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前蹴りで一発KOの凄さ

「虎趾(こし)」と言います。足裏の「上足底」部分ですね。空手の前蹴り、回し蹴りなどはだいたい、足指(親指が中心となりますが)を上にそらせた付け根部分の“種子骨”を前に押し出すようにして蹴ります。

K-1やキックボクシングの回し蹴りを見ていると、空手のように「虎趾」を使わず、足の甲部分や打撃範囲を脛(すね)部分にまで広げ、足全体を鞭(むち)のようにしならせて蹴っています。前蹴りに関しては、さすがに「虎趾」を使いますが、多用していた空手出身のK-1戦士セーム・シュルト(オランダ)や武蔵(引退)らは、これ一発でKOを狙うというよりは、前進する相手をカウンター的に蹴って止め、次につなげる、という意味合いで使っていたように思います。

従って総合格闘技で、あるいは立ち技打撃系の格闘技でも、前蹴りがそれ一本で主役となることはほとんど、といっていいほどなく、それはあくまで小道具として使われるのが普通でした。だから・・・ア然というかボー然というか、この結末はただただ、スゲーッ! でした。

現地時間2月5日(日本時間同6日夜)に米ネバダ州ラスベガスで開催された総合格闘技リング「UFC-126」(試合の模様はWOWOWが6日午後10時から放送しました)の舞台です。

メーンはミドル級の“絶対王者”アンデウソン・シウバ(ブラジル)の8度目の防衛戦です。相手は元ライトヘビー級王者のビクトー・ベウフォート(ブラジル)で、同じブラジル勢のクリチーバ(シウバ)vsリオデジャネイロ(ベウフォート)対決は自然、熱が入り、ともに気合十分の戦いが展開されました。

日本人に致命的な「見せ場の欠如」

勝負は、危うく見落とすほど、一瞬のうちに決まりました。1R(5分間)3分過ぎ、シウバが左前蹴りを放ちます。これがベウフォートの顎(あご)に命中。ガクッと半失神状態となったベウフォートは腰から崩れ落ち、そのままKO負けとなりました。

私自身は、前蹴り一発でKO! という決まり手の珍しさに驚かされていましたが、テレビが流したKO場面のスローモーション映像にまた、驚かされてしまいました。シウバの前蹴りは、比較的低い位置から上へ、グーンと伸ばされていましたが、伸びた足全体に体重が乗り、左足指は力がこもって上へ反り、空手の教科書通りのように「虎趾」が相手の顎を打ち上げていたのです。

この大会は、新設されたフェザー級に小見川道大(25=吉田道場)が、同様に新設されたバンタム級に山本“KID”徳郁(33=KRAZY BEE)が、それぞれ出撃しました。オクタゴン初陣となったKIDには、多くの目が集まり、UFCを運営するズッファ社を率いるダナ・ホワイト社長の期待の声も画面を通して流されていました。

が、ともに判定負けに終わった2人の試合は、ファンに訴えるものが何もない、平凡なものとなってしまいました。ア~ア、と落胆した後にシウバの凄い試合に接し「テレビを消さないでよかった」ということになったわけですが、不甲斐ない日本勢に決定的に欠けているものは「見せ場のなさ」だったような気がします。

KIDに関しては、まがりなりにも“日本のスーパースター”と報じられており、誰もが注目しているわけです。それが5分3R、計15分間、まったく工夫のない、同じ戦い方でどうするの? ということでしょう。これは五味隆典(32=久我山ラスカル)にも言えることなのですが、積極性がなく、何をやりたいのかが見えない試合は、この舞台にはふさわしくないでしょう。

KIDにしても1R、相手のデメトリアス・ジョンソン(米国)の動きが速く、タックルにも入られてしまうことが分かったなら、その後は戦法を変えるなど“引き出しの多さ”を見せてほしかった試合です。それがあれば、たとえ負け試合であったとしても、観客にアピールするものはあったろうに・・・ということです。

シウバの試合が際立っていただけに日本人2選手の出来には失望でした。


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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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