「流出」か、将来の「還元」か・・・

毎週日曜日、TBSテレビ系で放送される「サンデーモーニング」(午前8時~)の中の「スポーツコーナー」で、例の、喝! アッパレ! でおなじみの野球解説者・張本勲氏は、日本人プロ野球選手のMLB志向を嫌い、常に批判の目を向けています。

今年に入っても、青木宣親(のりちか)外野手(30=ヤクルト)の、ポスティング・システム(入札制度)=独占交渉権はブルワーズが獲得=での移籍希望に対し、米国では知名度の低い青木は、球団幹部の前で、走攻守にわたる“入団テスト”的な練習をやらされたりしており、張本氏は「日本球界で首位打者3度の選手が、そうまでして・・・」と嘆きも頂点に達している様子でした。

青木は17日(日本時間18日)にブルワーズと合意(2年契約)しましたが、ヤクルト時代を大幅に下回る金銭的条件などに対し「お金の問題ではない」と自分の野球をより高みに押し上げて試したい“精神的部分”を強調していました。

ときを同じくして日本ハムの、というより日本球界のエース・ダルビツシュ有投手(25)が18日(日本時間19日)にポスティング・システムにより独占交渉権を得たレンジャーズとの6年契約を成立させました。

こちらはレッドソックスと6年契約した松坂大輔投手を総額で上回る金額が提示されたと伝えられ、知名度に見合ったビッグな移籍となったようです。

日米両球界の交流が活発化する昨今、野球で生きるプロ選手にとって、一度はやってみたい、腕試しをしてみたい、と思うMLBの舞台でしょうが、それを批判する張本氏の持論は、優秀な人材の海外流出による日本球界の危機、です。

ダルビッシュの移籍に関して言うなら、破格の入札金額で所属球団の懐は潤っても、もはや日本のグラウンドでダルビッシュの勇姿を見られないことを考えれば、ファンにとっては寂しい限りの出来事に間違いありません。

永遠のテーマでもある最高峰の舞台での腕試し

ジャンルは違いますが、女子ゴルフで03年にプロ転向した宮里藍(26)が06年から主戦場を米国に移したり、将来が期待されたアマの宮里美香(22=現プロ)が日本のプロテストを回避して直接、米国を舞台に選んだりしたとき、JLPGAの樋口久子会長(現・相談役)は、流出の危機を嘆く、というより、彼女たちが米国で活躍してくれれば、日本にとっても必ずプラスとなる、と“広い心”で対応していたのが印象的でした。

というのも岡本綾子が1983年、日本を留守にして米国に常駐するという形で主戦場を米国に移そうとしたとき、周囲には相当の反発があったことを思い出したからです。

年間のツアー競技を無難に維持したいJLPGAにとって、大会を支えるスポンサーの意向は絶対的なものがあり、例えば、岡本のようなスター選手が不在の大会は考え直さねば・・・などと言われたら、JLPGAは岡本の翻意に懸命にならざるを得ないでしょう。

日本だけでは飽き足らず、最高峰の舞台で自分を試してみたいと野望を抱く選手は、もちろん日本にとっても大事であり、観客動員を含めて簡単に手放したくないことは当たり前のことです。

日本の女子ゴルフ界は、先駆者の樋口が1977年、スポット参戦した全米女子プロ選手権で優勝し、その後、岡本が困難を乗り切って米国常駐で参戦という形を築き、そのレールに小林浩美(現・LPGA会長)や福島晃子らが乗り、そして今、宮里藍、上田桃子らが当たり前のように米国に進出しています。

時代の変遷もあり、これらは「流出」というネガティブな見方より、やはり、将来の「還元」というポジティブな見方をすべきなのでしょう。岡本は1987年シーズンに外国人として初めてUSLPGAツアーの賞金女王となり、日本人として初めてメジャー競技を制した樋口とはまた違った金字塔を打ち立て、日本のツアーの価値を高めました。

MLBにしてもイチローの功績などは、間違いなく日本の球界の価値を高めているでしょうし、今後、ダルビツシュがどれほどの活躍を演じるか、は注目されるところですが、日本のマウンドに不在のマイナス面におつりがくるほどのプラス面を米国からもたらしてくれれば、それはそれで意義のあることでしょう。

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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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