、のではなく、自身の心を最後まで折らない内面の強さ、を言い聞かせるのですね。

優勝した選手が、途中でピンチに陥って乗り切ったときなど〈心が折れそうになった〉などの表現は、よく聞かれます。

まあ、しかし、心を折る、という表現には、深いものがあります。

例えば、足を折る、など骨を折られたりするケースは、いってみれば体の負傷で、これはときが解決しますが、心を折るケースは、精神的に強いダメージを与えることになり、折られたほうは、状況によっては立ち直れないケースも出てくることでしょう。

神取がこの表現を使ったのは、やはり、柔道の世界でガチンコの勝負を続け、心を折る、折られる、のやりとりをしていたからだと思いますが、今では普通に使われるようになった〈リベンジ〉など、格闘技の世界からは結構、多くインパクトのある言葉が生まれるものです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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