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「タイガー・イズ・バック」の興奮

手元に2009年12月13日付のスポニチ本紙があります。

1面に「ウッズ 消えた」の衝撃的な大見出し-。

ゴルフ界のスーパースター、タイガー・ウッズ(43=当時33、米国)が同年12月11日、自身のホームページでツアー無期限欠場を表明したことを受けての紙面づくりでした。

不倫スキャンダルに揺れる中での欠場表明。ウッズはホームページに「私は自分の背信行為が家族、特に妻と子供たちを傷つけ落胆させたことをしっかりと理解しています」と記して不倫を認め、家族との生活を優先させるための離脱表明でした。

これを機に体調も崩し、2014年には腰の故障で手術を繰り返し(計4回に及びました)さらに2017年には、痛み止めの薬物使用でフラフラのまま車を運転して逮捕されるなどドン底に落ち込みました。

「栄枯盛衰 世の習い」はつきものの世界であっても、あるいは「無常の風はときを選ばず」であっても、あのタイガーがまさか! とこれほどまでの転落を余儀なくされることなど思いもよらなかったことです。スポーツ新聞各社のゴルフ担当記者たちも「もうダメだろう。タイガーは終わった」という声が多くを占めていました。

2019年4月14日夕(日本時間同15日未明)-。

ウッズはオーガスタ・ナショナルGCの最終18番グリーン上で72ホール目のプレーを終えようとしていました。

ボギー・パットとなったものの30センチのウイニングパットを沈め、後続に1打差をつけて優勝を飾ったウッズは、両手を突き上げて雄たけび。そしてグリーンサイドで見守っていた母・クルチダさん、長女・サムアレクシスちゃん(11)と長男・チャーリー君(10)ら家族と熱い抱擁を交わしました。観る側も胸を熱くするシーン・・・。

「マスターズ」は2005年以来、14年ぶりの優勝(通算5勝目)、メジャーは2008年の「全米オープン」以来、11年ぶりの優勝(通算15勝目)。2018年1月にツアーに復帰し、同年9月の「ツアー選手権」(米ジョージア州=イーストレークGC)で優勝を飾り、立ち直りのきっかけをつかんで、まさに奇跡的となった「マスターズ」制覇に結びつけけました。

「ジャック・イズ・バック」の熱狂

数多くのドラマを生んできた「マスターズ」の長い歴史の中でも1986年の大会は、ファンの記憶に永遠に残される特別の大会となりました。「ジャック・イズ・バック」の熱狂です。

1940年1月21日生まれ。“帝王”ジャック・ニクラウスは、この年のマスターズを46歳2か月をわずかに過ぎたところで迎えました。その前の7試合では3試合の予選落ち。過去「マスターズ」5勝など数々のメジャー競技で圧倒的な強さを誇り、トレードマークの金髪を輝かせてきたゴールデン・ベアも、さすがにピークを過ぎて下降線をたどっており「もう時代は終わった」という声が周りを取り巻いていました。

ニクラウスの猛攻は、そんな周囲の見方への反発だったかもしれません。最終日、バック・ナインの猛チャージは、まさによみがえった帝王の強さとなりました。15番パー5でイーグル、16番パー3でバーディー、17番パー4でもバーディーを奪うなど、実にイン30で65をマーク、通算9アンダーで逆転勝利を飾ったのです。

1975年以来、11年ぶりの劇的な復活優勝で通算6勝目。それはまた史上最年長優勝の記録も歴史に刻みました。

ジャック・コールが渦巻く最終18番グリーン・サイドは「ジャック・イズ・バック(ジャックが帰ってきた)」の熱狂がオーガスタの森をいつまでも揺らし続けたものでした。

「タイガー・イズ・バック」-。

ウッズの復活劇は一見、状況的にこのときのニクラウスの復活劇と似たようなものも感じます。

しかし、スポニチ本紙にコラム「密着オーガスタ」を寄稿してくれている中嶋常幸プロは「腰やひざを痛め、年齢も重ねて以前のような力強さは影を潜めた。(略)でも、その分、無理のないスイングで試合をつくることができるようになった。(略)」と書いています。

その意味でウッズは、数々の表向きの数字などではとても判断することが出来ない、人間の底力とはどういうものか、を教えてくれる復活劇ではなかったか、と思い、これもまたニクラウスに負けない「マスターズ」史に残る“特別の勝利”だったと受け止めています。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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