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「国語に関する世論調査」に思う

“新聞記事”という文章を書く仕事に就いた私が、まだ駆け出し記者のころ、プロ野球に関する原稿を出してデスクに“間違いやすいから・・・”と叱られたのが「(監督が)采配を振る」という言葉でした。

本来の正しい使い方「采配を振る」を私は「采配を振るう」-。

〈采配〉=「軍陣で大将が打ち振って士卒(兵士)を指揮するのに用いた具」(広辞苑)

これを“振る”のですから“振るう”は間違い。言葉の流れでつい、振るう、と使ってしまいがちですが、怖いデスクの、常に辞書を片手に確認する習慣を・・・との指導により、改めて辞書を引けば、振る、が正しいことが分かります。

ちなみに「采配を振る」の意味が、指揮する、指図する、であることは皆、知っていることですね。

この昔の出来事を思い出したのは、今年9月に発表された2017年度(平29)の「国語に関する世論調査」で〈チームや部署に指図を与え指揮する〉ことの「采配を振る」を32・2%が正しく答え、56・9%の多くが“振るう”と間違った使い方をしたことが明らかになったからです。

私が新聞社に入ってデスクに指導されるまで間違った「采配を振るう」を平気で使っていたように、こうした言葉遣いの間違いは、本人が正しいと思っている分、なかなか気づき、直す機会がありません。

私には「順風満帆」(じゅんぶうまんぱん)をずっと「じゅんぷうまんぽ」と当たり前のように言っていたときがあり、これなども誰かに指摘されなければ、気づかずに使い続けてしまう類の勘違いだったでしょう。

多様化する日本人の国語意識

私が「采配を振る」の間違いをデスクに指導されて以後、正しい使い方を覚えたことは、ある意味ラッキーでした。なぜなら、いまだに使い方の間違いが多いことを「国語に関する世論調査」が指摘しているのですから・・・。

文化庁が1995年(平7)から毎年、実施しているこの調査は、社会の変化とともに国語に関する意識も多様に変化する、という意味で面白いですね。

過去の調査では、敬語の使い方やすべてに短縮時代の「ら抜き言葉」などが、時代を象徴して挙げられていました。

今回は“新しい表現を使うかどうか”の問いかけに「タメ」と「ガチ」が代表格として出され、結果は「タメ」を使うのは、30代までが80%以上、70歳以上は13・2%。「ガチ」は41・0%が使い、70歳以上は8・9%となりました。

まあ、当たり前のことかもしれませんが、高齢者がガチなどと言ったらビックリしてしまうだろうし、こうした若者たちが日常的に使う新しい表現を高齢者たちはほとんど使わない、あるいは、聞いたこともない、とする傾向が出てきているようにも思えます。

同じ日本語ながら、近い将来、若者たちと高齢者たちとの間に〈使う言葉の壁〉が出来てしまうのでは? などと心配してしまうほど、今ふうの若者言葉は氾濫していますね。

それはまた、今回初めて調査するに至った「カタカナ語」についての意識にも、いずれは・・・が感じられます。

「カタカナ語」は今回「ガイドライン(指針)」「ワーキンググループ(作業部会)」「コンソーシアム(共同事業体)」「インバウンド(訪日外国人旅行)」「フォローアップ(追跡調査)」「パブリックコメント(意見公募)」の6語を対象に調査されたそうですが、主に官公庁が作成する公用文に使うかどうか、の問いかけに現段階では、ほとんどの言葉で、漢字を使う、が多数となった、とありました。

しかし、PCやスマートフォンなどの使用が当たり前、さらに文書も横書きが徐々に一般的になるにつれ、この「カタカナ語」と「漢字」の比率がやがて、逆転される日も近いような気がします。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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