引退問題と年齢の関係は?

第一線で活躍するスポーツ選手にとっては、やがて必ず訪れる、避けては通れない「引退のとき」ですが、彼&彼女たちアスリートは、どういうときに“引き際”を考えるのでしょうか。

体力の限界、気力の衰え、後進の台頭・・・岐路に立った自分を冷静に、第三者的に見つめられるもう一人の自分がいないと、なかなか踏み切れない問題だけに、決断にはいろいろと逡巡する難題となります。

例えばプロボクサーの場合、元世界王者の浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)は、自らの経験を踏まえてこう言います。

「やったことに悔いを残しているか、いないか、が決断のモノサシになると思いますね」

つまり、試合に敗れた選手が、力を出し切っての敗戦なら「仕方ない」とあきらめられるだろうし、出せなかった不満を残しているなら「もう一丁」となる、ということです。

同様に浜田氏を含めて長い間、帝拳のプロボクサーたちを見てきた同ジムのマネジャーを務める長野ハルさんは「負けたとき、負けた理由が分かって、それが希望につながるなら再起する。つながらなければ絶望的になる(引退を決意する)」と言いました。

まだやれるのに・・・と周囲が惜しむ中、スパッと身を引く人もいれば、いつまでも現役にこだわる人もいてさまざまですが、引退、引き際に美学があるなら、それは煩悩にのたうつ自分を始末する勇気の出し方のような気もします。

さて、プロボクシングWBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(32=ワタナベ)が昨1月16日、埼玉・川越市の東京国際大で“一日教授”を務め「35~36歳までは現役を続けたい」と話したことをスポーツ紙が報じました。

内山は昨年大みそかのV4戦で暫定王者のホルヘ・ソリス(メキシコ)を11回、左フック一発で撃破、年齢を感じさせない強さで周囲をうならせました。

実年齢と競技年齢は同じでない

高校(埼玉・花咲徳栄高)進学後にボクシングを始めた内山は、大学(拓大)卒業後も社会人アマとして活動、04年のアテネ五輪を目指しましたが、アジア地区最終予選で敗退、プロへの転向を決意し05年7月、ワタナベ・ジム(渡辺均会長)から25歳でデビューしています。

選手生命が短いボクサーの25歳のプロデビューはやはり、遅いほうなのですが、内山のプラス面は、30歳を超えた今、体・技の両面で衰えるどころか向上があるというところにあるようです。

年齢制限のため国内では試合が出来なくなり、海外に活動の拠点を移している元東洋太平洋ライトヘビー級王者の西沢ヨシノリ(本名・良徳=46歳)が以前、こう言っていたことを思い出します。

「年齢は関係ないのでは・・・と思います。私は日々の練習のたびに新しいことに気づき、新鮮な気持ちでそれを吸収しています。それが面白くて仕方ない」

西沢のプロデビューは20歳でしたが、内山のように遅くプロ入りした選手は、実際の年齢がイコール、ボクサー年齢、ではない分、ピークへの道がまだまだ長く続くように思います。

逆に元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)のように若い年齢でピークに達してしまった選手は、実年齢が若くても既にボクサー年齢が引退間近となっている例は結構、あるようです。

まあ、西沢のように40歳を越してしまっては、殴り合うボクシング競技の過激性を考えれば危険性が先立ち、周囲が許可しないのは当然でしょう。何かが起きてしまってからでは遅いのですから・・・。

が、内山の30歳代半ばには、円熟の境地による、安心感がある強さ、が感じられて、この男「KOダイナマイト」の引退問題はまだまだ先、実年齢からは計れないところがあるように思います。


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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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