複数王者制のまぎらわしさ

そういうこともひっくるめてプロボクシングなのだ、といってしまえば、それまでですが、WBCにしろWBAにしろ、このところの統括団体(世界戦認定団体)の“いい加減さ”にはビックリさせられるとともに、ファンを戸惑わせるばかりです。

最近の事例で言えば、一つは「WBC世界バンタム級指名挑戦者決定戦」で行われる予定だった山中慎介(帝拳)vsクリスチャン・エスキベル(メキシコ)戦=11月6日、東京・代々木第二体育館=が、試合2日前に急きょ「王座決定戦」に変更されたことです。

変更の理由をWBCは、WBC&WBO世界同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)が減量苦により王座の返上、階級の変更を“公言した”から、と説明しました。

この試合は山中が11回TKO勝ちして新王者になりましたが、後日、ドネアが自身のツイッターで「王座はまだ、返上していない。返上は自分が決めること」と、返上を否定したことから、山中にとっては、何とも後味の悪い戴冠劇となってしまいました。

もっともWBC世界スーパーバンタム級王者の西岡利晃(帝拳)がラスベガス(米ネバダ州)=現地時間10月1日=で7度目の防衛に成功した際、観戦に訪れたドネアは、次はオレ! と西岡に対戦の意向を突きつけており、王座を返上、1階級上げて西岡への挑戦は“既定の路線”にありました。

しかし、だからといってWBCが、現王者の正式な届け出を待たず、見切り発車的な判断で安易に「挑戦者決定戦」を「王座決定戦」にしてしまうことはいかがなものでしょうか。

つまるところ世界戦認定団体の利益優先か

この問題に関してWBCは「ドネアが王座を返上せずに王者でいるなら、山中と戦えばいいこと」(スレイマン副会長)との見解を示しましたが、もし、そうなら、当初の予定通り「指名挑戦者決定戦」のままにしておけばいいことで、どうにも“世界戦認定団体”としての利益がちらつき、思慮のなさが感じられました。

もう一つは12月7日、大阪・大阪府立体育会館で開催される「亀田祭り」で暫定王者テーパリット・シンワンチャー(タイ)vs亀田大毅(亀田)のWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチが行われることになったことです。

同級世界王者は現在、8月にウーゴ・カサレス(メキシコ)を判定に下した清水智信(金子)ですが、そのカサレス戦で清水は右目眼窩(か)骨折を負い、陣営の見通しによると、次戦(初防衛戦)は早くても来春ごろ、とされています。

それによりWBAが下した判断は、清水を「休養王者」とし、テーパリットvs亀田大戦を正規タイトルマッチに認定する、というものでした。

WBAには、正チャンピオンのほかに、実績をつくった王者が昇格するSC(スーパーチャンピオン)制とか休養チャンピオン制とか、さまざまなチャンピオンがいて、何が何だかよく分かりませんが、清水がすでに練習を開始、来春の初防衛戦に備えているのなら、テーパリットvs亀田大戦は、暫定タイトルマッチで行われるのが普通でしょう。

休養王者扱いにされた清水は不満を隠せず、訴えを受けたJBC(日本ボクシンクコミッション)は、WBAから「正規王者」と「休養王者」の間に序列はなく対等、との見解を示されたそうです

が、この騒動により、清水は初防衛戦でテーパリットvs亀田大戦の勝者と“統一戦”を行わなければ済まなくなりそうです。

これを面白いと思うかどうか-。やはり、世界王者は一人、が原則であり、あちらこちらの世界戦はどうにも興醒めではないか、と私は思いますが・・・。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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