混迷深める悪質反則事件

記者会見の場で、記者たちを最もイラ立たせ、憤慨させるのは、会見を仕切る第三者(司会者など)が一方的に質疑応答を打ち切ってしまうことです。

そういうケースは再三あり、それは答える側が不利になったときとか、あるいは会見が長引いて単純に会場の使用時間が迫ったときとか、理由はさまざまですが、出来事を解明できないままの会見打ち切りは、その後に不透明感を残します。

日大アメリカンフットボールの悪質反則問題で5月23日夜、内田正人前監督(62)と井上奨コーチ(30)が開いた緊急会見は、当事者の保身・釈明発言にもイラつきましたが、何よりも、ア然としてしまったのは、第三者の司会者が途中、打ち切り、終わります、と“強制終了”を宣言したことでした。

私はこの会見の模様をテレビの夜のニュースで観たのですが、現場で憤る記者は当然として、画面を通して観る側も、このお粗末な出来事に、この会見は何のために開いたの? と首をかしげざるを得なくなりました。

悪質タックルで関学大QBを負傷させた日大・宮川泰介選手(20)が、前日5月22日に行った会見を受けた形で5月23日夜、日大首脳の緊急会見が開催されました。同日午後7時ころ、開催がマスコミ各社に連絡されたとのことで、質疑応答は午後8時から都内の日本大学会館で始まりました。

一般的に記者会見は、出来事を報告したり、出来事に問題があるなら、その“なぜ?”を当事者と記者たちの質疑応答で解明していったり、という場となります。

首脳陣にない選手を守る姿勢

会見を開く側、また会見に出席する記者側、の双方にとって、お互いの役割は、ここでの出来事が報道され、一般の知る権利を満たすことにあります。

この会見が終了まで約2時間余の長時間を要したのは、選手を守ることより、自身の保身を第一に宮川選手の証言をことごとく否定、言葉の解釈の違いを主張し続けたことに記者たちの不満が爆発。新聞読者やテレビ視聴者のまず、知りたい「出来事の経緯や“なぜ”が起きた理由」が少しも解明されないイラ立ちからだったでしょう。

だから各社、あの手この手の質問で聞き出そうとしますが、それに対して司会を務めた日大広報部職員は、同じ質問の繰り返しだから会見を打ち切る、と言い、記者の「(会見を)皆が見ていますよ」との怒りの声に、この広報部職員は何と「見ていようがいまいがどうでもいい。迷惑だ」と答えたのです。

形だけの会見を行ったのか? まったく、その意味を理解していない言葉ですね。

その間、マイクを握った内田前監督が発言しようと口を動かそうとしますが、広報部職員の「終わらせます」に発言できずじまいの場面も・・・。「会見を終わるか終わらないか(前)監督に決めてもらいたい」にも「終わります」の繰り返しで最後は日大広報部職員vs報道陣のバトルが繰り広げられていました。

まあ、こうした「言った言わない」の水掛け論的なやりとりや「潰せ」の意味は「ケガをさせることを目的としていない」などと言われても、やはり、心情的には20歳の若者が単身、記者会見に臨み、出来事を話し、謝罪した姿に誰もが真実味を感じたことと思います。

何が正しく、何が間違っているか、はおいおい解明されていくことと思いますが、この出来事で腹立たしいのは、指導者に選手を守ろうとする姿勢が少しも感じられないことです。

大学の体育会系スポーツは、依然、厳しい上下関係など、かつての軍隊方式が残っているところもあるでしょうが、それを支えるのが愛情であり、信頼関係でしょう。

少なくとも今回の出来事にそれは感じられず、こうした中で戦い、大事な青春のひとときを過ごす選手たちが気の毒にも思います。

選手の解釈と首脳陣の主張が平行線をたどり、混迷を深めるこの出来事の早期解決を願うばかりですが・・・どうなるでしょうか。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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