「ビジョン54」を伝える“伝道師”藍

ちょっと古い話題となりますが、昨年12月17日、プロゴルファーの宮里藍(26)が仙台市内のゴルフ練習場でジュニア教室を開きました。

スポニチ本紙に掲載された「被災地高校生女子ゴルファーに“藍のレッスン”」と見出しがつけられた記事によると、宮里が高校生活(東北高)を送った宮城・仙台で、自身初となるゴルフ教室を主宰したことは、被災地支援の一環としての意図があり、宮城、岩手、福島の被災3県から集まった高校生女子ゴルファー9人に「ゴルフを楽しく感じることで、何かのきっかけやエネルギーになってくれればいい」と話した、と記されていました。

この場に宮里とともに出席したのが、宮里が信奉する「ビジョン54」の提唱者、ビア・ニールソンとリン・マリオットの両氏でした。ニールソン氏はいうまでもなく、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン=引退)を女子最強のトッププロに導いた女性コーチであり、マリオット氏も多くのトッププロを育てたプロの女性コーチです。

「ビジョン54」は18ホール、パー72の全ホールでバーディーをとることを目標にする、という“構想”ですが、この言葉をもたらした実践者のソレンスタムは、両コーチの共著「ゴルフ“ビジョン54”の哲学」の中でこう語っています。

ちなみにソレンスタムが初めてこの言葉に接したのは1989年、まだスウェーデン・ナショナル・チームの一員であるアマチュアのときだったそうです。

〈・・・その衝撃的な数字もさることながら、目標に向かって計画的に取り組んでいくという考え方に興味をひかれました。どのコースであれ、同じラウンドのすべてのホールでバーディーをとるという目標に意欲を激しくかきたてられたのです。(中略)どうしてパーを基準にしなくてはいけないの? どうしてバーディーではいけないの? どうして2パットが当たり前と考えられているの? どうして1パットではいけないの? 「ビジョン54」は私を閉じ込めていた壁を打ち崩し、想像力を解き放ってくれたのです〉

不可能を可能にする潜在能力を引き出す

「ビジョン54」は、目標に向かう“心”の部分です。不可能なものを不可能として切り捨ててしまうのではなく、何とかなるのでは? と考える心。それを具体化するための“手段”や“技”を加えたものが「ゴルフ54」です。

つまり「ビジョン54」では、それに向かう潜在能力が自分にあることを信じ、それを引き出すために「ゴルフ54」では、さまざまな方法を学びます。

この構想が単なる「ビジョン(vision=幻想、まぼろし、夢)」でないことは、ソレンスタムの輝かしい功績が証明してくれていると思いますし、それを宮里が後継していることも可能性を感じさせます。

「ビジョン54」の核心は、要するにメンタルが多くを左右するゴルフにあって、どうしたら迷わず、悔いを残さず、最高のショットが打てるか、というところにあります。

それを具体化させる「ゴルフ54」では、打つ前にまず“思考ボックス”“実行ボックス”の2つのボックスを頭の中に持ち、その間に“決断ライン”を引くことを教えています。

2人の名コーチは著書の中でこう教えています。

〈あれこれ迷うのは「思考ボックス」の中にいるときだけにする。「決断ライン」を越えてショットの体勢に入ったら(注=「実行ボックス」に入ったら)ショットだけに完全に集中しなくてはいけない。ボールに向き合って決断に迷いが生じたら、後戻りしてもう一度「思考ボックス」に入り、信頼できるプランを見つけよう〉

と・・・。こうした方法は、ゴルフだけではなく、社会生活の中でも生かされそうです。

多少の浅知恵はあっても、漠然と球を打ち、漠然とミスを繰り返して反省もなく、漠然と一日を終える、私のゴルフなどとは比較にならない(比較などするな! ですね)ほどの考えの深さですが、宮里はこうした教室を単発で終わらせるのでなく、将来的にシリーズ化させることも検討中だと伝えられました。

近い将来、全国を駆け巡る“伝道師”藍が展開させるかもしれない「アイのレッスン」が、ジュニア層に何をもたらすか、楽しみになりました。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスランキング
ランクアップにご協力下さい
↓↓↓↓クリック↓↓↓↓
QRコード
QR