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日本人好みの「滅私奉公」劇

新年、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。


さて新春第1弾は、恒例の「箱根駅伝(第87回東京-箱根間往復大学駅伝競走」でしょうか。テレビの前にかじりついた方も、沿道に出て小旗片手に応援した方も多かったことと思いますが、昨2日の往路は“新・山の神”柏原竜二(3年)の5区激走で東洋大が制し、きょう3日の復路では6区の山下りで早大が逆転、そのままトップを突っ走り、18年ぶりの総合優勝を飾る、という結果となりました。

駅伝といえば、元日には実業団の「全日本対抗」(前橋・群馬県庁発着=7区間100キロ)が行われ、大学も箱根駅伝」のほかに「全日本対抗選手権」や「出雲全日本選抜」などがありますが、やはり“面白さ”においてこの「箱根駅伝」を超えるものはないような気がします。

その“面白さ”とは何か? 第一に東京を出発して箱根の山を上り下りしてまた、東京に帰ってくるコースのロマン的魅力でしょうか。第二に第1回大会が1920年(大正9年)に開催され、今回で第87回を迎えた伝統の重さ。第三は2日間で約210キロを走破する距離の長さがあり、それにともなう悲喜こもごものドラマ、が挙げられると思います。そして第四は、これが最も面白い要素ではあるのですが、若い今どきの大学生たちが演じる自己犠牲的な「滅私奉公劇」です。

「滅私」とか「奉公」などという言葉は今の時代、もう死語と化しているかもしれません。ちなみに「滅私」は「私欲や私情を捨てること。個人の利害を考えないこと」(広辞苑)であり、それをもって「奉公」つまり「朝廷や国家社会、あるいは主人のために尽くすこと」(同)です。

概して陸上競技の長距離走などは、個人競技の典型のようなものでしょう。マラソンのレースなどを見ていても、体調を含む能力の限界は自己の責任で判断するものであり、たとえ途中で棄権することを余儀なくされたとしても、勇気ある撤退は個人競技に臨む選手たちに欠かせないもの、過剰な無理は無謀、と許容されています。

襷をつなぐために・・・自己犠牲

ところが・・・です。駅伝は基本的には長距離走であっても、ここに「襷(たすき)をつなぐ」という唯一無二の使命が課されると各人、にわかに背負うものが大きくなり、これはもう、自己犠牲もいいところ、足が折れても、這(は)いつくばっても、無謀な無理をしてでも、襷だけはつなぎたい、という悲壮感が発生します。「箱根駅伝」であれば、他の9人のために、何よりも母校のために・・・の「滅私奉公」精神となるのです。

交通量の増加による規制の強化もあり、今は見られなくなりましたが以前、私が初めてこの大会を取材したときなどはまだ、走る選手についたジープで監督なりが叱咤激励、フラフラになった選手を励まし、走らせ続ける光景がありました。

距離が長いために起きるアクシデントは、これまでもしばしばあり、脱水症状で意識が朦朧(もうろう)となりながらも、気力だけで襷だけはつなぐ、などという出来ごとは、今でも少なくありません。そして昨今の「箱根駅伝」人気を考えるとき、面白さの第四と連携するものですが、そうした自己犠牲による滅私奉公劇は、いかにも日本人好みなのだなァ、ということです。

今回はそうした大きなブレーキはなく、2日間の激戦は無事、幕を閉じましたが、ヒヤリとした場面としては復路開始の6区、東洋大・市川孝徳(2年)と早大・高野寛基(4年)が山下りでデッドヒート中、高野がスリップして転倒するアクシデントがありました。大事には至らず、高野はレースを続行してトップに立つ健闘を見せましたが、もし、あの場面で大事となったら・・・と考えるとホッと胸をなで下ろしてしまいます。

また、タイムの遅れで日大が途中、襷をつなぐことができなかったり、最終10区、次回大会に向けての天国と地獄となるシード権争いが5校で争われる激闘となる中、国学院大がコースを一瞬、間違えるハプニングが起きたりしました。

そうしたことは、これまでもあり、これからもあるだろう、と思います。そして思うことは、不運にもブレーキの当事者となってしまった若い選手たちは、願わくばそうした苦い青春の体験を引きずらず、ぜひとも、これからの飛躍に向けての糧としてもらいたいものだ、ということです。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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