本格化する“禁煙傾向”に思う

映画の小津安二郎監督作品など過去の名画を観(み)ていると、場所を選ばす、必ず登場する“脇役”が「タバコ」です。

笠智衆が、小料理店のカウンターで徳利を傾けながら、あるいは自宅の縁側に座り、和服姿でくつろぎノンビリと・・・などタバコを燻(くゆ)らすシーンは、それはそれで日本的情緒に満ちたものとして、抵抗なく受け入れられていました。

そういう時代もあったのだなァ、ということですね。

タバコは“動くアクセサリー”などともてはやされ、それは国内外を問わず、例えばハンフリー・ボガートの、格好良すぎるくわえタバコ姿など、オレもそうありたい、と男のダンディズムの極致として憧憬の的でもありましたっけ。

・・・と、まずは、タバコへの郷愁、を書きました。

というのも2020年東京五輪開催に向けて6月27日、東京都議会定例本会議で可決された東京都の「受動喫煙防止条例案」(施行は2020年4月から)が、もうタバコはダメですよ、と断を下すような内容となったからです。

条例の概略はこうです。

店の規模にかかわらず“従業員を雇っている”飲食店は原則として全面禁煙。また幼稚園や保育所、小中高校での敷地内全面禁煙などです。

五輪開催都市としての矜持もあるのでしょうが、国の法案を超える厳しさが注目され、これを機に先々も、タバコはNO、の姿勢さえもがうがかえる条例となりました。

喫煙に関しては私自身、相当なヘビーでしたが、2010年9月に止めてから、もう8年目になります。

条例の施行を嘆く前に・・・

食事処(どころ)での食後の一服、喫茶店でのひと休みの一服・・・それなくして、店の価値ナシ! くらいに思っていたヘビーの時代、いつの頃か忘れましたが、食後の一服をしていたとき、離れたテーブルの年配の女性から、タバコをやめてくれないか、と言われ、非難の目を向けられました。

それまでは、まったく自分本位の考えで、煙が嫌がられているという認識はなかったのですが、直接、面と向かって言われたこの出来事をきっかけに、私の中に、ああ、タバコに関しては賛否があるんだ、という、他人を気遣う意識が生まれたことを思い出します。

そうして世の中を見渡すと何となく、全体的に公共の場では禁煙に向かっているムードが漂い始めていました。

屋内でのスポーツのイベントがあり、記者たちのワーキング・ルームとして設置された部屋は、喫煙者が多い記者連中に配慮して喫煙OKとされていました。

が、それも次第に喫煙NOが増え、試合が終わって短い時間内に集中的に原稿を書き上げなければならないとき、屋外に設けられた喫煙コーナーまで行くこと自体が時間のムダとなり、それを感じ始めたとき、もう、タバコは“市民権”を失ったなァ、とつくづく思ったものでした。

私が居住する神奈川県は、2010年4月から、当時の松沢成文・神奈川県知事により、全国に先駆けて「受動喫煙防止条例」が施行されました。

学校や病院などの公共的施設での禁煙。飲食店や宿泊施設などは施設管理者が禁煙か分煙を選択する。タバコの煙から子供たちを守ろう、と松沢知事は力こぶを入れていました。

この条例が施行されたからではありませんが、ときを同じくしてタバコを止めた私には、個々の嗜好である喫煙を行政が規制するのはおかしくないか、という気持ちがあり、喫煙は個々が持つ公共マナーに任せるべきではないか、といい印象を持ちませんでした。

まあ、しかし、人間社会、規則があるからそれを破るのか、破るから規則が出来るのか、そのあたりはどちらが先か分かりませんが、基本的には、条例の施行あるなしにかかわらず、個々の意識で、吸っていい場所、悪い場所の判断力を持ち合わせていてほしいものですね。

恐らく禁煙傾向にどんどん拍車がかかるだろうこれからの世の中にあって、愛煙家は、条例の施行を嘆くのではなく、その前に自らの意思が問われている、というときに入ったことを自覚するべきでしょう。

そして・・・それが出来ないと、人間ってだらしないな、と情けなくなってしまいます。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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