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ラグビーW杯日本大会のもう一つの役割

アジアで初の開催となるラグビーの2019年W杯(ワールドカップ)日本大会の試合日程がこのほど発表されました。

北海道から九州まで全国の主要競技場を転戦する全48試合は、2019年9月20日に開幕、11月2日に決勝戦を行います。

ラグビー・ファンにとっては、世界のトップの激闘に心を躍らせる、たまらない日々。一方、一般の方々にとっても、試合を終えた後はノーサイドで健闘をたたえ合う、フェアプレー精神を尊ぶラグビーというスポーツに接し、殺伐としてフェアプレー精神を失った昨今の社会情勢と比較して何を感じるか、というのも、もう一つの興味です。

後者の視点でラグビーを観(み)たとき、思い出されるのが米映画「インビクタス(Invictus)/負けざる者たち」(2009年製作・公開=クリント・イーストウッド監督)でしょうね。

この映画を観て感動した方々も多いと思いますし、この映画に関しては、この欄でも書いていますが、ちょっとおさらいしてみます。

舞台は1994年の南アフリカ共和国。反アパルトヘイト(人種隔離政策)の反体制活動家として投獄されていたネルソン・マンデラ氏がその年、解放されて黒人で初の大統領に就任します。

しかし、アパルトヘイト撤廃後も、依然として白人と黒人との間がギクシャクする国情にあってマンデラ大統領は、翌1995年に自国開催となったラグビーの第3回W杯を利用することを考え、南ア代表チーム「スプリングボクス」の快進撃を力として国を無差別の熱狂的な渦に巻き込んでいく、というのが概略です。

質の高いスピリットに何を感じるか

差別の象徴としてこの映画は「ラグビー」と「サッカー」のあり方に焦点を当てます。英国発祥のエリート層のスポーツであるラグビーが、白人の富裕層を中心に広まっているのに対し、サッカーは黒人の貧困層に広まっています。アパルトヘイト撤廃後にも、依然として残る白人と黒人のしこりは、ラグビーとサッカーのグラウンドを分ける「柵」の存在が象徴していて、この「柵」が、乗り越えられない重さを感じさせ、やり切れなさを誘います。

もし、ここでマンデラ大統領が「サッカー」を選択したなら、この物語は、白人への復讐劇に終わったでしょうが、モーガン・フリーマン演じる、知的で思慮深さがにじみ出るマンデラ大統領は「ラグビー」を選択、マット・デイモン演じる「スプリングボクス」主将のフランソワ・ビナールを個人的に招待してW杯での優勝を義務付け、さらに国歌を斉唱することの重要性、団結による国威の発揚を説き、激励します。

そして・・・「スプリングボクス」の快進撃が続き、それを架け橋に次第に白人と黒人との間に応援を通した熱い共通項が生まれていきます。ニュージーランド代表「オールブラックス」との決勝戦前、両国国歌の斉唱のシーンで南アの白人と黒人は、やっと国歌の元に気持ちを一体化させることが出来たのでした。「スプリングボクス」は初出場初優勝の快挙。思わずウルウルのシーン。

スポーツと政治は、切り離して考えるべき、政治はスポーツに介入すべきでない、とのセオリーがあるにしても、スポーツはまた、こうした力を秘めていることも確かなのですね。

今のところ、安倍総理がラグビーのW杯に参加する日本代表に求めるこうした問題はありませんが、それにしても昨今の社会、ルール無視の悲惨・凄惨な出来事が多すぎます。

W杯という最高峰の場で、世界のトップが日本の各地で魅せる質の高いスピリットに、観る側は何を感じるか、それがある意味、勝った負けたを超えた大事なことのような気がします。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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