“自問自答”の再起戦に臨む長谷川

故事にこんな言葉があります。

〈楽しみは銀、苦しみは金〉

つまり、人間形成の上で、苦しみは楽しみよりも価値がある、という教えです。

先日、ボクシング好きの友人と話しているとき、新チャンピオン(WBA世界ミニマム級王者)となった八重樫東(28=大橋)や、今や無敵のWBC世界スーパーバンタム級王者・西岡利晃(35=帝拳)らの話題となり「まあ、何ごともそうだろうけど、特にボクサーはやはり、苦い経験を積むと、それが幅の広さとなって試合に出てくるものだね」と、故事を裏付ける結論が出ました。

今の西岡の強さの裏に、王座奪取前の4度にわたる挑戦失敗という苦い経験、加えて故障による引退危機があったことは周知のことですし、八重樫にしても世界初挑戦に失敗(07年6月)後の失意や、やはり、腰痛による引退危機があり、それを乗り切って「苦しみは金」にたどりつきました。

ではでは・・・です。「穂積はどうだろうね」と友人が言いました。ここで長谷川穂積(30=真正)の名前が出てくることは、やはり、この名チャンプの動向が気になって仕方がないのでしょう。

長谷川は昨年11月、WBC世界フェザー級王座決定戦に勝ち、2階級制覇を達成後、今年4月、ファンの夢を乗せた初防衛戦で、ため息につつまれつつ、ジョニー・ゴンザレス(メキシコ)の右一発で沈みました。

「次」があるかどうかは納得度の問題

引退か? 再起か? と、その後が気になる中で長谷川が再起を表明したのは6カ月後の今月でした。10月26日、陣営は会見を開き、12月17日にフェリベ・フェリックス(29=メキシコ)とノンタイトルの10回戦を行うことを明らかにしました。

4月8日の敗戦後、12月に行う実戦は、実に8カ月ぶりとなりますが、この場合の興味は、相手がどんな選手なのか? などということより、すべては長谷川がどんな試合をするか、でしょう。

バンタム級でV10後、飛び級でフェザー級に挑んだ長谷川は、限界状態だった減量苦から解放されたものの、フェザー級にしては小柄な体格、パワーの問題に直面しました。バンタム級のスピードを維持しつつ、どうパワーも身につけるか、がテーマとなり、王座決定戦での長谷川は、見る側がハラハラするほどの乱打戦をあえて強行しています。

これはフェザー級に殴り込んだ長谷川の、パワーでも負けないゾ! という“名刺代わり”の戦いにも見えたものですが、敗れた初防衛戦を含むフェザー級2試合を通して、どこか長谷川にはフェザー級での戦いにくさ、が見え隠れしていました。

この点に関して元世界王者の浜田剛史氏は「長谷川ほどの選手だから、スピードとパワーの兼ね合いは、ウエートを上げても、そう変わりはないと思う。問題は“気持ち”ではないですか」と話していました。

今回の再起戦に関して長谷川自身も“気持ち”の部分にかなりのウエートを置いているようです。会見では「気持ちの面で楽しめなければ次はない。勝っても、その内容を含めて、気持ちの面で納得いかなければ次には進めない」と話したことが報じられています。

長谷川にはぜひとも、納得のいく快勝で次に進んでもらいたいことは、ファンの願いでもあるでしょうが、こればかりは長谷川に託するしかありません。

「銀」の楽しみに甘んじるか、もう一丁「金」の苦しみに挑むか、長谷川にしてみれば“自問自答”の厳しい戦いとなりそうです。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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