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身びいきで見失う相手への敬意

以前の出来事です。

それは2006年10月、大阪・茨木市の茨木CCで開催された国内女子ゴルフツアーの最高峰「日本女子オープン」(1日最終日)で起きました。

4日間計4万3433人(主催者発表)の大ギャラリーを動員した大会。第3日を終えて日本初参戦の張晶(チャン・チョン=韓国)が首位、3打差で宮里藍(現・引退)が追う願ってもない展開となり、注目の最終日、勝負は実力者・張の“崩れない強さ”に軍配が上がりました。

日本での優勝を喜んだ張は、その一方、宮里びいきの観客(ギャラリー)の反応に疑問符を投げつけ「バーディーを取ったときには“ナイス・バーディー”といってほしかった」と不満を漏らしたものでした。

観客の“身びいき問題”は、それより以前、1984年9月に開催された、日本で行われる唯一の米女子プロゴルフツアー「マツダジャパンクラシック」(名称は当時)でも起きています。

会場の東広島市・広島CC八本松コースは、日本のエース・岡本綾子の故郷のコース。その岡本が第3日を終えて首位のジャン・スティーブンソン(オーストラリア)に2打差の好位置につけ、最終日を迎えました。

“我が身かわいさ”が引き金となり…

ギャラリーのすべてが岡本を応援し、岡本とスティーブンソンの組につくという異様な雰囲気の中、パーパットを外したスティーブンソンに対してついに“ナイス・ボギー”の心ない声が投げかけられてしまったのです。

女子ツアー史上に汚点を残す、もはや伝説的となっている「ナイス・ボギー事件」ですね。

そのときの岡本は、日本開催のホステスとして情けなさにまみれ、やり場のない怒りと悲しみに大粒の涙を流して抗議したものでした。

後に岡本は自著「メモリアルグリーン」でこの件を振り返り「私の人生に深い傷跡を残す最大級の事件」と記述しています。

この出来事はともにギャラリーの、宮里や岡本に対する“身びいき”から起きたものです。つまり「ひいきの引き倒し」ですね。

身びいきが過ぎて相手への敬意を忘れてしまう典型的な出来事ですが、この“身びいき”を自己中心的な“我が身かわいさ”に置き換えたとき、話は変わりますが、新型コロナウイルスの感染防止のために日夜、身を粉にして献身的に闘う医療従事者やその家族の方々への、許し難い差別や中傷を生むのではないかと思います。

過日、医療従事者への感謝の気持ちを込めて休業中の屋形船店が東京湾に船を出し、会場に「ア・リ・ガ・ト・ウ」の文字を描いたことが報じられました。そんな出来事を知らされた側も、思わず目頭が熱くなってしまいます。

岡本は「最高の舞台を成功させるためには、観客もプレーヤーの一人でいてほしい」と言いました。

安全なところにいる人は、安全に甘んじて、勝手にいろいろ言いたがります。しかし、窮地からの脱出は、安全なところ、危険が伴う渦中、などを超えた、みんなの結びつき、協力によるものと思いますが…。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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