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「寄る」「押す」だけでは味気ない

さて…日々、熱戦を繰り広げる大相撲(11月場所=東京・両国国技館)に目を転じてみると-。

既に大詰めを迎え、13日目(11月20日)を終えた時点で1敗の大関・貴景勝(千賀ノ浦)を2敗の小結・照ノ富士(伊勢ケ浜)と幕尻の志摩ノ海(木瀬)が追撃。この3人が残り2日間に優勝を懸ける面白い展開となっています。

この優勝争いとは別に5日目(11月12日)の出来事…十両の宇良(木瀬)が「居反り」の大技で旭秀鵬(友綱)を下したとき、場所を中継するNHK総合テレビの解説陣が、全体的に少なくなった“決まり手”をテーマに意見を出し合っていました。

最初に奇手「居反り」について説明すると-。

〈相手の前にしゃがみ込むように腰を低く落としてもぐりこみ、相手の両ひざを抱え、体(背中)を思い切り反らせて相手を押し上げ、自分の後ろに投げ落とす技〉

元日刊スポーツの相撲記者として活躍した工藤隆一氏(現・評論家)著の「大相撲~見かた楽しみかた」(河出書房新社・刊)によると日本相撲協会が決めた「決まり手82」(2001年初場所以降)の中に「居反り」はちゃんと存在し、しゃがんで相手を後方に落とす「反り手」に分類された反り技には「『撞木(しゅもく)反り』や『たすき反り』など計6種類もある」(同)のだそうです。

宇良の「居反り」はこれより以前、学生時代(関西学院大出身)にも披露しており、各方面から注目されていたとのことでした。

この「居反り」が日常的に出る技でないことは当然として、解説陣の話題は、いわゆる7種類の基本技~つまり「寄り切り」「寄り倒し」「押し出し」「押し倒し」「突き出し」「突き倒し」「浴びせ倒し」がほとんどの決まり手になっていることに“物足りなさ”を指摘します。

なぜ多彩な技が減ったか?

ちなみに13日目の「中入り後」19番中、多い順に①押し出し・押し倒し=8②寄り切り=5③叩(はた)き込み=2。後は上手出し投げ、突き落とし、突き出し、蹴返し、がそれぞれ1でした。

同日、高安(田子ノ浦)と対戦した翔猿(追手風)が、右足を放って決めた「蹴返し」は、決まり手の分類では「掛け手」に入るそうです。

決まり手の面白さは、観客を楽しませます。

1950年~1960年代の土俵には、曲者が多くいて、私たち少年(まだ10代だったでしょうか?)の手に汗を握らせました。

琴ケ浜(元大関=二所ノ関→佐渡ケ嶽)の“天下の宝刀”内掛け。怪力の“潜航艇”岩風(元関脇=若松)の吊り・寄り。長身の“起重機”明歩谷(元関脇=宮城野)と怪力の“暴れん坊”陸奥嵐(元関脇=宮城野)の吊りの競い合い…。思い出せば確かに凄い土俵でした。

今、投げ技が減り、名人技の類がなくなってしまったのは、やはり、重い体重の大型力士が多くなり、寄る、押す、叩(はた)く、を中心とする技が多くなってしまったのだろう、と言われます。

そうした中、大関への復帰も近い照ノ富士が見せる、相手を放り投げるような上手投げや豪快な吊りは、いかにも強さを感じさせて観る側を興奮させます。

かつては豪快な「呼び戻し」や巨漢力士の上からの「鯖折り」、逆転の「うっちゃり」などが見られ、相撲好きの少年たちが一生懸命マネて練習に励んだりしたものでした。「鯖折り」は結構、痛い技でしたっけネ…。

多彩な技が、小兵力士の奇手だけに終わらないよう、土俵上で存分に生かされたいものですね。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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