胸騒ぐ西岡の米本土防衛戦

9月28日夕、友人と横浜中華街で食事をしているとき、私の携帯電話が鳴りました。

「サトーさん、元気ですか? 今、ラスベガスは盛り上がっていますよ」

受話口から聞こえてきた声は、WOWOWの大村和幸氏でした。編成制作局スポーツ部のチーフ・プロデューサーを務め、人気の海外ボクシング番組「エキサイトマッチ」で日々、ボクシング・ファンを楽しませてくれています。

目下は「エキサイトマッチ・スペシャル in ラスベガス」として生中継(10月2日午前10時~)される、WBC世界スーパーバンタム級王者・西岡利晃(35=帝拳)のV7戦に備えて準備に余念がないといった様子でした。そうです。西岡の注目の防衛戦はもう、10月1日(日本時間同2日)=米ネバダ州ラスベガス(MGMグランドホテル&カジノ)=に迫っているのです。

西岡が国内での練習を打ち上げて米国に向かったのは9月21日のことでした。国内で消化したスパーは50日間で計121Rと入念、かつハードなもの。西岡にしてみれば、元2階級制覇王者の最強挑戦者(同級2位)ラファエル・マルケス(36=メキシコ)を迎え撃つ正念場の一戦となるとともに、本場ラスベガスのリングで日本人の王者がメーンで防衛戦を行うという歴史的な出来事にボクサーとして身を震わせる思いでいるのではないでしょうか。

過去の苦渋が生かされている今の強さ

08年9月の王座奪取後、これまで6度の王座防衛、うち5戦で4連続を含む5KO勝ち。王座奪取前、ウィラポン(当時WBC世界バンタム級王者)への4度の挑戦で2分2敗と、どうしても前に進めなかった足踏みがウソのような強さ、快進撃ですが、ジムの先輩であり、元世界王者の浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)は「そんな苦労を含めた開花でしょう。苦い経験が今、生かされています」と言っていました。

西岡がラスベガスでもやってくれそうな気配はやはり、09年5月23日の衝撃的な勝利がまだ、記憶に生々しいからでしょうか。敵地メキシコに乗り込み、地元の人気者ジョニー・ゴンザレスを相手にした2度目の防衛戦です。

初回にダウンを喫し、危うさも漂わせましたが、西岡の本領は3回に発揮されます。右ジャブで誘い出し、ゴンザレスが左を出したところに踏み込み鋭い必殺の左ストレートを繰り出しました。ピンポイントであごを打ち抜かれ、仰向けに吹っ飛ぶゴンザレス。西岡の敵陣での3回1分20秒、KO勝利は、西岡恐るべし! とメキシコのファンを沈黙させました。

この破壊力を持つ西岡の左は、戦う誰からも研究し尽くされています。それでも封じ込むことが出来ないのは、左を生かすための右の使い方が多彩だからだ、と専門家は指摘します。

多くの挑戦者から、その座を狙われる世界王者に求められるものは「対応力」だとよく言われます。相手が左を封じ込めにきたら、こういう対応で左を生かす、あるいは、こう着状態になったら、こういう対応で突破口を開く・・・そうした引き出しの多さが、今の西岡には備わっているような気がします。

メキシコの衝撃がラスベガスで再現されたら、西岡株の急浮上は必至、世界のスーパースターに上り詰めることでしょう。マルケスとの打ち合いは、スリリングなものとなりそうですが、日本人王者の最年長防衛記録も懸かる遅咲きの西岡には、この大舞台で誇らしげに手を挙げる勇姿を大いに期待してしまいます。


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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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