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映画「汚れなき抱擁」を観て・・・

C・C」と聞いたとき、何を思い浮かべるでしょうか。

若い女性なら夏の暑い日、汗をかいた後に喉をうるおす、ちょっぴり酸っぱい炭酸飲料の「C.C.レモン」でしょうか。

酒飲みのオジさんならさしずめ、カナディアン・ウイスキーの代表的銘柄「カナディアン・クラブ」といったところかもしれません。

・・・が、ここはひとつ、あの情熱的でメリハリのきいた野生美が若い連中をシビれさせた、イタリアの女優クラウディア・カルディナーレを思い出して下さい。懐かしいですね~。私も思い切りシビれた中の一人でした。

「刑事」(1959年公開)「山猫」「ブーベの恋人」(ともに1963年公開)などなど。公開時、中~高校生だった私は「M・M(マリリン・モンロー)」ですか? 「B・B(ブリジット・バルドー)」ですか? いやいや、やっぱり「C・C」でしょ、と、あの魅力にぞっこんでしたっけ。

かつての名画を上映してくれている鎌倉(神奈川県)の「鎌倉市川喜多映画記念館」(鎌倉市雪ノ下)は10月下旬、企画ものの「かまくら世界映画週間〈イタリア編〉」を実施しており、21歳の若き「C・C」が出演している「汚れなき抱擁」(1960年製作=マウロ・ボロニーニ監督)をやっている、というので足を運びました。

今回は「C・C」ファンの私の強引な誘いにより、いつもの映画好きの友人O君、所属している映画研究会のメンバーであるO女史も加わって3人・・・相変わらず大混雑の小町通りをなかなか進めずに歩きながら「・・・記念館」に向かいました。

この映画は「男の葛藤を名優マストロヤンニが演じた文芸映画の名作」と紹介されています。

モノクロの画面で何やら、重々しい雰囲気で始まったストーリーを紹介すると-。

ローマでモテモテ男だった美男子のアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)が故郷のシチリア島に帰ってきます。ここでも彼の美貌は注目の的。隣りの夫人は、長い睫(まつげ)はまるで扇のようね、と目を熱く潤ませ、町中の女が彼に熱視線を送ります。

そんな中、アントニオの父親アルフィオ(ピエール・ブラッスール)が、バルバラ(クラウディア・カルディナーレ)との縁談を持ちかけ、彼女の清純さに打たれたプレイボーイのアントニオは、ここに真の愛を求めて結婚へと至りました。

まあ、しかし、男と女の愛、特に男の愛は複雑でまた、悲しいものなのですかね~。

ローマであれほど浮名を流したアントニオが、バルバラの純粋さゆえ、どうしてもセックスが出来ません。映画は、いやボロニーニ監督は、夫婦のセックスレスは“妻への冒涜”ひいては“神への冒涜”という、これはシチリア島の特殊な信仰に関わっているのでしょうか、そのあたりに焦点を当てて夫婦の苦悩を描いて行きます。

出来なくなった“美しき男”の苦悩

“手つかず”でいつまでも処女のままのバルバラは町のウワサとなり、アントニオもまた、不能? とのウワサに包まれます。やがてこの2人の結婚は無効とされ離別。不本意な父親は、家系が健在であることを証明するため、娼婦の家に出かけて頑張りますが、歳には勝てず死んでしまいます。

夫の遺影を前に悲しむ妻のロザリア(リナ・モレリ)でしたが、そんな矢先、小間使いの妊娠が発覚、ロザリアは、ああ、アントニオがお手つきしたの? やればできるじゃない! と喜び、隣近所に響く大声で、やった! やれた! と叫びます。

そして・・・エンディングは、大写しのアントニオの顔、頬を伝わるひと筋の涙-。

映画を終えて-。

これは果たして紹介欄にある「文芸映画の名作」なのかどうか。背景に宗教的なものがあるとなると分かりませんが、私としては、むしろ「イタリア式艶笑話」のほうがピンとくるように思えましたが・・・。

いやいや、と友人Oが言いました。

〈わかるなあ、アントニオの気持ち。遊びと愛は別もの。遊ぶ男ほど、愛する女に対しては、触れてはいけないもの、プラトニックに、という純な気持ちが芽生えるんじゃないかな。男は繊細なんだよ〉

ウ~ン、深い。

で、O女史の意見は?

〈そうねェ。小間使いのお腹のコは、きっと父親がつくったんじゃないかしら。それを見届けて後々、勘繰られないように娼婦の家で死ぬなんて、子を思う父親、やっぱり凄い。エンディングでのあの涙をどう解釈するか・・・〉

ウヘッ、もっと深い。さすがの深読みですね。

O君の純粋さとO女史の、いかにもありそうな話・・・。

これが男と女の違い。いつもボタンの掛け違いを生んでいるのでしょうか。

そうした議論の中、ねえねえ、ちょっと「C・C」の存在感が薄くなかった?

そう言われれば、確かに薄かったようにも思えましたが、まだ年齢的に若いときの作品だからですよ。3年後の「ブーベの恋人」では、圧倒的にいい女を演じていました。

でも、やはり「C・C」は、ときを経て観ても魅力的でした。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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