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“ゴッド・レフト”を生かすための工夫

プロスポーツ各界は(プロスポーツに限ったことではありませんが特に・・・)頂点に立てばその喜びは一瞬のこと、直後から打倒を目指す“刺客たち”に狙われる立場となります。

チャレンジャーという名の刺客たちは、打倒のために研究し尽くして立ち向かい、だから頂点に立つものは、それを超える精進、工夫、対策が必要になり、これまで通りではその地位を保つことが難しくなります。

例えばプロボクシングの世界戦を見ていると、強い王者はやはり、そのあたりに長(た)けており、相手の徹底研究に対応する“引き出しの多さ”で敵を退けていることに気づきます。

世界王者であれば、世界各国のそれこそさまざまなスタイルのチャレンジャーに挑まれることになるわけで、それらへの対応は簡単なことではありませんが、それが出来なければ“短命”の王者となってしまうわけです。

話題を大相撲に転じ-。

九州場所の3日目(11月13日=福岡国際センター)横綱・稀勢の里(32=田子ノ浦)が敗れ、初日から3連敗という窮地に立たされました。

得意の左〉にこだわる稀勢の里は、突き押しの北勝富士にその左を封じられ、一瞬の突き落としに横転させられるという、まったくいいところなしの敗戦・・・。

場所を中継する「NHK総合テレビ」の幕内解説を務めた北の富士勝昭氏(元横綱)は、負け方の悪さを指摘、稀勢の里の左は研究され尽くされているのだからもっと工夫が必要、と苦言を呈していました。

稀勢の里が立ち直るために・・・

2横綱が休場し1人横綱の重責を担う中での連敗。進退を含む“崖っぷち”を報じた11月14日付のスポニチ本紙は、その記事の中に親方衆の、北の富士氏同様のこんなコメントを掲載していました。

〈(略)土俵下の藤島審判長(元大関・武双山)は稀勢の里の攻めに疑問を呈した。「左一辺倒だから警戒されて差せない。最終的に差せればいいのだから、右をもっと使えばいい。攻め方のバランスが悪い。(略)〉と-。

また、スポニチ本紙に評論「視点」を掲載している玉ノ井親方(元大関・栃東)も「左を差したいのであれば、もっと右を使わなければ駄目」と指摘していました。

これらの指摘に接し、まったくその通りだなァ、と思い出すのはプロボクシングの元WBC世界バンタム級王者・山中慎介(帝拳=引退)の苦節と研究でした。

山中の代名詞となった一撃必殺の〈ゴッド・レフト〉は、ジムの先輩王者・浜田剛史氏(帝拳代表)によると「入門当初、左の強さは天性のものがあったが、練習で出せても試合で出せなかった」そうですが、それが必殺の武器となったのは「反復練習により踏み込みの鋭さと手の速さを一体化させた」(浜田氏)ところにありました。

とはいえ世界王座12度防衛の長期政権、世界の刺客たちはそのつど、山中の左を徹底研究して立ち向かって来ます。それを退けたのは右でした。

左を生かすために右をどう使うか〉防衛を重ねるたびに山中の右は、さまざまに角度を変えた多彩なものとなり、威力も増して相手を戸惑わせ、チャレンジャーたちは分かっていても最後は左で仕留められてしまいました。

この、得意技を磨き、磨くだけでなくどう生かすか、相手が〈分かっていてももらってしまう〉ところまで高める工夫が出来てこそプロの技なのでしょうね。

稀勢の里に研究が足りないとは言いませんが、得意の左を差して自分の態勢に持ち込むには何が必要なのかを工夫・研究することが必要でしょう。

真面目さが随所ににじみ出る横綱につい同情してしまいますが、悲運の横綱にならないよう、多少のずるさ、憎々しさも必要なのでは、と思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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