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映画「鉄道員」を観て・・・

映画関係者や私たち一般の映画ファンが集まって開催される研修会の11月例会があり、上映されたイタリア映画「鉄道員」(1956年製作=1958年10月日本公開)を観(み)てきました。

あのピエトロ・ジェルミが監督&主演を務めた、イタリア映画史上に残る、と言われる名作ですね。

私はこの映画を以前、ハッキリと思い出せないのですがどこかで観ており、この日で確か2~3回目くらいの鑑賞になったと思いますが、忘れかけてしまっているストーリーとは対照的にしっかりと覚えているのが、あの哀愁あふれる音楽なのですね。

鉄道機関士のアンドレア“ピエトロ・ジェルミ”マルコッチは、日々、最新型の電気機関車を運転しつつ、妻と3人の子供たちの5人家族を支えています。

しかし、頑固で口うるさく、何ごとにも厳格ゆえに、失業中の長男マルチェロ“レナート・スベツィアリ”マルコッチ、長女ジュリア“シルバ・コシナ”マルコッチとぶつかり、2人に嫌われ、そのたびに優しい母サーラ“ルイザ・デラ・ノーチェ”マルコッチが間に入って取りなすものの、父親vs息子&娘の亀裂は深まり、家族の間がギクシャクしたものになっていきます。

「鉄道員」が製作された1956年。その当時(昭和31年)の私は、小学校高学年の思春期でしたが、日本の各家庭内での父親の存在は、今と違って絶大なものがあり、地震・雷・火事・オヤジ、ではありませんが、絶対的権力者の父親と子の対立は、私も含めてそこかしこに当たり前のように見られたものでした。

この研修会で「鉄道員」を選択したメンバーのKさんは、推薦の弁をこう記述しています。

〈・・・(略)この映画では、庶民の生活の中で(略)イタリア人の生活信条がふんだんに展開されていると思います。一方で古い日本の情景・心情に通底(共通)したシーンに、親和間というか郷愁を感じます。日本人とイタリア人のメンタリティには共通項が多いのだろうか。(略)〉

この記述には共感を覚えますね~。

戦後の日・伊に共通する家族の形

イタリア映画というよりは、むしろ日本の戦後を支えた頑固一徹のオヤジを頂点とする、ひと昔前の日本の家族の形と類似することろがあります。

その意味で・・・イタリア映画を観ているというよりは、日本の映画を観ている感じ。父親と子供たちの間に立つ母親サーラの忍従と優しさは、さしずめ“日本の母”である三益愛子的なものさえ感じました。

父アンドレアはある日、自らが運転する機関車に若者が飛び込んで自殺する出来事に見舞われ、その衝撃が原因で信号を見落とし、対向する列車とあわや衝突のアクシデントを起こしてしまいます。

そのために左遷され、信号見落としなどは過重労働のためと労働組合に訴えても取り上げられず、やけになって酒に溺れる日々。そんなとき、労働組合が決行したストライキ中に自ら機関車を運転してスト破りをしてしまいます。

仲間から、家に帰らず家族からも孤立、酒・・・。父親を長男、長女がどんなに嫌っても、幼い末っ子のサンドロ“エドアルド・ネボラ”マルコッチは、機関車を運転する父親を誇りに思い、仕事が終われば酒場で仲間に囲まれてギターを引く父親は大好きな存在でした。

サンドロは、いなくなった父親を酒場を巡って探し、とある酒場で見つけ、仲間たちが歓談する元の酒場に引っ張っていきます。

スト破りをしたアンドレアを、しかし、仲間たちは暖かく迎え入れます。働く仲間たちの友情の輪・・・アンドレアのギターも復活し皆に笑顔が戻りました。

が、アンドレアの体は蝕まれており、自宅で開いた盛大なクリスマス・イブのパーティーが終わった後、マルチェロとジュリアも確執を超えて家に戻ってくる中、ベッドに横たわったアンドレアはギターを抱えたまま息を引き取りました。

鉄道の機関士という一労働者を主(あるじ)とする家庭に起きるさまざまな親子の葛藤が描かれ、一方では社会の情勢として、労働組合の闘争という政治的背景がのぞかれ、スト破りをしたものを、やはり、めでたしめでたし、で終わらせるわけにはいかないだろう、という最後のアン・ハッピーエンドは、監督の矜持なのか、あるいは1956年当時のイタリアの情勢なのか-。

戦後のイタリア庶民家族のホームドラマと思わせながらも、さまざまなテーマを観る側に投げかけてくる感動的な名画でした。

余談ながら、私が思わずウルウルと涙腺を緩ませてしまったのは、映画が始まると同時に流れたあの音楽でいきなり、そして傷心の父親アンドレアが幼い末っ子サンドロとともに戻った酒場で元の仲間たちが暖かく受け入れる場面でした。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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