続・あれから1年

昨3月11日の日曜日午後、私は運動不足解消のために始め、このところ日課となっているジョギングをしようと自宅近くの海岸に向かいました。

ここ数日、春先特有の天候不順で雨模様の日が多く、久々の好天となったこの日は、春らしい気候に包まれた休日ということもあって、海岸周辺はサーファーたち、ビーチバレーに汗を流す人たち、ウォーキングやジョギングに精を出す老若男女、さらには家族連れ・・・と結構な人出でにぎわいを見せていました。

午後2時44分、藤沢市(神奈川県=私が住む地域)の防災課のアナウンスにより、東日本大震災が発生した昨年3月11日から1年の経過が告げられて黙祷(とう)が呼び掛けられ、地震発生時の同46分、犠牲者の冥福を祈る「黙祷!」の声が響きました。

そのとき、海岸で休日を楽しむ人々が起こした行動には、目を見張るものがありました。

サーフボードを自転車に積んで走っていた大学生くらいかな? と思われるグループは、即座に自転車を降りて手を合わせ、家族連れは大人も子供も起立して黙祷、さらにビーチバレーに汗を流していたグループは、響かせていた音楽を止めて頭を下げたのです。

海岸を包んだ1分間の静寂は、当たり前だろう! と言われれば、その通りでしょうが、なかなかこれほどまでに足並みをそろえられないのが普通ではないでしょうか。

実際、毎年やってくる「黙祷の季節」である8月は、海岸でどんな光景が展開されていると思いますか?。

8月6日広島、8月9日長崎にそれぞれ投下された原爆の記念日、そして8月15日の太平洋戦争の終結日・・・その都度、呼び掛けられる黙祷のアナウンスには、8月の暑い夏真っ盛り、開放的な季節ということもあり、若い人たちは、黙祷など無視、仲間たちとバーベキューを楽しむなどしている嘆かわしい姿を、私は何度も目撃していますし、黙祷の最中(さなか)、出したゴミを片付けもせず、そのまにして平気でその場を後にする人たちもいたものでした。

どこにいても“思いは同じ”の感動

戦争も震災も「風化させてはならない」出来事ですが、日本人が今回「03・11」の惨劇にこれほどまでの一体感を示すのは、第一に犠牲者への鎮魂、そして第二は被災地(者)も、幸運にも遠く離れた地域で難を逃れた人たちも、日本を襲った未曾有の危機に対し、悲しみを共有してともに頑張ろう! という「絆の確認」が、個々にあるからではないかと思います。

私自身を言えば、1分間の黙祷中に頭に浮かんできたのは、スポニチ本紙に在職中、一時期を過ごした福島支局に赴任中の日々でした。

横に長い福島県は、会津、中通り、浜通り、の3地域に分けられ、天気予報も各地域でそれぞれ違い、3地域は違った3県のようだ、などと言われていました。

仕事柄、赴任中は県内をくまなく回って話題を集める日々でしたが、拠点となる支局は福島市の中通りにあり、太平洋沿岸のいわき市など浜通り方面の取材は、遠いゆえに車を飛ばして締め切り時間との戦いを常に繰り広げていた思い出があります。

そんな中、急いでいるのに一本道の前を軽トラックにのどかに30キロ程度の速度で走られ、こりゃ、どうしようもネェ、と苦笑いしつつ、急ぐのをあきらめたのが、今は福島第一原発の事故で計画的避難区域に指定された飯舘村での出来事だったり、原発が立地する双葉、大熊、楢葉の3町、さらに楢葉と広野の2町にまたがった「Vビレッジ」は、しばしば取材に訪れたものでしたが、今は原発事故収束のための作業用前線基地になっている、と聞きました。そして、あの勇壮な「相馬野馬追」の相馬市などなど・・・。

福島支局に赴任していた日々は、地元の人々は県外者に厳しい面もありましたが、概して温かい、あふれる好意に包まれ、さらに自然の美しさもあって“支局勤務も悪くないなァ”と満喫していたものでした。

それらの思い出が走馬灯のように頭の中に思い浮かび、しかし、それは自然災害に原発事故が加わった惨劇でこなごなに砕けてしまった今を考えると、犠牲者には本当に心からの黙祷の気持ちが起こり、故郷を追われた子供たちの悲しみにもまた、目頭を熱くしてしまいます。

今年の正月、赴任中にともに仕事をした福島県出身の女性支局員から舞い込んだ年賀状には、こんなことが書かれていました。

〈私は福島県民です。福島支局があり、ここにいる限り、全力で何かを発信していきたいと思います〉

被災関連の仕事がどうしても多くなるだろうなァ、と思い、しかし、彼女もまた、被災者であることを考えると、どうにも複雑な気持ちになってしまいますが、それも新聞に携わるものとして頑張ってほしいものです。
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プロフィール

佐藤 彰雄

Author:佐藤 彰雄
◆生年月日 
1944年(昭19)8月生まれ
◆出身 
神奈川県
◆プロフィール
スポーツニッポン新聞社在職中は運動部記者として大相撲、野球、ゴルフ、ボクシング、格闘技などを幅広く取材・執筆。
現在はフリーの立場でボクシングを中心に取材活動を続けている。
ゴルフのマスターズなど海外取材経験も豊富。

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