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「夕鶴」への挑戦⑤~舞台稽古~

取り囲む空気に緊張感が漂い始めました。

11月17日の日曜日、午後5時50分-。茅ヶ崎市民文化会館の楽屋口に集合! の声が掛かります。

これまでの稽古場から場所を移し、本番の舞台となる同会館の小ホールを使い「場当たり」や「通し稽古」などを行うのです。スケジュール表では、本番の舞台を使って稽古を行えるのはこの1日だけ。舞台の広さなどを把握して動きの幅に見当をつけたりすることが出来る貴重な日なのです。

ちなみに「場当たり」とは、照明や音響、大道具・小道具など舞台装置を手がける裏方さんの確認作業です。

ですから…一つの場面で私たちが台詞を言い、その場面に対する照明や音響などの担当者が段取りを確認しつつ、次、はい次、と間を飛ばしてスピーディーに先々に進んでいきます。

「場当たり」は裏方さん用ですから、役者が芝居の確認などは出来ませんが、それでも立ち位置やここで暗転とか舞台に出るタイミングなどを知ることが出来、稽古場では得られないものを得ることが出来ます。

裏方さんたちの確認作業とあって私たちは楽にも見えますが、それでも開始から約2時間弱、結構神経を遣う作業で気疲れします。

数分の休憩後に「通し稽古」が開始されました。

日々の稽古場での稽古は、稽古場を使用する時間の制限もあり、場面ごとの稽古が中心となり、全体を通して稽古する機会がありません。

緊張感に包まれて…

台本に沿って最初から最後まで通した稽古が出来るのも、こういうときしかなく、数少ない貴重な機会なのですね。

鶴の化身「つう」とその夫の「与ひょう」。そして悪役の村人「惣ど」(私です)と相棒の「運ず」の4人がそれぞれ、衣装を着けて舞台に立ちます。

私の衣装は、和服に袴を着け、羽織も着用します。そして雪深い地方の出来事とあって藁(わら)で編んだ雪靴を履きます。

既に台詞は、演出を手がける「湘南座」座長のI氏から「11月9日の稽古から台本なし」と過酷な指令が出されているため、基本的には台本なし! としたいところなのですが、やはり…というか、どうしても懐にしのばせてしまいます。

どうしてこういうことが起きるのか分かりませんが、日ごろ、自宅などでの練習でほぼ「台詞は覚えたぞ」と自分で自分にOKが出せるところまで行っていると思われるのに私は、この通し稽古で数回、台詞が飛んでしまって出てこなかったりしています。

なぜなんだろう? ということを考えると結局、行きつくところは、他者と動作が絡むところで動作を気にしてしまい、台詞を忘れてしまっているのですね。

こんなことでいいのだろうか、とつくづく思います。何しろもう、本番は2週間後に迫っているのです。

…このところ、夜になると急に冷え込みがきつくなったなァ。台詞もうまくいかず、寒暖の差による昼間の薄着が身にしみらァ。ウフッ、ブルルッ。ハァ~クショイ! チクショウめ!

「夕鶴」の終盤、鶴の化身「つう」が身を削って布を織り始めるシーンがあります。

台詞-。

運ず「おら、どうも物蔭で身とって、何やらあの女房、気の毒でなんねえだが…」

そんな運ずに対し惣どが言います。

惣ど「このど阿呆が。大金儲けをするちゅうときに気の毒も何もあったもんだか」

-肩を落とし寒々とした夜道を歩く男が何やら言いました。

どうやらオレは、とても惣どにはなれそうにない…。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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