FC2ブログ

禁止薬物混入事件に思う

昨今の世の中、ひと昔前には考えも及ばなかった事件が頻(ひん)発して新聞各紙の社会面をにぎわせています。

それが、ついにスポーツ界にも飛び火、まさにひと昔前には考えも及ばなかった前代未聞の出来事が起きてしまいました。

選手Aがライバル選手Bの飲み物に禁止薬物を混入させて蹴落としを目論んだ、という事件です。

オリンピックの取材経験が豊富でドーピング問題に詳しい、私の後輩記者Fは「」これまで30年以上にわたっていろいろなスポーツを取材してきたが、今回のような不祥事は初めてだ」と、驚きを隠せず、彼だけでなく私自身も、彼より長い記者生活にあって〈こんなケースは起こり得なかったなァ〉とまさに、開いた口が塞がらない、状態に陥りました。

選手Aは、カヌー競技の第一人者である鈴木康大(32=福島県協会)で選手Bは、鈴木のライバル選手・小松正治(25=愛媛県協会)-。

事件の概要は、昨年9月、石川県小松市で開催されたカヌー競技の「スプリント日本選手権」で鈴木が、小松専用の飲み物、ペットボトルの中に禁止薬物の筋肉増強剤「メタンジエノン」を混入した、という出来事でした。

レース後のドーピング検査で陽性と判定された小松は、JADA(日本アンチドーピング機構)から〈暫定的資格停止処分〉を受け、日本カヌー連盟(成田昌憲会長)が調査を進める中、11月になって鈴木が犯行を認め、事件が明るみに出た、という経緯でした。

この大きく首を傾げてしまう信じ難い出来事はどうして起きたのか? だいたい、ライバル選手をドーピング検査に引っかけて蹴落とそうという発想はどこから来たものなのか? 

正月早々、私はこの、極めて特殊なイヤな出来事のなぜ、次々に出てくるなぜ、に対してしばらく考え込む状態に陥ってしまいました。

なぜこんなことが起きたと思う? ある友人は〈五輪の怖さを感じるな〉と言いました。

その発想に“幼児性”も感じる

カヌーのスプリント競技で国内トップ選手の鈴木は、しかし、五輪に関しては、2012年ロンドン五輪、2016年リオ五輪、と出場を逃しており、地元開催となる2020年東京五輪は何とかしたい、との気持ちが周りを見えなくしてしまったのだろう、との指摘です。

その一方、鈴木は、小松が練習で使用する、自らの位置を確認するためのGPSを盗んだり、パドルにヒビを入れたり、隠したり、また、現金やパスポートを隠す嫌がらせ、などの妨害も行っていたと言います。

若手有望株の台頭に鈴木は勝てなくなり、これまでトップ選手として君臨してきた地位を脅かされる焦り、近づく東京五輪の代表の座は?・・・そうしたことを背景とした、このあたりの悪質行為には、どこか“幼児性”を感じます。

例えばこんなこと-。

小学生が、何かの代表者を決めるテストが行われた際、ライバル同士だが勝ち目のない側が、相手の鉛筆や消しゴムを隠したりする嫌がらせ。さらにエスカレートして“イジメ”へと至る過程にどこか似通っているような・・・。

それにしても・・・陸上競技の短距離種目など欧米のスプリンターにしばしば見られた禁止薬物の使用に対して、日本人選手の“アンチ”の意識は高く、世界的にもクリーンのイメージを与えてきました。

反ドーピングへの意識は、あくまで選手個々が自ら律する問題ですが、それを他人に仕掛けられてはたまったものではありません。

上記の後輩記者Fは、スポニチ本紙に〈(略)これはもう、反ドーピング教育とは全く別次元の話で、スポーツ界の処分とは別に司法の手でも厳しく罰せられるべきだろう。(略)〉と厳しさを強めています。

遺憾だとか罰則だとか、あるいは再発防止策の強化や監視カメラを設置するなどの対応だとか、起きた後は、あれもこれも、とてんてこ舞いになります。

が、この種の出来事は、起きることが不思議なくらいの特殊なものとは思いますが、起きてしまったことで、それを“これまでは”と言わざるを得なくなるのなら、競技場の環境を大きく変えたり、選手たちへの異常な監視など、マイナスの材料が増えることになります。

今回の事件を発端として、多くのクリーンな選手に変な影響を与えることがないよう、環境の整備を急いでもらいたいものです。

2020年東京五輪は、まだ、ではなく、もう、にまで近づいているのですから・・・。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR