ドネアの底力! 西岡との激突は?

やはり「備わった広角的な対応力」という点で一線級のスーパー・チャンピオンだなァ、という印象を受けました。2月4日(日本時間同5日)に米テキサス州で行われたプロボクシングWBO世界スーパーバンタム級王座決定戦でウィルフレド・パスケス・ジュニア(プエルトリコ)を判定で下し、4階級制覇を達成したノニト・ドネア(29=フィリピン)です。

WBC世界スーパーバンタム級王者・西岡利晃(35=帝拳)との対戦を視野に入れるWBC&WBO世界バンタム級王者のドネアは昨年10月22日、同級統一タイトルマッチを制し、初防衛に成功しましたが、その後、2団体の同級王座を返上してスーパーバンタム級に転向、この王座決定戦に勝てば西岡との対戦が具体化するとあって成り行きが注目されていました。

WOWOWが2月5日午後7時から放送してくれたこの一戦は、ある意味、ドネアの“潜在能力”を推し量る、いい機会といえたでしょうか。

階級を一つ上げたスーパーバンタム級(リミット55・34キロ)での動き、スピードとパワーの兼ね合いは、バンタム級(リミット53・52キロ)での試合と比べてどうなのか、初めてのスーパーバンタム級の試合で元WBO世界同級王者、自分の“土俵”で戦うバスケス・ジュニア相手に何か未知のものを出してくるか? などの興味です。

ちなみにバスケス・ジュニアは、いわずと知れた元3階級制覇王者ウィルフレド・バスケス(現在51歳)の息子です。父のバスケスは現役時代、WBA世界バンタム級王座を奪取後、1988年1月に初防衛戦を日本(大阪府立体育会館)で行い、挑戦者の六車卓也(大阪帝拳)と引き分けの死闘を演じています。私はこのとき、スポニチ本紙のボクシング担当記者としてこの試合の取材に当たっており、この一戦は六車の健闘とともに記憶に残っています。

さて、ドネアvsバスケス・ジュニア戦は、バスケス・ジュニアがしっかりとガードを固めてディフェンス重視の戦い方を選択したのに対し、ドネアはいつもの通り、攻撃重視、そのためにノーガードのスタイルでビシビシとパンチを打ち込んできました。前半5回までは攻撃と守りが明暗を描き、ドネア有利のペースで進みました。

多彩な「対応力」に強さを見た

試合を放送するWOWOW「エキサイトマッチ」としては、何としても欠かせないゲストが西岡だったとは思いますが、これはなかなか微妙、この場でドネアを西岡に語らせるのは、何とも酷なことだったと思います。

それでも西岡は、言葉はさすがに少なかったものの、こう話してくれました。

〈スピードはいつも通りですね。相手のパンチの打ち終わりに出すパンチが凄い。それと(パンチを)当てる勘はうまいですね。それに階級を上げたパワーが加わっています。強いですね(複雑な笑い)〉

6回を迎えて劣勢だったバスケス・ジュニアが反撃に出ます。固いガードは崩さずに動いてジャブ・・・。これに対してドネアは、急に反応が鈍くなり、ジャブも結構もらい、これまでの勢いをなくしてしまいます。

これは・・・と、次の7回に注目しましたが、ここでドネアがしたことは、これまでの攻撃のためのノーガードの構えをしまい込み、ガードを固めて接近、威力のある左(フック)を打ち込むなど、態勢の立て直しでした。それにより、流れを変えにきた相手の攻めをストップさせてしまいました。

そして9回、右ストレートから凄い左アッパーでぐらつかせ、続く左フックでダウンを奪い、この時点でほぼ、試合の行方を決めた形となりました。

西岡が指摘した技術面の凄さはドネアの持ち味でしょうが、7回の切り替え方もまた、ドネアの優れた面でしょう。元世界王者の浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)は、世界王者になくてはならないものとして「対応力」「引き出しの多さ」を挙げます。

つまり、これがダメならあれ、あれがダメならこれ、と戦況に応じて対応する力です。それには自分の戦い方が見えていなければ出来ないことだし、劣勢になったときの組み立て直し、あるいは膠着状態に陥ったとき、それを打破するための誘い・・・など、多くの引き出しが必要になります。

西岡も恐らく、この日のドネアにそれを感じたことと思います。

ドネアの次回、初防衛戦の相手は、メキシコ人初の5階級制覇王者となったホルヘ・アルセや西岡らが候補に挙げられていますが、今後、目が離せない展開となりそうです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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