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いよいよ世界へ! “雑草”下田の野望

1月31日に東京・有明コロシアムで開催されるプロボクシングのダブル世界戦にいよいよ、下田昭文(26=帝拳)が登場します。

WBA世界スーパーバンタム級6位の下田は、同級王者・李冽理(28=横浜光)の初防衛戦に挑みますが、もうひとつの世界戦、WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(31=ワタナベ)のV3戦が相手変更、チャレンジャーが日本人選手の三浦隆司(横浜光)となっただけに興味はむしろ、下田の試合の方に移行したように思います。

下田はユニークなボクサーです。03年1月にプロデビュー(1回TKO勝ち)していますが、それ以前のボクシング経験といえば、中学時代に「健康のため」に始め、アマ経験もわずか2戦(2勝)だけ。西岡利晃(WBC世界スーパーバンタム級王者)や粟生(あおう)隆寛(WBC世界スーパーフェザー級王者)らアマの第一人者として鳴り物入りで帝拳に入ってきた面々の中では、比べれば“雑草”的存在です。

思わず笑ってしまったのは、07年8月の塩谷悠(川島)戦のときでした。

4月に日本スーパーバンタム級王座を奪取した後の初防衛戦です。抜群の身体能力、スピードの持ち主であり、ノーガードのままステップワーク、ボディワークでパンチをかわす、辰吉型の天才と専門家筋の評価が高い下田が、この試合は、狙いすぎの左を含めて手数も少なく、終始“らしい”戦いができないままの判定勝利となりました。

控え室に戻ってきた下田は、大勢の記者たちに囲まれながら開口一番、こう言いました。

「何かこう・・・何と言いますか、手ェ、出すの面倒くさくなっちゃって・・・」

まあ、季節はやたら暑い、夏の真っただ中のことでもありましたし、人間、誰もが常にパーフェクトというわけにもいかないことでしょう。ついダレてしまうこともある・・・妙に身につまされる下田のひと言ではありました。

試合を面倒くさがってどうする!?

見ている側は、手を出せ! 手数が少ない! などと簡単に言いますが、実際、8オンス(約227グラム)のグローブをつけて手を出し続ける作業は、やって見て初めて分かることですが、大変なことなのです。

先に引退を発表した元WBA世界フライ級王者・坂田健史(協栄)は、手数の多さが武器のボクシングでした。ある日の試合、坂田の手数は12回計839(うち有効打223)・・・1回平均、実に69・91発のパンチを繰り出しました。

ボクサーたちは、そうするために日々、ハードな練習に取り組みます。日課のロードワーク、筋力トレ・・・。さらに試合1~2カ月ほど前から始めるスパーリングは、世界タイトル戦なら150R、日本タイトル戦なら100Rが目安となり、そして減量の苦労も加わってきます。

とにかく大変ではあるのですが、とはいってもボクサーが手を出すことは“仕事”であり、それをしないことには何も始まりません。

「何かこう・・・面倒くせェ~よナァ」
下田の言葉は何とも正直といおうか、転職したがっているサラリーマンのグチのようにも聞こえ、妙に実感があって思わず皆、プッと吹き出してしまったのでした。

そんな下田にめぐってきた世界獲りのチャンスです。飛行機に乗るのがイヤだから、と海外修行を避けたりしていたときもありましたが、それにも取り組み、何ごとにも積極性が出てきて変わった、と陣営は言います。

そして思うことは、こういう選手こそが、ここ一番の大舞台を迎えたとき、隠されていた能力を本能的に全開させるのかもしれません。

それを見るのが楽しみではあります。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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