18歳の驚異的可能性

ゴルフに関する名言集にこんな記述がありました。

「ゴルフは常に進歩している。100年後には、昔、アーノルド・パーマーというプロが、わずか7000ヤードしかない短いコースで、65もの多くのスコアを叩いたといって、皆が不思議がる日が来るかもしれない」(摂津茂和著「不滅のゴルフ名言集」)

これは英国のゴルフライターであるドナルド・スティール氏が、1965年に技術の進歩を題材とした自身のエッセイ集で書いたものだそうです。

00年の全米オープン予選で丸山茂樹が「58」のスコアを出したとき、私はスティール氏の先見の明を感じ、100年も待たずにそういう日がやがて来るのかもしれない、と思ったものでしたが、先に終了した国内男子ツアーの「中日クラウンズ」(5月2日最終日=愛知・名古屋GC和合コース)で18歳の石川遼が出した常識破りの大爆発、12バーディー(ボギーなし)を奪う「58」を出したとき、もはや“やがて”ではなく、そういうことがもう、目と鼻の先に迫っているのではないか、とさえ感じたものです。

1960年に名古屋GC和合コースで始まった「中日クラウンズ」は、今年で第51回を迎えましたが、第3~6回の4大会を除いて、すべてこのコースで行われています。戦略性の高い難コースと言われ、点と点に近い攻略ルートを外すと必ずしっぺ返しがあり、選手たちの間では「我慢を強いられるコース」というのが常識としてありました。

この大会は過去、青木功と尾崎将司が5度優勝の最多優勝記録を保持していますが、このコースを得意とする青木でさえ、当時は「ミスしても手前から」と神経を使っていたものです。

石川の「58」は、そういうコースで出されたものなのです。

3勝目(ツアー通算4勝目)を挙げて今季好調の宮里藍のキャディーバッグには「Ai54」の文字が入っており、彼女はファンへのサインにも好んでこの文字を書き込みます。

「54」という数字は、引退したアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)を育て上げたピア・ニールセンさん(元スウェーデン・ナショナルチーム・コーチ)が提唱する「ビジョン54」から来たものです。「54」は18ホール(パー72)ですべてバーディーを奪ったときのスコアですが、これを不可能とするか可能とするか、ソレンスタムはニールセンさんが書いた「ビジョン54の哲学」の中で、これを“進歩への道”ととらえています。ちなみにソレンスタムは、01年のツアーで「59」のスコアを出しています。

道具の進歩があり、それを使う人の進歩もまた、あるでしょう。
日進月歩の時代。「58」があれば「54」も、もうこの間ほど不可能ではなくなっているかもしれません。
1965年にスティール氏が書いた「100年後」は2065年。まだあと55年も先なのです。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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