世界文化遺産登録~喜びの裏に・・・

ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会がこのほど「長崎と天草地方の潜伏キリシタン遺産」(長崎・熊本両県)を世界文化遺産に登録するよう勧告を受けたことが新聞各紙で報じられました。

かつて、一生懸命暗記した「“以後よく”広まり・・・」などの日本史年表に関する“ゴロ合わせ”を覚えているでしょうか。

“以後よく”は1549年-。

同年にスペインの宣教師フランシスコ・ザビエルが鹿児島に来日、長崎を拠点にキリスト教の布教活動を活発化させました。

しかし、天下統一(1950年)を果たした当時の豊臣秀吉が、それ以前、統一活動の妨げになるとして布教を禁止。宣教師や信者の追放など禁教の時代を迎えたことにより、キリスト教徒は迫害され、それでも密かに信仰を続けたのが「潜伏キリシタン」であり、さらにその意志は「隠れキリシタン」へと継承されていきました。
(久々に日本史の参考書を取り出しての記述です)

まあ、そうした歴史的背景は別にして、世界遺産登録への第一歩となる世界遺産リストには、どういう流れで掲載されるのでしょうか。

世界遺産の定義は、世界遺産条約(世界の文化遺産、及び自然遺産の保護に関する条約=1972年にユネスコで採択)に基づき、世界遺産リストに登録された「人類が共有すべき“顕著な普遍的価値”をもつ物件」とされています。

概略はまず、登録を求める当該各地域の行政機関が、ユネスコにリストを提出し、それを受けてユネスコが、文化遺産に関しては、諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)に調査を依頼。イコモスが評価に値するものとしたなら、それを登録するようユネスコに勧告する、という仕組みです。

「保存」「保護」こそが最大の課題

2017年に文化遺産登録された「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)に続き、18件目(他に自然遺産4件)となる今回の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン遺産」(長崎・熊本両県)」は、禁教下にあっても続けられた、日本独自の信仰の形、が希少な文化として評価された、とありました。

「潜伏キリシタン関連遺産」は、長崎・熊本両県に点在する6市2町、平戸の聖地と集落(平戸市)、大浦天主堂(長崎市)など計12の資産によって構成されています。

今回の登録勧告を受け、長崎・熊本両県の自治体トップは、資産の多くが過疎化に悩む地域であり「登録を地域活性化のきっかけにしたい」と喜んだ、と新聞報道にありました。

が・・・です。何ごとも歓喜は一瞬、すべては“これから”なんですね。

つまり「人類が共有すべき“顕著な普遍的価値”を持つ物件」にふさわしい環境を保護できるかの問題-。

世界遺産には必ず、この重い問題がのしかかってきます。

2013年に登録された「富士山」(静岡県)は、一時、ゴミの問題で世界自然遺産への登録申請をあきらめた、という経緯がありましたが、改めて世界文化遺産に登録されたことで予想通り、ゴミの問題や保護を目的とする入山料の額など、激増すると登山者への対応に追われる事態が発生して大きな話題となったことがありました。

観光客増によるプラス面と裏表にあるマイナス面への対応。地元関係者の歓喜の裏に早くも頭を悩ませる「保存」「保全」の2文字がのしかかってきそうです。

特に今回の構成遺産は、人口減と高齢化、過疎化が進む離島や半島にあり、担い手の確保など遺産の保護をどうするか、大きな課題となりそうです。

頑張ってもらいたいですね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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