独善的男乃着物考其ノ拾

暑い夏の季節には、ついつい遠ざかっていた着物ですが、過ごしやすい季節となって先日、久々に畳紙(たとうがみ)を開き、取り出しました。

「着物の四季」では10月は“正月”とも言われます。9月の単衣(ひとえ)から10月は袷(あわせ)に変わり、年を越して衣替えで単衣となる6月までの8カ月間、着物好きにとっては“お楽しみ”の日々が、改めてここからスタートする、という意味合いなのでしょうね。

寒暖にかかわらず10月からは袷、に関しては、知り合いのご婦人から、しっかりと釘を刺されました。いわく。「和服の粋は“先取り”だからね。10月はまだ、残暑の暑さが残る日があるけど、麻とか単衣とか夏の装いはもう、絶対ダメ。見る人が見れば・・・だからね。そういうときは、内(下着)を涼しくする工夫をして、外は季節に合わせ(袷)る、だからね」。エッ、オヤジ? ギャグ、ですか。ハイ、肝に銘じます! これも心意気! というものであります。

1年ぶりに身に纏(まと)う、名無しの「紬(つむぎ)」は、バサッと重厚で渋く、存在感を感じます。まあ、口を開かせるなら「1年間も放っておかないでくれよな」とでも言われていそうです。ちなみに余談ですが、有名ものの代表に「大島紬」があり、秋口はこれ、とも言われるようです。しかし、私は、大島紬の軽やかさは春風に合うかな、と思いますし、春先に着ることにしています。

それにしても街に出て思うことは、呉服店が最近、めっきり減ってしまったなァ ということでしょうか。私が住む藤沢(神奈川県)の街も、時折、のぞいていた全国チェーンの呉服店が店じまいしてしまったし、デパートの呉服フロアも男物の品数がまったく少なくなって、羽織紐など和装小物類ひとつにしても、探す(購入する)のに苦労してしまいます。

まあ、需要と供給のバランスで、男物の着物などは所詮、すたれ行くもの、一般的ではないことを考えれば仕方のないことかもしれません。と嘆きつつ、こんなご時世、私もそうですが、一般の愛好家たちが上手に利用しているのが「古着店」ではないでしょうか。

「古着店」を味方につけよう

私が時折、のぞきに行く古着店は、鎌倉にあります。鎌倉駅の出入り口は、鶴岡八幡宮に向かう“表”の東口と、私たちが“裏駅”と呼ぶ、その反対側の西口に分かれますが、その古着店は西口を出て左方向、御成(おなり)通りの途中、路地裏にあり、これは「良さ」を感じている(店側は不満でしょうが・・・)のですが、比較的分かりにくい立地にあることです。

それでも、知る人ぞ知る、といったところでしょうか、オーナーの品選びのセンスの良さ(・・・というもっぱらの評判です)もあり、店は結構、常連客の出入りが多く、その人たちに案内されて観光の外国人も顔を出し、長襦袢や羽織を家の中でのくつろぎ用に求め、安価な古着をさらに値切っている姿が微笑ましくもある光景を展開させています。

着物が通常、オーダーメードであることは言うまでもありませんが、古着店に吊るしてあるそれは当然、すべてが出来合いのものであり、それに自分の体を合わせることになります。で、ポイントは寸法、つまり「身丈」(背中の衿の付け根から裾までの長さ)と「裄」(袖の長さ)の2点が重要になります。

特に「裄」は、羽織の裄を常に考え、羽織を着たときに出ないように多少、短めの方がいいかもしれません。

古着・・・「古い着物」は文字通り、昔の人が着ていたものですが、良いところは、同じ絹にしても、今より昔のものの方が良質である場合が多く、思わぬ掘り出し物が見つけられる可能性があることでしょう。逆に要注意点は、寸法が全体的に小さく、気に入ったものでも、体に合わなければどうしようもない、ということです。

もうひとつ、例えばこの店は、路地裏という立地上、店内が暗いのですが、そのため、寸法も合っていざ購入を決めたら、必ず店外に出て外の陽にかざしてみる必要性が出てきます。つまり、虫食いとか煙草の火が飛んでつくられた小穴があるかどうかの点検です。特に暗い色のものは要注意。家に帰った後に発見しても後の祭りです。

これらの要素(古着店を味方にするコツともいえますが・・・)がクリアできれば、思わぬお気に入りが安価で手に入るというチャンスが、古着店にはゴロゴロと転がっており、街中に呉服店が減った今、上手な利用の仕方をしてみてはどうでしょうか。

(「独善的男乃着物考」シリーズは「日常」の項に収めています)
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR