日本女子陣未到の五輪3連覇の可能性

時(とき)の経過は早いものです。08年の北京五輪がまだ、ついこの間、終わったばかりのような気がするというのに、もう4年が経ち、今年は7月下旬から8月にかけてロンドン五輪の熱戦が展開されます。

ロンドン五輪は1908年の第4回大会、1948年の第14回大会に続いて今回が3回目となりますが、五輪イヤーの幕開けに際して私が最も注目している選手は、レスリング女子55キロ級で世界の頂点に立つ吉田沙保里(29=ALSOK綜合警備保障)です。

同級で無敵の吉田は目下、04年アテネ、08年北京と五輪2連覇中、世界選手権9連覇中、全日本選手権10連覇中・・・と文字通り、日本のエース、最強戦士であることは周知のことです。

08年1月、公式戦119連勝を続けていた吉田が負けました。中国・太源で開催された国別対抗戦「女子W杯」(日本は3位)でのことです。

同大会の1次リーグ第2試合、マルシー・バンデュセン(米国)で、吉田は攻めまくりながら、相手のタックル返しに微妙なポイントを奪われ、判定負けで涙を飲みました。

吉田の敗戦は、01年の全日本選手権で山本聖子(当時日大)に敗れて以来のこととあって、そのショックは相当のものがあり、結果を言えば今、そこから立ち直って再び、連勝を続けているわけですが、連勝ストップの痛恨の敗戦をきっかけとして、彼女の頭の中に常にある課題は「タックルをどう進化させるか」ではないかと思います。

日々進化-今日の吉田が昨日の吉田でないこと

無名選手のバンデュセンの勝因は、吉田の武器であるタックルの徹底研究、そこから生まれた間一髪、捨て身のタックル返しでした。

得意技のタックルは、吉田がレスリングを始めた3歳時から、元全日本覇者の父親・栄勝さんに伝授された“宝刀”ですが、強者は常に打倒の標的であり、世界の刺客から技を研究し尽くされることは、何もレスリングの世界だけではない、いわば“王者の宿命”とも言えるものでしょう。

08年の痛恨を思い出させたのが、昨年12月に開催された「全日本選手権」(東京・代々木第二体育館)でした。吉田は55キロ級を制して全日本10連覇を成し遂げましたが、18歳の高校生・村田夏南子が相手となった決勝は、それこそ冷や汗ものとなりました。

村田に食い下がられ、2度も足をすくわれてマットに這いつくばってしまいます。苦戦の原因をたどれば、やはり、相手に戦法を徹底研究されたことから目を逸(そ)らすわけにはいかないでしょう。

得意技のタックルにしても、返されないためにはどうするか、相手の懐に入った後、腰を落とすことなど、吉田も日々、研究を続け、技術の進化に余念はありません。追いつかれれば突き放す、また追いつかれれば、さらに高みを目指し突き放す・・・頂点に立つものに“楽”はありません。

吉田は来るべきロンドン五輪で、日本女子陣では未到となる「五輪3連覇」を目指します。

達成の可能性は、世界の刺客に研究し尽くされた中、吉田がどれだけ“昨日の吉田”ではないことにあるのではないか・・・と思います。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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